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台所の片付けが意外と早く終わり、母と共に居間を掃除していた姉の声がしたので父や僕、周りにいた友人達も作業する手を止めて、姉と母がいる居間へ集まった。
姉が指をさす方を見ると、壁に埋め込むように造られ、見るからに重そうで、年代物の金庫だった。
「こんなもの、親父は何も言っていなかったし、初めて見たよ」
いきなり現れた正体不明の金庫に、そこにいる全員の興味と視線が一気に集まる。
「ねぇ、これって開くの?もし鍵がかかっていたら、鍵はどこかにあるのかしら?」
汗を拭いながら母が口を開いた。
鍵穴らしきものは取手の下に付いているが、そもそもこれは開くのか、鍵は存在するのかが疑問だ。
父が取手部分を軽く握ってみると、これだけ古いにも関わらず、取手はしっかり着いていたので、思い切って引っ張ってみると、勢いよく扉が開き、父は勢い余って派手に尻餅をついてしまった。
父を心配しつつ開いた扉の中を見てみると、和紙で飾られたお洒落な箱が一つだけぽつんと置かれているだけで、後は何も無かった。
「え?箱だけ?」
姉がガッカリしたような声をあげたが、僕はその箱を取り出してみると、長年この中に入っていたせいか和紙の飾りは剥がれかかっていて、中に何かが入っているのかしっかりした重さを感じる。
「何か入ってる」
剥がれかかってしまっている飾りをこれ以上剥がれないよう注意を払って蓋を開けてみると、中には麻紐で縛られた封筒や手紙の束が二つ納められていた。
「え?手紙?」
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