第38話 ジャックス



〜アテネ視点〜


「キャ!!」


「お前はここで大人しく俺に犯されとけば良いんだよ!」


私はここに運ばれた当初、訳も分からないまま知らないおじさんに犯されそうになっていた。


「辞めろお前!」


「ん〜?」


そこには…………


「まだ六歳の子供に手を出そうとするなんて許せない!!」


「グファァァ!!」


ジャックスが居た。


「君、大丈夫かい?」


「あ、ありがとう」


そこで私はジャックスにを持った。

最初は恋だと思った。けど………………





ーーーーー





「それじゃあ君の教室はここだね。……ついでに挨拶してくるよ。ここの人も僕の元教師だしね…………すみませ〜ん」


「え、ジャックスさん!?」


「「「「「キャアァァァ!!」」」」」


ジャックスが教室に入ると黄色い声援が鳴り響いた。


「今日からここで勉強を受ける事になる子を連れてきたんだけど…………」


「……どうも、アテネです」


「仲良くしてやってくれ!」


ジャックスが私の頭に触れて言ってきた。


「…………分かりましたわ。ちゃんとここのルールを説明しておきますわ」


この教室のリーダー格の女が少し間を置いて言った。


「ありがとう!それじゃあアテネ、また後でね!」


「は、はい」


無事教室についてよかった。


そう思っていたら後ろの女が喋りかけて来た。


「今日の授業が終わった後、ちょっと来てくれるかしら?」


「う、うん」


この時はまさかあんな事になるなんて思いもよらなかった。





ーーーーー


「何でここに呼び出し―――グフッ…………」


痛い…………


「何でお前みたいなカスがジャックスさんと仲がいいのよ?」


ジャックス『さん』?


「お前みたいなボロボロの準4級が1級のジャックスさんとつるんでいいわけないのよ!」


1級?……あぁ、昨日教えてもらった階級制度の事か。ジャックスは1級だったのか…………


「ジャックスとは―――ッ!!」


「ジャックスな?」


「……ジャックスさんとは昨日たまたま出会って―――グッ!」


何でまた殴ったの…………


「おい、私達にも敬語使えよ」


「…………ジャックスさんとは昨日たまたま出会いました」


「そうか…………じゃあお前これからサンドバッグな」


「え――――ガハッ!!」


「あー、人蹴るの楽し〜」


こうして私のいじめが始まった。


時には蹴られ、

時には殴られ、

時には切られ、

時には焼かれた。


それでも、ジャックスには言わなかった。いや、言えなかった。


言ったら殺すと脅されていたから………………いや、一回だけ言ったことがある。

このいじめの事を言ったらジャックスはなんて言ったと思う?


「フッ、あの子達がそんな事をするわけ無いだろ?」


ジャックスは私の気持ちに沿わない雰囲気で微笑んだ。


私はこの言葉を聞いて怒りはしなかった。ただただ絶望した。唯一の希望だったから。


それから私は希望を失った。



貴方に合うまでは。





〜レオン視点〜


「…………そんな過去があったのか。そのジャックスに合うのが嫌になってくるな」


もしかしたら会った瞬間、鬼炎化発動して、殴っちゃうかも。


「大丈夫。ジャックスは悪い奴じゃない。というか頭領の事を潰したがってる。暗殺なんて間違ってるって」


何でそれを考えられる知能を持ってるいるのにアイツはアテネの事を気づかないのだろう。やっぱ殴ろっかな。


「……アテネ、そんな暗い顔をするな。大丈夫だ、俺がお前を守ってやるから」


「…………ありがと」


アテネが少し照れた顔で、少し顔を隠して状態で言ってきた。


あ、コイツ可愛い。


「……それじゃあ会いに行くか。ジャックスに」


「今ジャックスは訓練場に居ると思う」


「そうか」


さて、その馬鹿ジャックスはどんな面してるのかな〜。





ーーーーー





「お前がジャックスか?」


「そうだが君は?」


うわ〜、アテネが移動中に言ってた特徴と全く一致〜。


『金髪で王子さまみたいな顔。馬鹿だけど』


『多分色んな女が群がってる。そのせいか、鈍感だけど』


アテネのちょっと愚痴が混じった言葉は合っていたってことだな。


「俺は準1級のレオンだ。コイツはアテネ」


「お〜、アテネじゃないか!最近見ていなかったよ」


そりゃあお前に失望して避けていたからな!


「それより君が準1級?準1級で君みたいな子供を見たことがないが?」


「ジャックス様、その人は昨日準1級になられたレオンかと」


おー、取り巻き1ちゃん俺の事知ってんだね。


「え、君があの!?」


どのだよ!


「嫌〜、あの有名な豪炎の死神が俺に会いに来てくれるなんて嬉しいよ。何で僕に会いに?」


「脱獄についてだ」


俺はジャックスの耳元で言った。


「―――――ッ!!……詳しく聞こうか」


よし、やはり食いついてくるよな。


これでやっと交渉ができる。





ーーーーー





「……ほうほう、それで僕に協力を頼みたいと」


「そうだ」


俺はジャックスに脱出の事を話した。


「…………分かった。協力をしよう」


「良いのか?」


正直、1、2日は考えると思っていたが…………


「それなら今から作戦を「ただし」…………あ?」


なんだ?人が話している途中に喋りだして。


「君が本当に協力するに足りる人材かを調べたい。だから俺と模擬戦をしないか?」


「模擬戦?……面倒くさいな」


「レオン、1級の人がどれぐらい強いのかは確かめておく必要がある」


う〜ん。確かに…………


「分かった。模擬戦をしよう」


「ありがとう!せっかくだから実況の人も用意するよ!」


いや、そんな豪華にしなくても……




ーーーーー





「さあ、やってまいりました。実況は私、アナが務めさせていただきます!今日、急遽対決することになったのはこの二人だ!一人目はこの男!微笑みの貴公子、ジャックスウウゥゥゥ!!二人目はこの男!豪炎の死神、レオンンンンンン!!」


コイツ二つ名微笑みの貴公子って言うのか!?何だコイツ、満更でもない顔しやがって。


「何こいつジャックス様に戦いを挑んでんのよ!」


「「「「「そうよそうよ!」」」」」


やめて!?意外と石は痛いよ!


「皆様!会場に石を投げるのはやめてください!」


ほら、司会の人も困ってるから少し…………


「黙ってろ」


俺は少し、殺意を込めた、ドス黒い声で喋った。


「「「「「―――――ッ!!」」」」」


「…………それでは、開始!」


「それじゃあ!はじめよ「俺はな、イケメンが嫌いなんだ」…………へ?」


最初っから全力じゃボケ!!


鬼炎化 発動!


「おりゃおりゃおりゃ!!」


「ちょ、待って、ヤバいヤバい!!」


黙れイケメン!


「……意外としぶといな」


「はぁ、はぁ。もう大丈夫、君の実力が分かったからもう終わって「終わらせるわけねぇだろ!」えええぇぇぇぇ!?」


「死んどけクソカス!爆炎豪槍!!」


「グハアァァァァ!!」


よし。勝ったな。


「ええぇぇぇぇぇぇぇ!!?一方的な攻撃で勝利!?…………ごほんっ!しょ、勝者はレオン!」


「「「「「…………………………」」」」」


お〜い。いくら推しが負けたからって黙るなよ。


「おいジャックス。起きろ。……起きろ!」


「グフッ!!」


あ、ムカついて蹴っちゃった。テヘペロ♡


「さ、流石に起こし方が雑いよ……レオンは僕より断然強いね」


「当たり前だろ?」


だって鬼炎化使っちゃったし。


「決めた!僕は君協力するよ!」


「よし、まずは一人目だな」


まあまあ強そうな下僕……配下一人ゲットだ!


「ねぇ、レオン。おんなじ1級に一人、メチャクチャ強い人が居てさ。もしかしたら君より強いかも知れない人」


「ん?俺より強い?」


中々居ないぞ?俺より強いやつ。自分で言っちゃうのもあれだけど。


「そいつは『ギルファ・エーミール』って言ってね。強いけど、誰も寄せ付けない雰囲気と強さがあるんだよ」

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