第16話 バーベキューと風呂
新居周辺を散歩中の帰路、冒険者になりたての五人に絡まれ、ぶっ飛ばした。先輩にあたる冒険者たちが家の前で集会をしていた。塀を乗り越えようとして怪我をした男ジャックがリアの知り合いだった。入口鉄門上部に『カノッサの星屑』のプレートを張り出した。そして、20人近くの冒険者たちが俺たちの新居の庭でバーベキュー始めた。
◇
「俺の名はガストネ、Cランクの冒険者だ。こいつらは、弟分、妹分みたいなものだ、よろしく、アレックス」
「ああ、此方こそよろしく、ガストネ」
髭面のガストネはリアとも面識があったようだ。道路で騒ぐな、庭で騒げとリアがこいつらを東門から招いて、東側の敷地で飯を食うことになった。おそらく、リアが着火にファイア・ボールを試したいだけだと思うのだが。
森から降りてきて、肉があるのでお裾分けだと云われ、出してもらった肉はオーク肉だったが、上質部分ではなく、中品質のものだった。まあ文句は言わないが。ガストネたちの野戦具のようなキャンプ道具で調理が始まったのだが、見たこともない魔道具だった。
どでかいコンロのようでもあり、強力なガスバーナーのようでもある。鉄板の下から火で炙っているのだ。風呂にも使えると云う。俺はこの道具に関心を持った。ファイア・ドレイクの魔石を使うと炎が、ブルー・ドレイクの魔石を使うとシャワー替わりになると云う。不思議な魔道具だ。どこで手に入れたのか聞くと、ダンジョンの宝箱だと云う。ダンジョンがあるのか!となるのは当たり前の流れだ。
ガストネの話によると、フォンタナの街には冒険者が約500人いる。それが、狩場を巡っていつも喧嘩、殺し合い、奪い合いが続いた。それを見兼ねた街の長老たちの仲介で、いつしか3つの大きなチームに分かれたこと。その時に、西地区、ここ中央地区、東地区の縄張りに分割して、話し合いによって活動地域を分けたのだと云う。30年くらい前の話らしい。
レベルが50を超えると、縄張りに関係なく、50㎞先の3つのダンジョンに潜れるというのだ。そこには宝箱があり、魔道具が見つかるらしい。ただし、500人いる冒険者で、ダンジョンまでたどり着けるCランク以上の冒険者は50人もいないとのこと。大半は、魔獣に食われ、同じくらいの人間が、人間に殺されるのだと云う。こいつらは殺される側だ、と先ほど絡んできた五人を見遣る。
「俺たちは死なない!そいつが卑怯なだけだ」
「どう考えても一番弱い、このナイフで殺せる」
必死の彼らの弁解も、クリスティが一刀両断。その五人を除いた15名はレベル30以上のメンバーで、中央地区ではトップレベルなのだと云う。Dランクに成ればソコソコ稼げるからな。とジャックも横入りする。
「レベルが30越えても、ここの城壁は越えられなかった」
「油断したんだよ!」
「油断する冒険者は雑魚、魔獣相手に油断したとか、卑怯だとか言ってろ」
リアとクリスティがジャックを煽る。
西地区には、獣人族が多く、東地区にはエルフ族が多いのだと云う。それ以外は中央地区にいるが、一番劣勢だと云う。地区を分けたのに劣勢とはどういうことなのか、尋ねた。東地区はどこまででも東に開拓に行ける。西もそうだ。俺たちは北に進むしかない。三年に一度、冬のとある日に突然始まる
猫獣人の血が1/4混じるリアも、ハーフエルフのクリスティも、東も西も純血主義だから、どちらかに移住することは無いという。
「ああ、なるほど、たった一枚、皮を捲れば同じなのにな、獣人もヒトも、エルフもそして魔獣も」
「随分と極端な意見だが、言われてみれば確かに。アレックスは達観しているな」
俺の独り言に、ガストネが反応した。
◇
バーベキューが終わり、解散後のその夜
火弾を練習しまくったリアが、風呂の中でも使いまくっている。湯温が上がりすぎだ。
「熱い、アレックス冷やして」
「おう」
【水弾】で冷やそうとするが、湯が出てしまった。どういうことなのだ。昨日赤魔石を一つ食べたからか。しょうがないので、その湯でシャワーをクリスティとレナにかけてやる。彼女たちは、一緒に暮らし始めて素っ裸になるのを躊躇わなくなった。クリスティは俺の顎ぐらいの背丈。レナは鼻先くらいの背丈だ。
▼【魔女鑑定】――――――――――――
クリスティ 156cm
レナ 160cm
リア 158㎝ 尻尾20㎝だそうだ。
リアは、筋肉ウーマンなので背丈以上に大きく見える。耳とは別に小さな猫耳。背中が猫毛のように白く、20㎝くらいの三毛猫模様の控えめな尻尾がある。爪はヒト型だ。あとは下の毛も三毛猫模様だ。先日、珍しいのでガン見していたら、鳩尾を蹴られた。
クリスティはとにかく細い。手足も長く、首も長い。上半身が短いのか、と思うがそこまででもない。腰の位置が高いと云うのだろうか、背中のすぐ下からくびれているので、上半身が短く見えるのかもしれない。お尻も控えめ。もっとデカくてもいい。おっと、口に出た。
レナは、とにかくバランスが取れている。文句の付け所がない。お湯をかけながら、流れ落ちる水雫を目で追う。胸の先に水滴、下の毛の先で水滴。鼻の頭に水滴。白銀色の水滴も綺麗なものだ。一人感心する。
風呂の中に入ると、入れなくはないがまだ熱いので、縁側に座り、足だけを入れる。手から出る水温も下がり水になったのでバンバンと湯の中に【水弾】を打ち込んでく。クリスティも風魔法で風呂の表面の湯気を飛ばして冷ましていく。
「土弾を風呂で使うとどうなるのだ」
「今は、石礫しか出ないので、小石が転がるだけかも、そういえばアレックス、あなた髭を伸ばしているの?」
「ん、いやそんなことは無いが、云われてみればカミソリがないから、一か月伸びっぱなしか、みんな毛ぞりとか、整髪とかは、どうしているんだ?」
「小型ナイフを使うかな、一般的には、解体用の奴」
「ああ、あれか」
鋏とか、カミソリとか、鉄で作れないかな。ああ、短剣スキルがあるから、短剣でいいか。あと、石鹸やシャンプーとか。化学薬品の代替品とかこちらの世界にないかな、魔女様。
アルカリ溶液(ブルー・スライム)とハーブ、魔獣油少量(突進ボア)と植物油の実をブレンド、一角ウサギの角を削った安定剤を混ぜろと。
剃毛ムースの出来上がりと。
試してみよう。剃毛ムースを顔につけて、短剣Ⅱのスキルでシュパ!お、思ったよりいい感じでスライドした。耳の前から顎のライン、口元、後は眉毛。鉄の鏡の前で剃ってみた。うん、まあまあかな。今まで髭面(無精ひげ)だったとは気づかなかった。
「あ、いい感じなっている」
クリスティとレナが頬擦りしてくれた。合格らしい。いきなり、クリスティが俺の前に立ち、ここの毛を剃った方がいいか尋ねた。なんで、と聞くと、ツルツル饅頭が好きな男が多いと聞いたことがあるという。俺の好みはサテオキ、ありのままでいいよ、全く問題ないと応えておいた。危ない、俺はツルツル饅頭派ではないけれど、クリスティのツルツルも似合いそうだな。見てみたい気もするが、搔き分けてみるからこそ価値があると思うんだ。あ、口に出た。
剃らなくていいからな。と丁寧にフォローして、クリスティを抱きしめた。
「掻き分けたいなら、リアがお勧めよ」
「ニャ!」
リアが離れて湯に浸かっている。なんで離れているんだ。リアを捕まえて立たせてみると、うまい具合に尻尾で隠している。
「ちょっちょっと、尻尾は触るな、あ、こら、ダメだといっている」
俺は構わず、リアを膝に乗せ、背中から尻、尻から尻尾、尻尾から谷間を指でなぞってみた。尻尾以外は普通なんだな。普通とはなんだ、貴様犯すぞ。とリアに睨まれた。なんか嗜虐心をそそるな、背中から胸に手をまわして揉みしだいた。実にいい。たわわの実だ。実の先端もいい。あ、ヤバイ立ってしまった。
「リアのおっぱいごときで立てるなんて雑魚」
クリスティに雑魚扱いされてしまった。レナには無言で掴まれた。上下運動はやめて。指先で先端を触るのもダメだ。思わずレナの下半身に手を伸ばしてサワサワしてしまった。
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