第18話 記憶を取り戻したレナ
以前も語ったが、この世界には排泄という概念がない。おかしな世界だ。それにも関わらず、俺には尿道も肛門もある。何に使うんだと思うよな。俺もそう思う。帰り道に、レナから、今日はやるぞ、土弾Ⅱのお祝いだと宣言を出され、断る理由もない。
「お前は童貞なのか、真の魔法使いになるつもりか」
「やらない理由を並べてどうする」
「まずはやれ、腐るぞ、臭くなるぞ、この棒が」
「だいたい、討伐計画を立てているのか、気分でするものだろう」
散々煽られた。全くその通りだ。おそらく前世では、ヤリまくっていた気もする。N歳童貞で魔法使いになったわけじゃない。明確な記憶は全くない。そう、ヤリたくないわけではない、寧ろヤル気満々だ。四人で寝るようにしたのが失敗だったのかもしれないな、と言い訳しつつ。ヤルぞ!と自分を鼓舞した。
「レナは、見られても平気か」
「クリスティとリアに?」
「ああ」
「見られるのは初めてじゃない、問題ない」
そうでしたか、失礼しました。なんぞそれ。
◇
川から帰って二人で温めの風呂に入った。レナの髪を洗って、体を手で洗い、理想通りの胸を後ろから揉む。貴方は本当に胸が好きね。と笑われるが、全く否定の余地がない、レナの胸だから揉みたいのだ。この形は最高だと思うぞ、出会ったその日から揉むと決めていたからな、と彼女に背中越しにキスをした。左手で白銀色の毛をなぞり、右手は尻側から指で探す。レナの尻にも穴がある。本当に何のためにある穴だろう。まさかダンジョンとかだったら笑うわ。
結局、湯船につかってレナが俺の上に乗り二人で舟を漕ぎながら楽しんだ。何度も。
◇
レナが髪を乾かしている間に二階にあがり、ベッド上で横になり、ウトウトしていた。リアとクリスティが部屋に入ってきて、明日の服の用意をしている。そこにレナが戻ってきた。
「あれ、クンクン、オスとメスの匂いがする」
猫獣人は嗅覚が鋭いのか?犬じゃないのかそれは。リアがベッドの俺にボディ・プレスをして俺の股間を匂う。
「ここからオスとメスが繋がった匂いがする、遂にヤッたのね、おめでとうアレックス、てっきり使えないのかと心配していたわ、この棒」
「あはは、出待ちを伺っていただけだ」
「ええ!ズルい、アレックスの初めては私の予定だった」
クリスティがご立腹だ。片足で床を踏み抜かんばかりにスタンピングしている。
「それなら、遠慮はいらないか」
リアが、突然服を脱ぎながら、俺の上に乗りかかる。
「私も、遠慮するふりは止めた」
クリスティもベッドの上に乗り、リアが乗っているにもかかわらず、マイペースで俺の棒を掴む。カオスだ。隣でいつの間にかレナが笑っている。全員イカレテいる。何かの箍が外れたようだ。
◇
「何よ、アレックス、全然イケル口じゃない」
「どの角度から、モノ申しているのだ」
ヘロヘロになったリアが、遺言のように呟き、果てた。
「エルフの世界を見せてあげる、明日からティアラと呼ぶこと」
「わかった」
といったクリスティも、細い足を俺の背に回し、ゴツゴツ互いの骨がぶつかり合うかと思っていたが、意外とクリスティの中は快適空間、肌が合った。彼女もそうだったらしい。激しい痙攣で何度も俺の腕の中で逝く。大丈夫かというくらいに抵抗を見せるが、俺が、彼女の中から抜くことを許さないかのように、腰に回した脚に力を入れる。互いに殴り合うかのような激しい交戦だった。いつの間にか外が暗くなっていて、レナが、リアとクリスティに【浄化】をかけていた。
「みんなが、我慢していたみたいね」
「全くだ。我慢に何の意味があったか、今更ながら、笑える」
「今日は良いこと尽くしだわ」
「本当だ」
俺が、レナを腕枕して天井を見上げた。
「明日から、私を怜奈って呼んでね、ダーリン。あなたと繋がって自分の記憶と名前を取り戻せたみたい」
「マジか!おめでとう、良かったな、怜奈」
「ええ、不思議な感じ」
「俺もだ、凄く、心強いよ」
◇
翌日
東門を施錠して、四人で北に向かった。今回はレベル、スキルレベルを上げることと、レアの魔石、レアドロップ、そして、たくさんの食材の実探し(俺希望)と化粧品の実探し(怜奈希望)をすることが目的だ。俺の気分が盛り上がっているのはもちろん、三人も上機嫌で嬉しい限りだ。そのうち、俺が猿之介と命名される日がくるかもしれない。
8km地点
ブルー・スライムのアルカリ成分、突進ボアやフォレスト・ボアの魔獣油、油の実と一角ウサギの角をパウダー状にすると、シャンプーや化粧品に応用できそうだという話を昨晩、怜奈に話したところ、通りすがりに拾っていきましょうということになり、谷底経由ではなく、獣道経由で歩いているところだ。事情は、リアとティアラにも説明して納得してもらっている。
不思議なことがあって、怜奈もぼんやりと探知ができそうな予感がすると話していたことだ。繋がりに拠る感覚の強化なのかもしれないと彼女は云う。他の二人にも変化が現れるかもしれない。
13㎞地点
午前中は、レベルの低い魔獣の森ということもあり、特に緊張感もなく歩をすすめることが出来た。歩きながら軽めの食事をとり、午後からさらに北に向かう。次はレベル10~20の魔獣地帯だ。油断しなければ大丈夫だろう。リアもファイア・ボールではなく、ファイア・アローで素材を大事に確保してくれているのがわかる。クリスティ、いやティアラも鑑定Ⅲのお陰で、無駄なく素材を集められているようだ。特にお気に入りのキノコをたくさん集めている様子だ。
16km地点
「フォレスト・ボアが七匹、10時の方向からくる」
フォレスト・ボアはサイズによってレベル13~16の魔獣だ。意識的にみんなはスキルレベルⅡのスキルを使って、レベル上げをしているようだ。俺も短剣Ⅱのスキル【スラッシュ】を使っている。
18km地点
「ゴブリンの集団、2時の方向、10匹、上位種がいるかもしれない」
緑ゴブリンはレベル10の雑魚だが、十匹以上の集団になると、上位種が必ず数匹いる。ゴブリン・ファイター(赤)、ゴブリン・アーチャー(黄)、ゴブリン・ヒーラー(白)がいた。ヒーラースキルのチャンスだ。ゴブリン・アーチャーの射程範囲のアウトレンジから、怜奈の矢があっさりと撃墜した。ティアラの風刃Ⅲが、面白いようにゴブリンの首を狩り落としていく。ゴブリン・ファイターの剣技も、リアの敵ではない、あっさりと俺の短剣でヒーラーの首を刎ねた。
▼魔獣図鑑―――――――――――
ゴブリン・ファイター(赤) レベル13 EX26
ゴブリン・アーチャー(黄) レベル15 EX30
ゴブリン・ヒーラー(白) レベル18 EX38
レア魔石:ヒール(白)
「幸先がいい、誰が回復スキルを覚える?」
俺の問いに三人が顔を見合わせている。
「私は、自己治癒が欲しいから、譲るわ」
リアがそう告げて辞退した。ティアラと怜奈が相談して、結果、ティアラがスキル【ヒール】を覚えた。
「どれくらいまで回復できるのだ」
「薬草と同じ程度。スキルレベルが上がれば、出来ることも増える」
「安心して怪我を負えるな」
「死なない程度にしてよ」
緑ゴブリン七匹の魔石を取り出していると、さらに奥から魔獣が集まって来る
「12時方向、アルミラージか、七匹」
アルミラージは、一角ウサギより二回り巨大だ。角が無いが、巨漢で体当たりをしてくる兎だ。七匹のうち一匹は紫色だ。特殊個体かもしれない。七匹のうちで断トツ足が速い。リアが剣を振り下ろすが、さらに低く搔い潜って、リアの腹をブチかまし、その背後にいた怜奈も巻き添えを食った。遅れてくる六匹のアルミラージが、倒れた二人に突進してくる。俺はその間に割り込んだ。
【水弾】ウォータ・カッター×5
指先から五発の水の刃を振り切り、アルミラージを足止めした。残り一匹は、倒れながらもレアが剣で串刺した。二人を押し倒した特殊個体のアルミラージは、反転して再度、突進を始めた。
【水弾】ウォータ・スピア
【風刃】ウィンド・スピア
二発の槍を食らい、アルミラージは前転しながら、怜奈の上に乗るようにして足が止まり、息絶えた。
「ヒヤッとしたな、大丈夫かリア、怜奈」
「おう、油断した、振り下ろしではなく、突き刺すべきだった」
「次に活かして」
▼魔獣図鑑―――――――――――
アルミラージ レベル14 EX28
バイオレット・アルミラージ レベル19 EX38
【ショルダ・チャージ】の魔石
ショルダ・チャージのスキル:自分よりもレベルの高い敵でも、肩をぶつけ、怯ませる事ができるスキル。そのダメージ量を、自身が与える物理ダメージに乗算する。
「リア、この魔石はどうだ」
「うん、物理系統のスキルは、積極的に貰いたい」
シソ饅頭を食べたかのように、リアの体が紫に光った。
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