第二章 暗殺者にて

第29話 迫る危険にて



チュンチュンチュン…………


「「「「おはようございますレオン様」」」」


「…………おはよう皆」


あぁ眠い……


「今日は何曜日だったっけ?」


「今日は土曜日でございます!」


今日は土曜日か…………


「土曜日って皆比較的暇でしょ? ……折角だし、一緒にご飯でも作るか…………ふあぁぁ」


「大丈夫ですってレオン様!ほら、欠伸なさってるじゃないですか。ゆっくり休んでください」


そんな心配しなくてもいいのにな……


「大丈夫大丈夫。三十分で終わらせるから」


「…………そこまで言うなら分かりました……ただし、料理長を納得させてくださいね?」


げ、料理長か…………





ーーーーー




「ほうほう。私の調理場を使いたいと……」


「そうだな」


怖えええぇぇぇぇ!!

もう睨んだだけで人を殺せそうな顔してるじゃん!

まともな職についてない顔しているじゃん!


「分かりました」


「ホント!?「ただし……」…………ただし?」


なんだ?


「私に勝る料理を作ってください」


えええぇぇぇ…………





ーーーーー





端的に言うとまぁ………………俺の圧勝だったな。


審査員が使用人と料理長。

皆に日本の料理を食べさせたらそりゃぁ勝てるわ。


こう見えて前世ではよく料理を作ってたからね?


「じゃあお腹もいっぱいになったし、そろそろ出かけるね」


「「「「行ってらっしゃいませレオン様」」」」


今日はアイリーンは…………いないな。


最近アイリーンが剣を持って突進してくる。

勿論刃が無い剣だぞ?

刃があって、不意打ちで攻撃だと、殺意しか無いからな。


最近、イオさんは刀の訓練はせず、鬼門法の訓練ばっかりしてくる。

そのおかげで鬼門法の技術は上がっているが。





ーーーーー





「グハッ!!」


「はい!終わり」


「…………手加減してくれよ」


「え〜。手加減しかしてないけどな〜」


なんだよ!手加減しかしてないって!


…………今、俺はエレンの訓練を受けている。


最初は魔法の訓練。

次は模擬戦。

最後は魔物狩り。


「じゃあそろそろ魔物狩りに行こっか」


「分かった」


魔物狩りは『努力』のレベルが上がるだけではなく、金稼ぎにもなる。


俺はまだ十歳じゃないので、冒険者ギルドで換金はできないが、商業ギルドにギルドマスターのおっさんが特別に、魔物を買い取ってくれている。


……まぁ手数料も込で三割ぐらい持っていかれるが。


「じゃあ、はい。これを付けて行ってらっしゃい」


「分かった」


エレンから、をもらった。


勿論タダのリストバンドじゃない。

魔乱装置というものらしい。


数年前にエレンが魔道具をつ創ろうとしたら、魔力の流れを乱す物ができたらしい。

それを付けると、あら不思議。魔法が上手く使えなくなってしまします。


実際本当に辛い。最初の頃は火すら出せなかったからね。

まぁ、今はなんとかファイヤーランスぐらいは作れる様にはなっている。

…………あ、言ってなかったが、ファイヤーランスは火魔法のレベルが5になった時に使える魔法だ。


「じゃあ、行ってらっしゃい〜」





ーーーーー






「うん。上出来だね」


「そうか?」


俺はゴブリンの魔石37

ボブボブリンの魔石8

オークの魔石6

一角兎の魔石18 角16


を取ってきた。


「まあね。あの装置をつけた状態でこの量を取ってくるのは凄いよ。しかも一時間半でね」


そうなのだろうか?

魔物の知識があまりなくて、どれを狩って来たら凄いのかがわからん。


「じゃあ次はイオのとこだね。行ってらっしゃい」


「おう。行ってくる」





ーーーーー





「レオン!三十分の遅刻だ」


「え〜三十分ぐらい大目に見てよ〜」


「いや、三十分て意外とあるからな?…………まぁいい、今から鬼門法の訓練を始める」


「はい」


「次お前が覚える物は……『鬼剣』だな」


『鬼剣』とは。

鬼の力を持つ剣を具現化する物である。


正直、レベルの高い剣があったらあまり意味が無い。

まぁ、咄嗟の時に具現化で来たら強いけどな。


「多分、そうだな」


「おし、じゃあ早速始めるか!」


「はい!」




ーーーーー





「おし、今日の訓練はここまで!」


「…………はい……」


「どうした。元気が無いな?セラのほうがまだ元気があったぞ?」


「セラ、まだ来てるんだな。最近ちょくちょく会うが」


「おう。レオンに負けないって意気込んでたぞ」


「ふ〜ん」


やっぱ流石だな。どっかのイノシシとは違う。


「じゃあ俺は魔石売ってくるから」


「おう、行ってらっしゃい」





ーーーーー





「今日はいっぱい魔石が取れたな〜」


「うん。たまたまゴブリンの大群を見つけてさ」


「そうか。無理はするなよ?」


「分かってるって」


「それならいいんだが…………おっと。急用が入ったみたいだ」


「そうが。引き止めて悪かったな」


「すまんすまん。じゃあな」


この世界は通信技術だけが発展している。


なんかこの世界、黒電話みたいのが栽培してるんだって。家にも何個かある。


ホントビックリしたもん。「黒電話を取っている農家さんがいますよ〜」って使用人に言われたとき。

なんか、最初に実ができて、それが熟したら中から黒電話的なヤツが取れるらしい。知らんけど。



帰り道、そんな事を思っている時、後ろからナイフが飛んできた。


…………誰だ?

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