第5話 静江と清二

昭和二十四年三月、清二の小学校卒業式だった。

校長先生の挨拶、来賓の挨拶、が終わり、卒業生の名前が呼ばれ始めた、一人ずつ起立した。清二も呼ばれて起立した。


生徒代表が、校長先生から、まとめて卒業証書を戴いた。


清二の担任の静江先生は、小柄で、おかっぱ頭だったが、一際、輝いて見える、紫の無地の着物を着て、一組の飯田先生と並んで教壇に向かって左側前に座っていた。


後ろに生徒の家族が、三十人ぐらいたっていた。


式は、終りに近くなって,仰げば尊を、卒業生起立して、歌い始めた。


清二は、小学校入学の時からのことが、走馬灯のように、思い出されていった。


戦中に入学して、三年の一学期まで、軍服を着た、先生に細い青竹で、みんな並んで尻を叩かれ、チョークを投げられ、顔を反らすと、消火用赤色の水の入ったバケツを持たされ、ローカに立たされた。防空頭巾をかぶって通学し,空襲の時は山手にある防空壕に、逃げ込んだ。

三年生の時、若い受け持ちの先生は,出征していった。


終戦後は、がらりと変わった。軍服の先生は、居なくなった、転校したとのことだった。

四年、五年、の時、復員してきた先生に持たれた。欲しがりません、勝つまでは、だったが、欲しくても、食べ物は無かった。白米の弁当を持ってくる子は、農家の子だけだった。

辻先生は、生徒の食事を点検しながら、見て回り、生徒のおかずを、いいおかずを持ってきたなと、言いながら、つまみ食いをしていたこともあった。

六年生になった時、先生は、体調悪く、亡くなった。あとに、

静江先生が、清二の受け持ちになったのが、一学期に成ってすぐだった。


清二たちは、通学は下駄履きが、ほとんどで、体操は、裸足だった。教室では、上履きは、藁草履が殆どで,素足だけの子もいた.冬は足袋をはいていたが、直ぐ穴が開いて、親指が出てしまった.下がゴムタイヤの,足袋草履の子は、金持ちの子だった。


清二たちは、ローカに、ロウで滑るように、艶をだし,草履スキーをして滑って遊んだ。ゴム草履に対しての、やっかみでやった。金持ちの子の,ゴム草履の子は、滑れなかった。


静江先生に代わるときも、清二たち数人、滑って遊んでいた。休み時間が終わり、静江先生の初めての授業だった。


静江先生が、教室に入ったのが、わからず、滑っていた。先生が、そこで遊んでいる生徒、教室に入りなさい。ローカ危ないですから、拭き取っておきなさい。と言われた。清二を除いた皆、教室に戻った。


静江先生は、担任だった辻先生の、交代での顔合わせだった。


清二だけ、教室に戻らず、あと少しだったので、ローカの拭き掃除をしていた.下を向いていたので、静江先生が、後ろに立っているのに気が付かなかった。


静江先生が、貴方が、清二君ですか、なぜ、教室に戻らないのですか。私は、あとで掃除をしておきなさいと、言ったのです。


清二は、先生に言われてみたら、転ぶと危ないので、私の責任で拭き取っているのです,怪我があってからでは、遅いので、あと少しで終わりますから、

先生、授業を始めていてください。と初対面になる、静江先生に、顔を合わせないで、掃除を続けた。そして、すぐに終わったので、雑巾を持って立ち上がり、静江先生に私が、清二ですと、お辞儀をした。


静江は、このクラスを上手くやるには、まず清二を味方にした方がいい、と教えられていた、清二さん、私の言うことを、守ってください。小学残りを受け持つことになった、静江です。あなたが、私の言う通りにして下されば、そうすれば、新米の私ですが、辻先生の代役を卒業まで、頑張れそうです、協力してください、今日みたいに、身勝手はしないでくださいと約束させていった。


清二は、静江先生は、学校へ、去年,着任したばかりで、先生の欠員のあった時、代役をしていた。顔だけは、合っていたが、話すのは、初めてだった。

担任に、女の先生は初めてだった。


夏休みに入って,校庭で、野外映画が上映された。白い大きなスクリーンが、張られ、暗くなってから、上映されることになっていた。時代劇だったが、題名は、覚えていないが、スクリーンの裏からも、見ることが出来た。アラカンの鞍馬天狗だったような気がする


校庭には、無料でみられるので、いっぱいになるような人出だった。


静江先生もお母さんと一緒に来ておられた。前の方は、茣蓙で座っていた。


清二も、始まる少し前に、着いた。


静江先生が、お母さんを、紹介してくれた。お母さんは,鳥でいえば、ツルのようにきれいで、どちらかと言えば先生はアヒルみたいで、白鳥には,ほど、遠うかった。


お母さんは、着物が似合っていて、近寄りがたい、綺麗な人だった。


静江先生は,小柄の方で、おさげ髪で、顔は、どちらかと言えば、子供っぽくて、でも可愛い顔をしていた。何時も紺色のスーツを着ていて,スラックスの下は、ゴムで搾っていた。モンペのようだった。素足は見せなかった。一重まぶたで、縁なしのメガネをかけていた。今日は、浴衣を着ていた。


静江先生は、清二のことを、母に、清二さんが、親分肌で、みんなを良くまとめてくれているのです、成績も、上位の方で、試験では,解っていることを、いつもチョンボして,なかなか、100点取れないで、私もいつもイライラしてしまっているの。何とかしてやりたいのだが、採点は、1組の先生がするので、どうしようもないの,100点の子だけ、教室に張り出されるの。卒業までには、1回でも張り出されると、嬉しいのですが。とそのようなことを母親に、言ってくれた。

そして、清二さん、夏休みの宿題は、進んでいますかと聞いてきた。


                 

清二は、俺、家でぶらぶらしていると怒られるので、おじさんの,木工所に手伝いに行っているので、あと自分の時間が取れたときは、プールに出かけるので、宿題は、やっている間がありません。5年生の時も、宿題をやらなかった、先生が、宿題を提出しなさいと、言われても、1週間ぐらい、我慢していると、次の授業が始まって、先生も、宿題のことは、何も言わなくなる、だからやったことはありませんと言った。


静江は、私は、宿題を必ず見て、二学期の成績の参考にするつもりです。だから、必ず、提出してください。と急に厳しくなった。

明日の日曜日に、お手伝いも休みでしょうから、私の家に来なさい。宿題を見てやりますからと命令だった。


野外映画が上映されだした。


次の日、先生に教わった通り、宿題を持って、お邪魔した。


静江先生の母の、ユリが出迎えてくれた。


清二は、宿題の、夏休みの研究作文を、木工所の1日、という題で書いた。

あと,休み中の天気を、先生が附けてあるのを、見せてもらった。昼前に、大体のことはできた。


ユリお義母さんが、お昼に、白米のご飯を、特別に炊いてくれた。おかずは、塩サケとおしんこだった。ユリは,ご飯、欲しいだけ食べてくださいと言ってくれた。


清二は、白米のご飯は、久しぶりだった。遠慮しないで3杯、あっという間に戴いてしまった。静江先生も、お義母さんも、まだ一杯目だった。

清二は、あまりにも早く食べてしまい、バツ悪かった。


ユリは、清二さんよかったら,お変わりしてくださいと言ってくれた。


清二は、すまなそうにそっと、ご飯茶碗を出してしまった。


ユリは、若い子は、気持ちがいいわね、ご馳走し甲斐がありますと笑った。

                 


清二は、最終的には、5杯、戴いた。食いだめにもっと食べたかったが、お櫃を空にしてはいけないと心配になってしまい、箸をおいた。


静江は、母に、清二ことを話し出した、それは、体操の時間の終わるころ、砂場で、みんなで相撲していた時、見ていたら、清二さんが、一番強かったの。その時、清二さんを、倒せば、みんなが私を、馬鹿にしないだろうと、思って、清二さん私と勝負しましょうと、挑戦したの、私も戦時中,薙刀や護身術をやっていたので、自信あったの、その時、清二さんは、俺、女の人とは、勝負しないと言ったの、私、女だと馬鹿にしないでと、清二さんの,むなぐら、掴んで、あとに、清二さんの右腕をつかんで、背に背負い腰で跳ねあげて、一本背負いをかけたの、清二も、宙に浮いて背中ら落ちたの、それは見事に決まったの。見ていた。男子、女子生徒は吃驚していた。清二は、参りましたと、頭を下げた。それを見て,尚みんな吃驚してしまった。

私は、これで、体操の授業は終わります。と言って解散したのです。


それから、みんな、私を見直したみたいで、気持ちよく授業をすることができたの。

一学期の終わるとき、身体の弱い、武さんが、私に、先生、清二君を、やっつけたと思っているでしょうが、清二君は、俺たち四年生の時、俺が、6年生にいじめられて泣いていた時、清二君が、誰にいじめられたか、言ってみな、と言ったので、6年生の、彼を教えてしまったの。そうしたら、

休み時間、彼を呼び出し,手向かい出来ないような、弱い子を、なぜいじめる。と言って、相手のむなぐら、掴んで、それは見事な一本背負いで、ローカで倒してくれたの、もういじめるな、と、懲らしめてくれたのです。

清二は、小学校三年生の時から、柔道を習っていたの.級を持っているの。

それを見ていた、上級生で、柔道の先輩がいて、清二君に、喧嘩に柔道を使うなんて、そんな教えがあるか、と可愛そうなくらい、怒られて、倒した相手に頭を下げ、柔道の先輩立会いで、謝ったの。清二は、本当は、強いです。と教えてくれた。

母に、静江は、その時有頂天だった自分が恥ずかしかった。言われてみれば、清二さんの、投げられ方が、あまりにも見事だったの。だから清二は、威張らないが、みんながついてくるのが、よくわかったの。


清二さんの、宿題、手伝うぐらいしても、しきれない恩があるのと言った。

                 

ユリは、静江から、清二のことを聞いて、これからも、清二さん、静江の手助けをしてやってくださいと、頼まれた。


清二は、久しぶりに、おいしいご飯戴いてありがとうございました.とお礼を言って、おいとました。


運動会も、学芸会も、清二は活躍をした。


二学期が終え、正月三日のお昼に、数人先生の家に招待された。

級長、副級長、はじめ、百点をとった成績のいい子だけだった。


清二は、まだ百点取ったことないのに、招待された。ただ相撲が一番強かったぐらいだった。一寸と引け目を感じていた。


静江先生が、あと三か月はありません。皆さんと、お別れです。三学期は、あっという間に、終わってしまいます.実のある、思い出に残る、小学校生活を送ってくださいと言われた。


ユリ、お母さんは、静江が初めて、皆さんを受け持って、最初に送り出す、生徒さんが、皆さんです。日数少ない、一日一日大切にお過ごしください。そして、お元気で無事卒業されて、中学校への進学を心よりお祈りしております。そして、微力ながら目いっぱい頑張っている静江を、忘れないで、今後ともよろしく頼みますと挨拶された。


お煮しめあり、御餅の入ったお汁粉あり、楽しい新年でした。



二月中旬、最後の試験があった。


国語の試験の時だった。


清二は、最後は百点取りたいと、勉強していた。書き取りもできたし、これで完璧と思っていた。


静江先生も、みんなの席の間を巡回して、出来具合を見て回っていた。

 


清二の,席は、窓側の一番後ろだった。


静江は、清二の出来具合を見ていた。書き取りの、被害と書くところの、衣へんが、示すへんに、なっていた。もう清二は、気が付いていない、静江は、教壇に戻り、衣編を、持参している資料の、ノートの端に、被害の被、清二が、気付くように、書いて,席の間を巡回して、清二の机を揺らして、脇の下から見せた。


清二は、先生が二回も、回ってきて、立ち止まっているので、顔をあげて、先生を見た、脇の間から,大きめな字で、被が書いてあり,点を赤色で,気が付くようにしてあった。自分の書いてある、示すへんでなく、ころもへん、に直しなさいと、まさにカンニングである。


清二は、先生がなんで俺の為に、こんなことまで、するのかと、考えてしまった。先生は、俺の顔をみないで、前に行った。


清二は、考えに考えて、ころもへんに、直した。



採点は、一組の飯田先生がした。



最後の試験結果が発表された。


一組、二組、で百点は、清二一人だけだった。


静江先生は、清二さん、いつも九十点は取っているけど、百点は、初めてだから、よく頑張ったねと、おめでとうと、褒めてくれた。


清二が、百点なんて、初めてだったので、みんながスゲーな、とほめてくれた。

でも清二の心のなかは、本当は九十点だと、素直に喜べない、ぽかっと穴が開いたようだった。


授業は、あと修学旅行の日まで、ほとんど、自習時間だった。

                 

清二の、家は、母子家庭で、修学旅行へ行くことは無理だった。だから、あと先生に会える日は、卒業式まで、無かった。決心して会うことにした。


清二は、カンニングしたことが、偽りの世界だと、しなければよかったのかと、悩みに悩んだ。静江先生とのことを振り返ってみた。


ローカで初めて、言葉をかけられ、砂場で投げられ、野外映画で、先生のお義母さんを紹介され、運動会の時のホークダンスの時、手をとりあったとき、強く握ってこられた。先生の自宅での夏休みの宿題、新年会に招かれての帰り、握手して帰った時、両手で握ってこられ、すぐには離さなかったこと、いろいろ思い出されて、百点のことだけは、どうしても、卒業前に確認したかった。


土曜日の夕方、清二は先生の自宅に伺った。


ユリお義母さんが、よく来てくれました。静江も、もう帰るころだとおもいますから、あがってお待ちくださいと言われた。


清二は、先生が帰られるまで、外をぶらついています。と言って、外で待っていた。


静江が、帰ってきた。


静江が、清二さん、どうしたの、まあ、家に入って、と言って、強引に手をとり、ただいま、と言って、静江の部屋に案内された。


清二は、これで伺うのは三回目だが、先生の部屋に入るのは、初めてだった。


静江は、今、お茶を用意しますから、そこに座って待っていて、と言って部屋を出た。


清二は、先生の部屋を、見た、押入れの、脇床は、本棚があり北側に向かって勉強机があり、机に並んで姿見の鏡があって、女の先生らしい、大人の女の人の臭いが、漂っていた。

静江が、お茶と、お菓子代わりに、白い麹のふいた、干し柿を菓子鉢に盛り,円い、茶ブ台を、組み立て、出してくれた。


                  

静江は、お茶を飲まない、清二に、冷めないうちに飲んでおくれ、と緊張している清二を、和らげようと、笑顔でいった。


清二は、お茶を、飲む前に、先生に,聞いておきたいことがあるのですと正座をした。


静江は、何か難しいことなのと聞き直した。


清二は、先生、俺の国語の試験の採点なのですが、本当は、九十点なのに、

先生の、脇の下から見せてくれた、サインを見て、示すへんを衣へんに直して、もらった百点なので、本当の実力ではないので、このカンニングを、なんで

俺にだけ、してくれたのか、お礼を言わなければいけないのか、どうしても、もやもやした気持ちの整理が出来ないのですと伝えた。


静江は、今度の試験は、九十点以上は、清二さんだけで、直さなくても九十五点もらえたのだし、今度の試験は、何と言われようが、清二さんが、一番だったのだから、そんなに悩むことは無いのよと言った。


清二は、百点で、張り出されるより、俺、九十五点、の方が良かった。と言い張った。


静江は、清二さんは、何時もあとちょっとで、張り出されなかったので、私も、何とか、お応援したかったの。清二さんが、そんなに悩んでいるなんて、ごめんなさい、だって、この試験は、受験や通信簿、には、関係なかったので。

本当は、清二さんを、私が好きだから、悪い事とは、知りながら、清二さんが、私のサインに気が付いてくれればいいのですがと、その時私の心は正常ではなかったのですね。私の、あなたを思う気持ちが、理性を忘れさせて、カンニングのお手伝いをしてしまいました。本当にごめんなさいと涙ぐんでいった。


清二は、僕、これで帰ります。と席を立って、入り口に歩き出した。静江の、泣く声が、耳に強く感じて振り返ってみた。俺を見ず、お膳に顔を伏せ、嗚咽していた。


清二は、静江先生を泣かせに来たわけでは無い、帰れなくなっていた。


清二は、そうっと、静江の傍に寄り添い、優しく背中を撫でながら、先生,

ごめんなさい、先生に、自分の情けない気持ちを、聞いてもらいたく、先生のサインを見て、その時は、ありがたかった。これで完璧と思った。すぐに直した、俺が一番悪いのだと、泣いている先生を見て、気が付いた。


先生が嫌なら、サインを無視すればよかったのだ、責任は俺にあるのだ、だから先生を好きな自分が、直していたのだ。素直にありがとうと言えない自分が、恥ずかしく、先生に向かって、正座して、先生御免なさい、ありがとうございました。と目を赤くして、頭を下げた。


静江は、清二を見た。頭を畳に付けるようにしていた。お互い一年間、先生と生徒で、成績も性格も,わかりあい、お互いが、好きあっていたことの確認のプラス五点だった。


静江は、清二の顔をあげるように、手を添えてやった。自分の涙を拭いた、

ハンカチで、清二の涙目を拭いてやった。自然と清二に触れて、清二を好きな自分を確認した。そして清二に、カンニングの五点は、貴方と私だけの一生の秘密に心の内にしまっておきましょうと言った。


二人は、お互い、身体を寄せて抱き合った。頬と頬がふれあい、静江は、自分より身体が大きい清二を、自分の可愛い子のように、母になった気持ちで、もう誰にも渡さないと、強く抱きしめた。清二も、力を入れて抱き合い、太い丈夫な糸で結ばれたようだった。この時が先生と生徒を超えての愛の確認だった。


静江は、清二さん、私、貴方にあった時から、貴方の子供は、私が産むのかな、と思ったの。あなたより、一回り上だけれど、貴方が成人するまで、待っていていいかしらと打ち明けた。


清二は、こんな、僕でよかったら、必ず、先生と一緒になりますと答えた。


静江は、嬉しい、約束して、と言って指切り拳万した、泣き顔は,晴れてきた。


静江は、清二さん、母が夕食用意してくれているので、食べて行って、と言って、お茶は、冷めてしまったが、この干し柿、送ってもたったの、おいしいから食べていて、と台所へ,たった。



清二は、自宅には、次郎柿があり、秋には、こうが噴くようになると、おいしかった。干し柿は、食べたことなかったので、おいしく食べた。



静江は、母ユリに、あたし清二さんと、将来結婚すると、約束できたの、いいでしょうと報告した。


ユリは、清二さんは,真面目そうで、いい子の様だが、小学生でしょう、若い男を貰うと苦労するよ、貴方が、決めたのだから、反対はしませんが、まだ先の事だから,と信じようとしなかった。


静江は、清二さん、修学旅行に行かないの、あたし、連れて行ってあげたいの.清二さんと、一緒に行きたいし、費用も持ってやりたいの。明日、清二さんの家に行って、清二のお義母さんに、あたしと清二さんと、両方の親に承認してもらい、許嫁にしてもらい、お付き合いを、公に認めていただきたいのです。と強引に母に頼んだ。


ユリは、こんな急に、こんなにせいて、何かあったのですか、と勘繰ってきた。


静江は、何もありません、お互いに好きあっているので、隠れて付き合うより、堂々と、道を歩きたいのですと答えた。


ユリは、静江が、あまりにも、真剣なので、では明日、清二さんの、お義母さんに、お願いに行きましょうと承知してくれた。


清二は、夕食を御馳走になり、許嫁のこと、母に良く伝えておいておくれと言われ、先生宅を、あとにした。



次の日の午後、静江と、お義母さんが、午後、陽のあるうちに、見えた。


ユリは、突然伺ったことを、まず詫びた。そして、静江が,清二さんとのお付き合いを、認めてほしいとのことで、お伺いいたしました。と申し訳なさそうに言った。


清二の母,ツヤは、そのことは、清二から聞いております。私からもお願いします。と以外にも素直に受けてもらった。


ツヤは、清二は、静江先生のこと、六年生の受け持ちに成られた時から、いい先生が、担任に成ってくれたと、先生のこといつも褒めるので、清二に先生そんなにいい人なのか、と聞いたら。清二が、先生といると、前から一緒にいたようで、自分を飾らないで、話せるし、何かあったら,かばいたくなるように感じる、不思議な先生だよ。と言うので。昨年の、運動会の時、遠くから、先生を見させてもらいました。先生も、清二を、何となく見守っているようで、あの先生なら、安心して任せられると、感じていました。


ツヤは、清二も子供と思っていたら、下着に、大人のしるしが、ついていて、悪い仲間に入らなければいいのだが、と思っていたところでした。静江先生なら安心して、任せられると、思いましたと言った。


ユリも、静江に、男の人の少ない時、縁談が来るのですが、私は、母さんを一人残してお嫁には行きません。と言って縁談に、見向きもしなかったのです。静江の心のなかには、清二さんしか、いなかったことがわかりまして、こんないい子に、お育てに成っている清二さんを、私共に戴きたく、直接お願いに上がった次第です。とこれは、私共の気持ちです、と言って、お土産と何か、大切なものが入っているような袋を、渡した。結納金だとあとで解った。


ツヤは、桜茶を出した。


ユリは、ツヤに、お礼を言った。そして、清二さんに、修学旅行に行く、履物と下着を、揃えさせてもらいたいので、そして、結婚するのは、まだ先の事ですが、許すなら今日からでも、許嫁として、私共の家で、暮らしてもらいたいです。と申し出た。


ツヤは、ユリさん、清二は来月から、中学生になりますが、身体ばかり大きくて、未熟者ですが、しっかり大人に,してやってください。この子に持たすものは、何もありません、小学一年生の時からの通信簿ぐらいです。


ツヤは、静江さん、わたしも承知しましたから、手ぐらいは、つないで、歩いてやってくださいと頼んでくれた。



清二は、自分の身の回りを整理して、旅行の前の日に、静江の家で暮らすようになった。


ユリは、清二を受け入れるにあたって、静江と内祝いの膳を用意していた。


鯛の尾頭付き、三々九度の、真似事をしてくれた。小学生だが、清二に祝いのお酒をついてくれ、静江をよろしくと言った。


清二は、正座して、お酒を受けた。少し緊張して、私こそ、お願いしますと言って、お酒を乾した。


赤飯を戴き、食事が終わった時、ユリは、二人に、今日から、床を一緒にしますが。先生と生徒さんで、子供が出来たら、静江も、先生でいられなくなります。清二さんも、働きが無いのに、父親になるのは、まだ駄目です。


ユリは、静江に、男と女が、一緒の部屋で暮らせば、自然と、結ばれることになります。その時はこれを使ってくださいと、隠れて避妊具を、渡した。


静江は、お母さん、心配しないで、清二が成人するまで、子供は持ちませんと言った。



静江は、明日修学旅行だから、早くやすみましょうと言って、部屋に戻った。


清二は、この屋の風呂に初めて入った。新しい、布団が二つ敷いてあった。


静江が、風呂から上がってきた。三月で、部屋は寒かったが、布団に懐炉が入れてあり、温かかった。


清二は、座って待っていた。静江が戻ってきて,姿見の鏡台の前に座り、髪を整えた。眼鏡は,はずしていた、座った、静江に、お願いしますとお辞儀をした。


静江は、こちらこそ、よろしくと言って、清二の身体を見せてと、言った。


清二は、裸になって、静江の前に立った。


静江は、清二に、いい体をしているね,一寸前なら、甲種合格だね。あたしとあんた、は、戦争を体験して、逃げ回ったけれど、銃を持たなかった、あんたが、欲しかったの、そして、私、いま二十五歳だけれど、私の今を見て、忘れないでほしいの。と言って、着ているものをぬいて、たたんだ。


清二は、静江が、自分を全部さらして、おもむろに立ち上がった。それを見て、俺、先生は、鳥に例えれば、寸胴でアヒル、と思っていたが。胸は,ふくよかな乳を支えて、腰は締まっていて、お尻は弾力有りそうに盛り上がり、腿は、ふっくらいて、足は締まっていた。肌は白くきれいで今、白鳥に見えます。


二人は、裸同士で、見つめ合い,どちらかともなく、笑顔になっていった。そして、寄り合い、抱き合い、唇を重ねた。清二は、静江を御姫さん抱っこして、床に入った。


清二は、静江の身体を舌で愛撫していった、うなじに舌が行ったとき、気持ちいいらしく、うねり出した、乳房を揉みながら、乳首を口に含んだ、乳首は小豆より大きかった。


静江は、清二の手を握っていて、気持ちがいい時、強く握ってきたので、性感帯が自然に、わかっていった。


清二は、静江の谷間に愛液が溢れているのが,愛撫している、右手が教えてくれた。入れるところも、自然と解ってきた。陰毛が入口を隠していた。


清二は、朝まらは、固く勃起するのに、静江の身体を、まともに見ていたら、どうしても勃起しなかった。それは、戦後からだが、近くの神社で見たことが、頭に浮かび,おっかなくなっていた.夏の朝、神社に蝉取りにいった、桜の幹に、朝孵ったセミの抜け殻と、まだ飛べないセミは、一杯手でつかめるようにとれた。その時、神社の下る土手に、女の人の血が付いた白地のパンツが、二、三枚捨ててあった。昼間いくと、片附いている。次の朝も,夏の間、必ず二、三枚捨ててあった。昨年の夏も、それを見ていたので、初めて交わる人は、血だらけになってしまうのかと、この新しい布団が、血だらけになってしまったら、怒られてしまいそうで、何時もより委縮して,しまっていた。


静江は、清二の、身体を見て、どうしたの、緊張しているのと聞いてきた。


清二は、先生と交われば、布団に先生の血が噴いて、真っ赤になってしまわないかと、立たなくなってしまった。俺、解らなくなってしまったと先生から離れた。


静江は、私は、タオルを敷いているから、大丈夫よ。心配しないで、と言って、今度は、私がしてあげると、亀頭を口に咥えて、舌で優しく愛撫してくれた。格納庫から、引っ張り出すように、吸ってくれた。


清二は、静江に、愛撫されて、朝立ちの様はちきれそうに勃起していった。


静江は、もう大丈夫と言って、両膝を立て、股を、おおきく開いた。右手で、陰茎をつかみ、あげた腰の、谷間の入り口に導いた。


清二は、静江の導きで、亀頭から、入れていった。


静江は、一寸止めて、と言って、優しくお願いと、何かこらえているようだったが、元まで、引き入れてくれた。


清二は、静江は、小柄の方だが、全部挿入できた、なかの広さを知った。

二人は、先生と生徒、あってはならない肉体関係を内緒に結び結婚する大人の男と女の約束を決める交わりをしていった。


静江は、清二、動かないで、と言って、両足を清二の裏腿にあて、引き寄せて行った、両腕は、背中に回して、大木にしがみつくように、していた。


清二は、静江の膣のなかの伸縮の繰り返しで、腰を振らないのに、頂点に成ってきていた。我慢できない、もう出そうだと言った。


静江は、なかにそのまま出しておくれと答えた。


清二は、初めての性交で,たまっていたのか、脈打って、どく、どく、どく、とあるだけ全部射精していった。婚約の契りだった。

出た途端、亀頭がとろけるようで、抜きたかったが、抜かせてくれなかった。


静江は、余韻が収まったのか,解放してくれた。


清二の、陰茎に、女の印がついていた。綺麗になって、暫らく二人横に成って話し合った。


静江は、あたしあなたが初めてで、貴方、よかったかですかと聞いてきた。


清二も、俺も初めてで、先生、どうでしたか、痛くなかったと聞いた。


静江は、馬鹿なこと聞いて、あたし達、初めて同士だもの、これが一番いいのよね、と笑った。明日の、修学旅行、あたし達には、新婚旅行にしたいわね

あたし、校長先生と、一組の和田先生に、清二と婚約しましたと、報告してあるの、だから、記念写真を二人でとりましょうね、と嬉しそうに言った。


清二は、今あんなに出したのに、今度は、自然に勃起してしまった。


静江は、あんた明日は早いから、早く寝ましょうと言ったが、受けてくれた。

そして、此のことは、二人の秘密ですから、絶対に話してはいけません、

ほんとはあってはならない児童虐待になってしまうの、と諭していった。

修学旅行列車に乗って、お米二合ずつ持って、日光名所めぐりして、中禅寺湖の前にある旅館に泊まった。


静江は、先生方と、泊り、清二は、大部屋で、雑魚寝だった。


次の日、華厳の滝を観たが,滝は、氷っていた。


両親の、土産選びは、静江と清二で、選んだ、水入らず二人だけで、楽しかった。校長先生には、許嫁のことは知らせてあったので、同級生には、気兼ねしないで、寝泊まりは別々だったが、まさに新婚気分だった。


卒業式が、終わり、前日、片付けて、綺麗にした、自分たちの教室に戻った。


静江先生が、一人ひとり、名前を呼んで、卒業証書を渡していった。


清二も呼ばれた。先生とは婚約者である。昨晩も、結ばれ愛し合った。


静江は、清二さん、おめでとうと言って、渡してくれた.一人ひとり、渡すとき静江は、みんなと共にした一年間を思い浮かべ、目を潤ませていた。清二の時に、涙が、頬を伝わっていた。


清二は、今朝家を出るとき、静江が、綺麗にした、ハンケチを胸のポケットに入れてくれて有った。卒業証書を受け取った後、静江に胸のハンケチを渡した。


静江は、ありがとうと言って、みんなに背を向けて、涙を拭いた。清二との一年間の想いが、心を駆け巡り、湧いてくる涙がおさえられなかった、清二との関係は、同級生は知るよしもなかった。


校長先生と静江を中心にして、卒業生は、証書を胸に、記念写真を撮った。


そして二人は許嫁になってから、七年の歳月が過ぎた。


清二が、十九歳、昼間働きながら、夜間定時制四年に成ったとき、静江が三十一歳になった。そして静江が、妊娠していることが解り。


静江は、清二を正式に婿に迎えた。ユリは、清二の、静江一筋が嬉しかった。


ユリは、清二が、割と真面目で、七年間一緒に暮らしてきたが,あたしも、

大事にしてくれていた。お互い、義母と婿との一線は守ってきていた。

ユリは、小学校の教師を退任していた.永年の功労として、最後は、教頭待遇で、教員生活を終わっていた。

清二が、三交代勤務と、夜学で、静江の代わりに、食事の世話をするようになっていた。


静江は、妊娠しても、学校を休まなかった。


ユリは、その年の夏、風邪をひいてしまった。熱が下がらないで、食欲もなく、おきていられなく、寝ていた。


清二が、夜勤で、朝九時に、家に帰ってきたとき、静江は、食事の支度をしてあり学校へ、行った後だった。朝食を済ませて、義母ユリの、熱の具合、を伺いに、何時もは入らない、床の間のある、ユリの部屋に入った。


清二は、お義母さん、熱は下がりましたかと伺った。


ユリは、あたし汗をかいたみたいで、寝間着を取り替えたいのですが、箪笥の下から、二番目に、寝間着と襦袢が入っていますので、すみませんが、どれでもいいですから出していただけますかとお願いした。


清二は,言われたとおり、箪笥から寝巻を出して、これでいいですかと、義母の寝床に,置いた。そして熱はどうですかと,失礼と言って、おでこに手を当てた、そして少し下がっているようですが、寝間着が汗で,ぬれています。


清二は、背中を拭かないと、いけませんから、乾いたタオルを持ってきますから、待っていてくださいと言って、タオルを三枚と手拭いを用意した。私が背中を拭きますから、お義母さんは、前を拭いてください、冷えるといけませんので、一気に着替えましょう、といって、寝間着をぬいてもらい、背中から、腰へと一気に拭いてやった。


ユリは、前は、自分で拭いた。


清二は、代わりの寝巻を、素早く、掛けてやった。そして、沁みている下着も取り替えてやった。箪笥の下の引き出しに、シーツが入っていた。ユリは、ふらふらしていたが、立ってもらって、シーツも手早く、取り替えてやった。


ユリは、ありがとう、楽になりました。と言って横になった。そして濡れた寝巻は、静江が、帰ってきたら,洗わせますから、洗濯場に置いていてください、と言った。少し休みます、ありがとうと言った。


清二は、小さい時洗濯は自分でしたことがあるので、南側にある、外井戸の流しで、タライに寝間着とお腰を入れ、洗濯板を使って、襟元をしっかりと洗い、ガチャポンで水を充分汲んでゆすいだ。


ユリは、井戸を汲む音で、雪見障子から、外を見た。清二が、一生懸命に私の寝巻と襦袢を洗っているのが見えた.すすぎも、あたしより水を充分に使かっている、見ていて気持ちいいくらいだった。物干しに、竿を使って、高く干してくれた。夏の陽射しと、風で、ひらひらと揺れて乾いていった。

不浄の股を拭いた、手拭いも、嫌な顔をせず、夢中に洗ってくれていた。


ユリは、内心娘には、学歴のある稼ぎのいい人との結婚を望んでいたのである。

そのために今までは、清二とは、静江のてまえ、距離を置いていたが、損得なく、尽くしてくれる、清二の姿を見て、不浄の手拭いを洗っているとき、自分の谷間が、不思議と疼いてきた。この清二は、私の老後の、しもの、世話もしてくれるような気がして、急に、親近感が増してきた。


清二が、お義母さん、お昼のお粥が温まりました。と半熟の卵と、海苔を焼いてきてくれた。そして、口がまずかったら、と、吸い飲みにリンゴを摩り下ろして、布巾で搾ってきてくれた。そして、あとお薬を飲んでくださいと言って、お水も用意してくれた。


ユリは、清二さんありがとう、娘の静江だってこんなに面倒みてくれません。助かりましたと礼を言いった。


清二は、食事のあとを片付けながら、私、今日も夜勤ですから、四時ごろまで休んで、夕食して,夜学へ行きます。家に戻らず、そのまま、夜勤の会社に行きます、明日の朝九時頃には帰れます。明日は、夜勤明けで、家にいます。また洗濯しますから、良くなってください。と言って。静江との一緒の部屋に戻った。


清二は、夜勤から帰って食事を済ませてから、ユリの部屋に入った。

お義母さん、寝汗は、大丈夫でしたかと聞いた。


ユリは、少し汗かいたぐらいで、ぬれていないと思います。と言って、襟に手を当てた、少し沁みているわ、取り替えてもらいましょうかねと言った。


清二は、じゃあ、身体も清拭しますから、タオルを、濡らして温めてきます。と言って、台所で湯を沸かし、温めたタオルを五本持ってきた。替え寝間着を用意して、ユリに寝間着をぬいてもらって、背中から腰を暖かいタオルで、拭いてやった。前は、お義母さん、ご自分でと、タオルを渡した。が力が入らないのか、なかなか、拭けないので、お義母さん、タオルが冷めてしまいますから、私が,清拭させてもらいます。と言って、お義母さんに,うつ伏せに成ってもらった。

清二は、素早く、お尻から後ろ足と、優しく拭いていった。そして,寝巻を、胸にかけて腿から足先まで、前を除いて、清拭することが出来た。


清二は、ユリの腕から手を、拭いてやった。そしてお義母さん、熱が下がったのなら、腰湯して下さい。お風呂沸いていますからと言った。


静江が、清二が夜勤の時帰ってきて休む前にと、朝風呂に入れるようにしてあった。


ユリは、それでは、腰湯をさせてもらいましょうか、と言って、濡れてもいいように着ていた寝巻を、肩にかけ、立ち上がった。少しふらついていた。


清二は、お義母さん、私の肩につかまっていてくださいと、風呂場に入るまで手を添えて、やった。


ユリは、寝間着を濡れてしまうからと言って、裸になってしまった。清二さん、あたし倒れるといけないので、一緒に入っていておくれと言われた。


清二は、パンツに成って、ユリを支えた。


ユリは、腰まで,浸かって気持ちよさそうだった.四、五日入らなかったので、顔から、胸から、汗が出てきてしまった。


清二は、お義母さん、温まりましたら,あがってください,かえって、疲れてしまいますよ、と上がるように言った。ユリは、鳥でいえば、ツルのように、何とも言えない品があったが。今のユリは、傷ついた、鳥だった。

清二に、手を借りて、風呂から上がった。


ユリは、せっかくだから、身体を洗いたいと、言い出した。たち膝に成って、背中を清二に向けた。清二さん、洗っておくれ、と白い綺麗な肌をおくびもせず、早くと言っているようだった。


清二は、タオルに化粧せっけんで泡をたて、首筋から、肩、腰と、柔らかくこすっていった。ユリは、もっと強くしてもいいのよと、促した。


ユリは、今度は、前もお願いと無防備に向き合った。


清二は、静江にも、したことないので、迷っていた。


ユリは、早くお願いと言われて、清二は、それこそ,どのように洗っていいのか、わからなかった。

清二は、ユリの後ろに回って、胸から乳、お腹、お尻へと、身体が重なるようにして洗い流した。あと陰部だけになった、お義母さんそこは、自分で、と言ったが、何もしないので、後ろからユリを抱くようにして陰部、をやさしく撫でるように触れ、湯で流した。

ユリは、後ろへと、抱いている清二に背中から体をもたれかけ預けてきた。清二の勃起した陰茎が、肌に当たるのがわかった。二人だけの蜜室になった風呂場であった。


清二は,据え膳くわぬは何とやらではないが、ユリのうなじに唇を押し当てて.お義母さんと言って、抱き寄せて行った。ユリも答えて、清二にもたれ躰を預けて行った。もう後戻りはできなくなっていた、清二は,濡れたパンツをぬいて、、洗い台に腰かけて、ユリを引き寄せて、勃起した陰茎を、ユリの陰部に当てた。

ユリは、清二をまたいて、固い陰茎を、咥えこんでいった。 


ユリは、娘の静江が、清二を連れてきたとき、いずれ、自分とも結ばれるかも知れない、予感がしたので。その時、静江に、若すぎるから、よしなさいと、言って避けてきたが。今の清二は、すべて逞しくなってきていた。

清二の変わらない、優しさにあって、静江には言えない、してはいけない、

清二と、今、繋がり、義母と婿の一線をこえ、肉体関係を持ってしまった。


ユリは、もう後戻りは、できなくなって、清二に、あたし壊れてもいいから、強くついて、いっぱい出しておくれ、としがみついてしまった。


ユリは、清二さん、貴方と交わりをしたこと、世間では、親子丼というのでしょう。私は、あなたと七年近く共に過ごして、貴方を知って、私があなたを愛してしまいました、遊びではなく、真剣に、結ばれたつもりなの、世間は、馬鹿にするのでしょうか。と清二に、答えを求めた。


清二は、お義母さん、私も、遊びではありません、二人の秘密にしておけば、誰にもわかりません。私は、絶対、静江にもいいません。心配しないでくださいと言った。

男が、自慢して、話す人もいます。そんな人は、陰では、馬鹿にされています。


女の人が、夫以外に、男と結ばれれば、世間は、浮気だ、不倫だ、と言いますが。本人同士は、真剣でも、他の男はその人を、マラ、兄弟と、笑っています。ばれれば、怖い痴話喧嘩の修羅場の始まりです。


清二は、職場の旅行で、先輩が、お金を出して、遊んだ女と、同僚の相手も同じ女だと、お前と,マラ兄弟に成っちゃったと、笑いあっている。先輩は、女の人と、ただで、絶対遊んではいけない。女の人は、見返りを求めてくる。これは、女遊びの鉄則だ、と教えてくれたと言った。


清二は、お義母さんとわたしで、静江を、これからも、第一に愛して行きたいと思いますと答えた。


この日から、ユリは、清二の精液を欲しがるようになっていた。


ユリは、元気を取り戻し、清二に、貴方が、私の膣に撃ってくれる、注射は、どんな薬より、身体にいいみたい。静江は、今が大事だから、交わらないで、貴方の精が,たまったら私におくれ、静江には、絶対内緒にするから、あんたも,静江に聞かれたら自慰していると、言っておきなさい、と念を押された。


ユリは、自分がこんなに色摩だとは思わなかった、清二によって呼び起されていった。清二とは、昼間の交わりだった。清二の朝帰りの夜勤の時は、朝食のあと、風呂に入って、寝るのが、夜又出勤するので、必要だった。

床に入って寝る前に、ユリは、清二の床に入った。


清二は、ユリと唇を重ねることが、愛の始まりで、愛の谷間の舌での愛撫が、絶対だった。

ユリは、清二に、そこを強く吸って、撫でてと、催促した。そして身体全体、

息張って硬直して、うー、と唸り、痙攣して潮をふくようになっていた。


するとユリは,すっきりするらしい。少し落ち着くと、疲れて帰ってきている、清二を寝かせて、上になり、清二を見ながら、乗馬しているように、腰を振る、最後には、清二に、お尻を向けて、腰を振り清二の陰茎と自分の陰部の繋がりを見ながら、果てていく。清二は深い眠りに着く。


静江よりはやく帰ってきたときは、軽く接吻をするのが決まりになった。



ユリは、交わることが、愛だと思っていた。一度崩れたツルは、淫乱な、女に変身して、清二と絡み合った。そして清二を離さないように虜にしていった。


愛が終われば、又変身して、何もなかったように義母と婿に成っていた。



年が明けて、正月、静江のお腹も、大きくなってきた。


ユリは、今年は、清二も、成人になるし、静江には、丈夫な、赤ちゃんを産んでもらって、嬉しいことが、重なるので、充実した一年にしたいね。と言った。


静江は、母さん、近頃、綺麗になってきたみたいと言った。


ユリは、清二さんが、静江が、赤ん坊を産んだら。お母さんに、お世話にならないと、静江は、学校を休めないし、俺は、会社で、男だから、子育ては、

良くわからないし、と言っているの、そして清二さんは、仕事で疲れているのに、時々肩を揉んでくれるのよ。静江からも、お礼を言って、と言った。


ユリは、清二さんには、この家で大事な男子だから、頑張ってもらいたいので、私も、嫌われないように、もうひと踏ん張りしないと、若返りにと栄養になるものを食べて、家を守っているのよ。目標を持ったら、心が若返ってくる気がしているの、自分でも感じているの。と清二との交わりを隠しとうした。



静江は、清二に、あんた、母には、頑張ってもらわなければ、母がいなければ、この家は、成り立たないので、母が,もういいというまで,マッサージしてあげてと、清二に頼んだ。


清二は、静江との交わりより、ユリとの交わりの方が、主体となっていった。


ユリは、清二は、あたしの婿だとして、静江に内緒で、愛し合い。静江のまえでは、母として、何もないように振る舞った。


清二は、女の、変わり身の見事さに、ただ、ただ感心して暮らした。



昭和三十一年正月のこと。売春禁止になるまえだった。



                             完


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