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日曜日は仕事が休みだからと、宇津々さんはバイト先近くの駅まで迎えにきてくれた。背が高く、写真で見るよりおおらかな雰囲気の人だ。背中の肉がしっかりしている感じがよかった。白いシャツを着ているせいか、なんとなくホッキョクグマに似ていた。
「二十七だっけ。若いよね。よくモテるでしょう」
ふつうですと答えてしまって、おれはよくふつうぶるなと自覚した。ちっともふつうなんかじゃない。年齢は二つサバ読んだし、学歴もたしか詐称した。もうくせみたいなもんだ。宇津々さんはそんなこと知ってか知らずか、まあ知るわけないか、にやにや嬉しそうにしていた。
雨なので地下街を通って行きましょうとなった。駅直通のショッピングモールで、飲食店やお土産ショップみたいなのが連なっている。男同士で行けるのか不安だったが、それを言ったら初心者なのがバレそうだからやめておいた。宇津々さんは慣れた様子でぐんぐん進む。ハッテン場に行ったことはあるかと訊かれ、なにを言われるかとビクビクしていたら、あそこはじじいばっかだとか部屋がくさいとかわりとしょうもなかった。
「ハッテン場なんて言っても、勝手にゲイが集まってセックスしちゃってるだけだからね。みんなやれるならどこでもいいんだろうけど、僕は場所って結構大事だと思ってるから」
おれにはなんてことないビジホに見えたが、ハッテン場を知る人にとっては小ぎれいなのかもしれない。変なにおいはしなかった。ちょっと嗅いでみたかったのになと思った。
宇津々さんがチェックインを済ませてくれているあいだにスマホを確認すると、幸輔からメールが来ていた。
「今日ってラストまでだっけ?」
そうだよと返しておく。訊かれたら先輩が風邪で休みになったとかなんとか言うつもりだった。幸輔は現実のおれを知らない。ほんとうのおれはこんなだから、知らなくていい。
三時間たっぷりやって、おれがくたくたになったから延長し、寝て、起きぬけにもう一発やった。最後のほうはぐずぐずで、わけがわからねえままめちゃくちゃに泣いてしまい、宇津々さんを困らせた。肌と肌が触れあうのってこんな気持ちいいもんだっけ。おじさんの皮膚は少し柔らかくもたついて、覆い被さると身体の全部が溶けるみたいだった。結局朝帰りだ。泊まりでやるのはめずらしいと宇津々さんは言った。よかったらまた会ってほしいとも。
朝、ルームサービスのトーストとたまごが無料だったので、いっしょに食べた。雨は上がっていた。
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