第34話 なんで俺が?




「代金は金貨二枚、銀貨四枚だな」


「オッケー、これで足りる?」


「足りる足りる。……まいどあり!」


ふぅ、いい買い物をした。


「なあ坊主、一個思い出した事があるんだが」


「ん?なんだ?」


「そういえばお前より一歳年上の奴なら聞いたことがある」


「本当か!!」


もしかしたらボッチ生活を脱出できるかも知れない!


「まぁ、風の噂で聞いたことだから分からないが、多分会ってると思うぞ。明日授業の時確認したらどうだ?」


「ありがとうおっさん。明日、探してみるよ」


「おう、お前がボッチ生活を脱出できることを願うよ」


あ〜、明日が楽しみだな。





ーーーーー





「お〜。ここで別れているのね」


今俺は寮の前にいる。


「右から、両棟、男棟、女棟、上棟か」


う〜ん。道から格が違うな。


両棟への道は少し蜘蛛の巣が張っている。所々にゴミも落ちているしな。


男棟と女棟への道は普通の道だな。


いや〜、上棟への道はゴージャスだね。なんかレットカーペット引いてあるし、松明じゃなくて、なんか豪華なやつになってるし。


…………よし、上棟へ行くか!





ーーーーー





「一泊、金貨一枚になります」


「う〜ん、金貨一枚か……払えなもないな」


金貨一枚って事は一泊十万円って事だろ?ちょっと高すぎじゃね?これぐらいの宿だったら普通、準金貨三枚で事足りるだろ!


…………はぁ、仕方がない、払うか。


「分かった。取り敢えず準白銀貨一枚払って十泊で」


「……分かりました」


こいつ、五歳が準白銀貨出した事にびっくりしたな。ちょっと面白かったぞ。


一応、準白銀貨7枚、金貨34枚あるからな。100日以上泊まれる。


「この鍵を持って、204号室へお泊り下さい」


「は〜い」






ーーーーー





「お〜」


高そうな部屋だな。


取り敢えず荷物は置いて、風呂に入るか。一応、五右衛門風呂みたいな物がある。


今日は風呂入って寝よ。





ーーーーー





「…………うぅん」


…………ここ日が当たらないから何時かが分からないな。教室行く途中におっさんの店に寄るか。






ーーーーー





「よし、おっちゃん店で腕時計でも買ったし、教室へ行くか」


俺が教室への道に一歩踏み出した時だった。



「ハハッ、こいつを的にするのはたまんねぇな」


「それな。的にするのにはいいサイズだし、少し抵抗してくる所がまたボコボコにしたくなるんだよなぁ」


「……やめて…………」


「あ?黙れよ的!」


「ハハッ、お前殴り過ぎ。やっぱこうゆうのは遠くから魔法を当てるのが良いんだよ」



なんだあいつらは?よくラノベに出てくるTHE、悪役みたいのは。


…………取り敢えず止めるか。


「お前ら。見てて見苦しいからやめろよ」


「あ゛?なんでやめなくちゃいけないんだよ?」


「それともお前が的になってくれるのか?坊主!」


うざ、こいつら。


「……いいよ。的あてしてやるよ」


「ハハッ、こいつ自分から的になりやがっ「ただし」…………あ?」


「お前が的な」


「何言って―――――ッ!!!」


こいつの顔面に思いっきりロックランスを当ててやった。


ロックランスはファイヤーランスみたいに燃やす効果はないが、メッチャ痛い。


対人戦の時、土魔法は役に立つんだよなぁ。


「おい、ヒール!何で負けてるんだ!?…………お前、殺してやる!」


「オイオイ、暗殺者がそんなにブチギレて良いのかよ?……ハアァ!」


「グハァッ!!」


何だ。刀で一発か。骨がない奴等だな。


「……お前、大丈夫か?」


「…………うん。大丈夫」


…………あー結構ボロボロだな。


「お前、階級は?」


「一応準4級ってことにはなってる」


おー、意外と俺と同じ。


「そうか……お前の事をいじめていたこいつらは何なんだ?」


「この人達は同じ準4級。毎日こういう事をされてる」


……あまりいい仲では無いみたいだな。


「俺も同じ準4級なんだ。一緒に教室に行くか?」


「!?…………あなたの準4級なの?」


「そうだが、そんな驚くことなのか?」


なに?立ち振舞が準4級に相応しくないのか?普通の準4級ってどんなんなの?


「……いや、あなたがあまりにも強くて。……あなた、名前は?」


「俺はレオン。お前は?」


「私はアテネ。よろしく」


「よろしくアテネ。……教室に行く前に買い物するか。服がボロボロだし」


「……そうだね」






ーーーーー





「君たち!遅刻じゃないか!しかも君は新入生だろ!」


「「スミマセン」」


「はぁ…………取り敢えず、席に座りなさい」


「は〜い。座ろうかアテネ」


「……うん」


多分最悪な印象で俺の暗殺者見習い生活が始まった。





ーーーーー





「はぁ、授業はどの世界でも退屈だな」


こっちに来てみたら面白い授業かと思ったら知っている知識ばかりで楽しくなかった。


「おい、お前。ちょっとこっちにこい」


「アテネ。授業どうだった?」


「…………あまり楽しくなかった」


だよな〜。


「……おい」


「よし、アテネ。授業無断欠席するか」


「…………それいいアイディア」


「……おいお前!聞こえ無いのか!!」


……誰だ?こんな大男に呼ばれている奴は?


「お前だよお前!そこの後ろ向いてキョロキョロしているお前だ!」


「…………え、俺!?」


「そうだ。ちょっとこっちにこい」


「……へいへい」


「アイツ死んだな」


「アイツが五体満足で帰ってくるかなに賭けようぜ」


え、そんなヤバいやつなの?





ーーーーー





「お前、俺の部下達をボコボコにしたようだな」


「お前の部下?…………あぁ!あいつらか!それがどうかしたのか?」


「別にあいつらの事をなんとも思っちゃいないが、一応部下の落とし前は付けなくちゃならねぇ」


あ〜、今から殴られるんですね分かります。


「だからお前は俺の部下になるかここで殴られるかだ。どっちか選べ」


「お前の部下になんてなりたくないんですが」


いやこんな上司嫌だよ?絶対パシリにされるじゃん。


「そうか。じゃあ黙って殴られろ」


「はいそうですかって言えるわけないんだよなぁ」


クラスの奴等があんだけ怯えていたんだ。メチャクチャ強い奴に違いない。


よし、

鬼炎化 発動


こいつに最近覚えた必殺技を!


烈天れってん!」


「グハアアアァァァァァ!!」


「…………え?」


流石に必殺技使ったけど弱すぎじゃない?まだ身体強化すら使って無いよ?


……まぁ、取り敢えず。


「お前らの大将死にかけてるけど、どうする」


「「「「「降参しまああぁぁす!!」」」」」


だよね〜。


「あなた様が大将で良いです!」


「…………へ?」


どゆこと?


「お名前は!?」


「レオンだけど……」


「レオン様!今から私達はあなた様の配下になります!」


「なんで〜?」


こうして俺はなんか知らんけど、こいつらの大将になった。

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