第39話 ギルファ・エーミール
「ギルファ・エーミールって?」
誰だそれ?
「……ジャックス。エーミールさんだけはだめ」
ん?エーミール『さん』?そんなさん付けするぐらい強い人なのか。
「じゃあ会いに行ってみようかな」
「レオン。それはダメ。今までエーミールさんを仲間にしようとしていた人は8割がた死んでる」
「死んでる!?」
「うん。よくて、5ヶ月入院ぐらいのヤバい人。ホントに関わらないほうがいい」
「ジャックス。なんでそんな奴勧めてくるん?」
え、僕の事嫌い?
「レオンならワンチャンあるかと思ってね。別に、無理なら良いんだよ」
「そう言われると会いたくなるんだよなぁ」
う〜ん。好奇心か恐怖心か…………よし、
「会いに行くか」
「…………レオン。怪我だけはしないで」
「おう」
ーーーーー
「おーこれが1級の教室か」
「準4級の教室とは大違いだね」
「うん。よく清掃の人が掃除してくれるし。それ以前に、飾りが違うからね」
いいな〜。俺もこんな教室で勉強したい。まぁ、前世では教室に自分の椅子すらなかったからな。それに比べれば準4級の教室なんて可愛いものよ。
「それで、ギルファとかいう奴はどこだ」
「エーミールはあの端に居る人だね」
……お、アイツか。…………なんか、
「陰キャみたいだな」
「分かる。黄昏れてる」
「お前ら!そんな事言ってギルファに嫌われたらどうすんだ!」
「大丈夫、大丈夫。どうせ聞かれて無いから」
「流石にこの距離からは聞こえないと思う」
「いや、暗殺者な舐めんなよ?」
「もーうるさいな〜、黙れよ◯ックスくん」
「誰が◯ックスだ!この変態!」
「俺、ジャックスの『ジャ』を◯に変えてみただけだけどどうしたん?変な想像すんなよ〜」
もう、思春期何だから〜。
「早く!ギルファの所に!行け!」
「分かった分かった。行ってくるわ」
「気をつけてレオン」
「分かってるって」
さ〜て、ギルファはどんな奴かな〜。
「はじめまして陰キ…………ギルファ。俺はレオン。突然だけど俺の仲間になってくれ」
「いやだ」
お〜う、即答。俺傷ついちゃうよ?
「じゃあ俺の仲間になれ」
ちょっと命令口調で言ってみたらどうだろうか。
「……俺に命令するな」
あ〜、完全に切れてらっしゃる。もう話しかけてくんなオーラが凄い漂ってくる。なんでそんな切れるん?キレ症?もうキレ症通り越して切れ痔やん。
「なんで仲間になってくれないんだ?どうしたら仲間になってくれる?」
「どうして仲間にならないか……か。それはな、まず俺はお前の事が嫌いだ。皆からチヤホヤされて調子に乗ってるかも知れないが突然、目上の人にタメ口で話しかけるな。しかもお前、さっき俺の悪口言ってただろ」
「あ〜、悪口言ってたの聞こえてた?」
「後、俺は…………
突然人を殴る奴も嫌いだ。お前の様にな」
「「――――――ッ!!」」
チッ、防がれたか。
「……そろそろ俺の腕、離してくんない?」
「無理だな。いつまたお前が殴ってくるかもわからん」
「も〜、離さないなんて、情熱的♡」
「黙れ」
「―――――――ッ!!」
あっっっっっっっぶな!
「突然人を殴る奴は嫌いじゃなかったのか?」
思いっきりお前は人を殴っていたが?
「黙れガキ。俺は人をおちょくる奴も嫌いだが?」
「ハイハイ分かったよ。ごめんごめん。……どうしたらお前は俺の仲間になってくれる?」
「それはお前に…………価値があるか、ないかだな。今、俺から見えるお前は俺より価値が無いが?」
「俺はお前より価値が無い……か。それじゃあ俺がお前より価値がある人間だと思わせたら良いんだろ?じゃあ勝負しようぜ。勝った方がお前より価値があるって事だ」
「…………俺は武力だけの事を言っている訳では無いのだが……いいだろう。特別にお前と戦ってやる」
よし、決まりだ。
そんな事を思っていると近くにアテネが来ていた。
「……レオン。無茶しないでって言ったよね?」
ゴゴゴゴゴゴオオオオォォォォォォォォ……………
アテネからそんな効果音が聞こえてくるような気がした。
あ、忘れてた。
「大丈夫、アテネ。俺が負けると思うか?」
「うん。思う。だから止めてる」
「うん。正直なのは良いことだ。ただしちょっと眠ってねな」
「なにを――――グッ!」
スマンな。少し寝ていてくれ。
「ジャックス。アテネをよろしく頼む。変な事はするなよ?殺すぞ?」
「分かってるよ。そんなに信用されてないかなぁ。…………あ、そうだ。実況の人も呼ぼう」
そんなに豪華にしなくても……
ーーーーー
「さあ、始まりました。実況は私、アナが務めさせていただきまーす!今日、急遽対決することになったのはこの二人だ!一人目はこの男!瞬足の死神、ギルファァァァァ!!もう一人はこの男!本日二回目の登場だ!豪炎の死神、レオンンンンンン!!この死神対決、勝つのはどっちだ!それではレディ〜ファイト!」
「それじゃあ戦いを―――――ッ!!先手必勝か」
「……これを避けるとは思わなかった」
オイオイ、流石に模擬戦で喉狙ってナイフはダメだろ。
ヤバいな
身体強化
鬼化
視覚領域拡張
感覚領域拡張 発動
「じゃあ俺も攻めるか。オラァ!」
「……当たらないな」
クソッ、アイツ避けるのが上手すぎる。なんかいい方法はないか……
「…………出し惜しみはしないほうが良いぞ。そんな事していたら…………死ぬぞ」
「――――――グハッ!!」
俺は会場の端まで吹き飛んだ。
「……いや〜、背中がメチャクチャ痛いな。やっぱり出し惜しみはしないほうが良いか。……それじゃあ、お言葉に甘えて、鬼炎化発動!」
ボコボコだ!
「……随分早くなったな」
クソッ!当たらない!
「1級の奴等は全員こんなに速いのか?」
「違う、俺の方がすこし、速い」
少しってぐらいじゃないだろ。マジで。俺の必殺技ぐらいの速さがあるぞ?
「……もう時間の無駄だ。終わらせるぞ。即脚風剣!」
「グフッ…………」
ヤバい……モロに食らった。
「レオン!!」
「大丈夫だ。腹を刺しただけ。致命傷は――――――ッ!!…………何故、抜けない?」
「ハハッ、やっぱりお前、力は俺の方が強いみたいだな。これだけ近かったら、当たるだろう」
「フッ、勝ったつもりで居るのかも知れないが、俺はこの距離でもお前の攻撃を避けれる「いや、避けれねぇよ」……なに?」
「烈剣!」
「この程度の攻撃、避けれるんだよ」
「そうだよな。お前なら避けられるよなぁ。避けれちゃうんだよなぁ」
お前なら避けると信じてたよ。
「いや、距離を取ってくれて助かったよ。この距離じゃ俺も当たるから」
「――――――ッ!!やめっ」
「鬼門法召喚、鬼の手」
「グハッ!!」
メキメキメキ……
そんな音が、ギルファから聞こえた。
「…………この戦い………………勝者、レオン!!」
「「「「「うおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」」」」」
この戦いは俺の勝利で終わった。
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