第10話 服を脱いで胸を出せ レンガ製作

 まだ、昼過ぎだと云うのに、狩りどころではなくなった。素材も肉も十分に集まったから四人のスローライフが、開幕したと云っても過言ではない。恥ずかしがるクリスティを採寸の為ハグをして、緩いよりはきつめの方がこの子はいいかな。


 78のA。で作成した。


 簀巻き布をクルクルと引っ張り、その場でクリスティも回る。上をスッポンポンにして、背後からブラトップを被せた。ぴったりサイズだ。彼女の肌は真っ白に近い小麦色。ささやかな胸だが、生意気にも乳首を立てている。それを触りながら調整した。くすぐったそうにしていた彼女も、胸の解放感に驚いている様子だ。

 背後に立つ俺を見上げるように顔を上げる。ああ、反則的な可愛さの上目遣い。唇を奪ってしまいたくなる。が、我慢だ。彼女にもベストを着せ、姿見の前で、確認をさせる。


「これ、軽くていい。とてもいい、ありがとうアレックス」


 彼女が正面から手を広げるので、俺も彼女を抱き返した。簀巻き布の時にはなかったバウンド感。78とはいえ、アンダーも細い。元々スレンダーな彼女、寧ろふっくらとした胸が目立って見える。これはこれでいい。落ち着きのある大きさで俺は好きだな。と声に出た。クリスティが顔を赤らめてしまった。


「次は私の番だな」


 リアがさっさと簀巻き布を脱いでいた。筋肉質の上半身。背中側は猫の柔肌のような白い毛深さがあるが、肌触りがいい。前はヒトと同じ褐色の肌、自己主張の強い胸。背後から彼女の胸をワシ掴みにしてサイズを測る。指で乳首を挟んだ。リアに睨まれたが、大事な採寸だと真剣な顔で応えた。


 88のE。世界チャンピョンかな?


 そういえば【鑑定Ⅱ】になって、身長と体重、スリーサイズが表記されるようになった。が、カップ数は表記されない。触らないと正確な形、どこまで胸をリフトさせるかは調査対象なのだ。

 案の定、リアにつけたブラトップは、彼女の美しさを二段階引き上げた。下乳のポジション取りに手間取ったふりをした。圧倒的重量感。

 彼女にもベストを着させた。ベスト越しでもわかる肉厚。うん、いいんじゃないだろうか。ああ、ピザまん(ビッグサイズ)が食いたい!


「おお、これは、肩こりから解放されるな、これは軽い、爽快だ」

「肩口の布幅を少し広めに取ったので、胸の重さが、肩と胸と背中に分散されるから、肩こりも7割近く軽減されるはず」

「へえ、機能的なのだな、色の種類はこれ一色なのか」


 今のところ、オークとゴブリンは素材としては使えない、通気性の良い四足歩行の毛皮タイプだと、次回にまた作ることはできる。熊やイノシシの毛の場合、毛が固いので重くなると話した。ズボンや膝ガードには使えるけれど。

 なので、上半身は、ウルフ系かタイガー系、大きなラビット系でもいいかもしれないな、とリアも思案したようだ。いっそ、フロッグ系とかなら、水に濡れても大丈夫なので水着として代用できると伝えた。ブラもベストも三人とも喜んでくれた。


 いい仕事ができたよ。乳との遭遇も果たせたしね。


 風呂桶を入り口側に移動して、寝室を奥側にした。床面は高圧洗浄【水弾Ⅲ】でなるべく平らにした。奥側を高くしているので、水は入り口まであっという間に流れ出た。ツルツルになった床面の上に、ディープ・フォレスト・ウルフの毛皮を4枚敷き詰め、四人が広々と眠れるようにした。次は枕だな。


 ◇

 フライパンを作ってから、料理が劇的に進化した。マジでオークステーキ最強だ。ナイフとフォークも好評で、最初は手づかみだったリアも、器用にナイフとフォークを使いこなすようになった。俺が、食事中もナイフを使うことで、ナイフスキルが上がるかもしれない、などと、俺が適当に云ったことが功を奏した。

 そのステーキの横に、芋のサイコロ揚げ、山菜の天ぷらっぽい揚げ物。彼女たちも揚げ物(モドキ)が大好きだ。塩をつけて食べられるのも吉。そして冷たいハーブ茶、このハーブ茶のお陰で洞窟内はいい匂いが漂うようになった。彼女たちの臭さも全くなくなったからね。


 彼女たちと過ごし始めて10日ほど経った。すっかりと打ち解け、今では風呂で髪も前面も俺が洗うことを任命された。よほどウオータジェットの温水シャワーが気に入ったようだ。遠慮なく乳首周りも下乳も、脇も股も膝裏も、汗をかきやすいところは入念に高圧洗浄で綺麗にした。あそこの毛って髪の毛と同じ色なのだな。レナが白銀だったので狼狽えたわ。しかも、擽ったそうに俺にしがみつくものだから、赤ちゃんおしっこホールドをして、彼女たちが逃げ回らない様に洗った。意外と楽しいイチャイチャ・オープンタイムだ。


 ここ4日ほど、フォレスト・オークやスパイダー・シルク、ディープ・フォレスト・ウルフを倒しまくったおかげでみんなレベルが上がったようだ。


 ▼【魔女鑑定】――――――――――――

 リアナ レベル19(+2) スキル【剣技Ⅲ】(ダブルスラッシュ)

 エレナ レベル19(+3) スキル【弓技Ⅲ】【スナイプⅡ】

 クリスティアラ レベル18(+3) スキル【鑑定Ⅲ】

 アレックス レベル17(+3) スキル【鑑定Ⅱ】 ギフト【回収手帳Ⅱ】



 衣食住の環境を推進していきたいと考えている俺。水と岩と粘土でレンガをこっそり作っている。ある程度の数を造れば、きっと回収手帳の収納内で自動生産機能がつくはずだ、と根拠はないが何故か予感がする。魔女様とのアイコンタクトみたいなものだ。


「アレックス、この赤い、奇妙な形のものは肉なのか」

「食べ物ではない、レンガと呼ばれる建物材料だ」


「住むところならあるじゃないか、ここも、麓の村にも」

「以前、話をしていた壁や塀を作りたいんだよ、あと君らと住む家(強化済み)」


「これを積み重ねるのか」

「そうそう、これを重ねてくっつけると、強力になるんだ、家も燃えないからね、火攻めでも対抗できる」


「誰と戦う気だ」

「もちろん、魔獣や盗賊だよ」


「国とやらを造る気か」

「ん~それはどうだろう、レナ達みたいに気の合う仲間ならいいけど、いろんな奴がいるだろう?まずは、三人を全力で守る。次はパーティが増えれば、彼らを守る。村が出来れば、村を守り、増えて行けば里を守れるようにね。国造りは何十年、何百年もかかるから、俺の世代では無理じゃないかな、子どもや孫の代に任せるよ、その礎の一歩が、このレンガ造りだ」


「へえ」

 と言って、よくわからないな、という顔でリアは、レンガを見つめていた。


「年中、冒険者をやらなくても、魔石も、肉も、素材も集まりそうだろう?空いた時間で、夏服や冬服、年中過ごしやすい住まいや、いつでも美味しい食事を良くしたら、人が集まるかなと思ってね」

「アレックスは、何人の女を囲うつもりなのだ」


 俺はその質問に手を止めた。


「女を囲うためにやっているんじゃないよ。俺の女は、君ら三人いれば十分だ。味方が増えれば、敵の脅威が減るだろう?ただそれだけの話だ。こういったレンガを作る時間的な余裕は、飯と寝床と衣類が既に揃ってこそできるだろ?冬には、暖かい家で、のんびりと過ごしたいんだよ、俺は」


「あはは、今のうちに稼いでおけば、冬はのんびりできるな、それはいい考えだ、ところでレンガは幾つくらい作るんだ」


「家に四万個、塀に十八万個、余裕があれば、家を増築して二階建てにしたいな、あとは物見やぐらとか」

「お、おう、お前が住むのなら歓迎だ、二階建ての家なんて見たことがないぞ」

「街にはないのか」


「木造の宿泊所とかギルドとかはあるが、住居用は見たことは無いな」

「ええ、それなら、カノッサ村の象徴になるな」


「象徴ってなんだ」

「ん~、平和の目印みたいなものかな」

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