第30話 ふ〜ん。誘拐されたんだ…………え!俺が!?




「誰だ?」


俺にナイフを投げて来るなんて、俺を誘拐したい馬鹿か、アイリーンが剣からナイフに変えた時だな。


「おい、アイツ後ろからのナイフを避けたぞ」


「やっぱり頭領が目を付けるだけあるな」


話を聞く感じ前者だったみたいだ。


「なあお前ら。なんで俺を狙う?」


どうせ身代金目当てだと思うが…………


「俺達はな。暗殺者なんだよ」


ん?暗殺者?


「暗殺者の割には子供の俺にナイフを避けられているが?」


「……アッタマに来た。ぶっ殺してやる!」


「おい、頭領にあまり傷つけずに誘拐しろって言っていたじゃないか!」


オイオイ。頭領の指示には従えよ。


「……なぁ、暗殺者が正面から戦うとか愚の骨頂だろ」


じゃあ無演唱で、


ファイヤーランス!


「グハアァァ!!」


「おいアイツ、無演唱で魔法を使ったぞ!?」


でも正直、無演唱で使うと、少しのラグが生じるんだよなぁ。イオさん、エレン相手だと避けられる。


「無演唱で魔法を使えるからってビビってんじゃねぇ!相手は子供一人、俺達は大人七人だぞ!」


よってたかって子供をいじめるなよ…………


「でも、固まっていたらタダの的だ」


よし。


ファイヤーボール。


「へ!正々堂々目の前から魔法を出したら避けられるに決まってんだろ!」


おー、これを避けるのか。…………でも、俺はただの魔法使いじゃないんだ。


「ごめんな。正々堂々じゃなくて」


ファイヤーボールはタダの囮だ。

本命は…………


「「「グハアァァ!!」」」


刀だ。


「卑怯だぞ…………」


「誘拐しようとしといてそんな事言うな」


全く……子供を誘拐するとかダメだからな!


…………どうしよう。傭兵にでも預けて置くか。


「じゃあお前、大人しくしてろよ。傭兵に突き出してやるから」


「へ。今のうち、余裕こいているんだな。ここには頭領が来ているんだ!」


「おい!それをいっちゃあダメだろう!?」


「フンッ!頭領が負けるわけ無いだろ!」


おい。そんな事言っていいのかよ。俺警戒しちゃうよ?


「頭領ってのはどんな―――――ッ!!!」


「お、当たったけど、意識は失ってないな。もう一発決めとくか」


もう一発?


もしかしてこいつが頭領か?


「消え…………グハッ!!」


見えなかった……………


そこで俺は意識を失った。






ーーーーー






…………ん?ここはどこだ?


「ん……ここは…………」


「お、もう起きたのか。回復力が子供じゃねえな」


「お前!!…………なんだ?」


目の前には頭領らしき者が居た。


なんだこれ?鎖に繋がれている。しかもMPを吸い取って来るような……


「それはな。相手に魔力を使わせない物だ。……おっと、魔法を使おうとするなよ?魔法を使おうとしたら更にMPを吸われるぞ」


「チッ」


どうしよう。逃げるビジョンが見えない。この鎖だけなら破壊して逃げれたが、こいつが相手になるとな。


「なあ、今からどこに行くんだ?」


「そんなん決まってるだろ。…………俺達のアジトだよ」


アジト?


「まだ着くのに時間がかかるから今のうちに寝ておけ。……これからはまともに寝れなくなるぞ」


ん?まともに寝れない?


取り敢えず、MPを消費してから寝るか。


「ウグッ」


「ん?大丈夫か?」


「……ちょっと寝る」


「そうか」





ーーーーー






「オイお前、着いたぞ」


「ん?…………まあまあでかいな。暗殺者がこんな建物にいてバレないのか?」


「大丈夫だ。ちゃんと隠蔽魔法を掛けている。それより、ここに住んでいる奴等は地下で寝泊まりしている」


ほ〜。地下か。


「おし、行くぞ。着いてこい」


「…………分かった」






ーーーーー





「取り敢えずお前にはこの部屋にいてもらう。本当に、どうしても出たい時には、その電話機で伝えてくれ」


「分かった」


「じゃあ、検討を祈る」


フッ、ここに閉じ込めておいてよく言うぜ。



今日から、俺の暗殺者生活が始まろうとしていた。

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