第9話 黒衣の王妃と‥麗しき金の髪をした愛妾

「では、王の愛妾デイアーヌ 貴方の栄華は王と共にあったもの

お分かりね」喪服の黒衣に身を包んだ 王妃カトリーヌ・ド・メデイチが言い含める。


「…はい、王妃さま」

王より20歳年上で彼にとって妻のような存在であり母でもあった麗しき公爵夫人

デイアーヌ・ドポワチエが静かに述べた。


美しく、金の髪をした愛妾

彼女の華やかな栄華は王と共にあったもの 

少なくとも彼女自身の命に 住まいの城に領地からの税収などは確保されたのだ。


王妃として 王家の者としての立場を王妃はようやく手にして

それは長年の嘆きの対価でもあるかも知れない。


名家に生まれながら 幼くして両親を亡くし

10代の少女時代には領民の反乱で命の危険  その時には馬に乗せられて晒しものされた過去  高い教養を得る事が出来たが、政治の駒だったカトリーヌ


取り上げられた遺産‥数々の危険…

政略結婚だったが 恋した王、アンリ二世の心は愛妾デイアーヌのもの


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