第2話 明子と真二

東海道線の小田原始発、朝八時過ぎの東京行きに、真二は乗った。勤めている会社の慰安会で,観劇の後、浅草で泊り次の朝自由解散のコースを選んで,汽車に乗った。

四人向かい合って座る車両だった。

始発だから前から三両目のなかほど真二は東京を背にして山側の席に座った。


売店で買ったスポーツ新聞を開きみていた。昭和三十年五月のことでした。


看護婦兼事務の明子と現場事務の正子さんが、ここ、いいですかと言って、真二に向かい合って腰かけた。五月五日の休み前なのに少し肌寒かったので、明子はスプリングコートを抱えていた。真二と向かい合ったのは明子だった。


明子は、スプリングコート軽くたたんで膝の上にのせた。そして真二に昨日お渡した酔い止め、飲んできましたか。と聞いてきた。

真二は、ありがとうございました、朝早く飲んできましたので大丈夫だと思います。

明子は、気持ち悪くなったら言ってください。私何とかしますから。


そんな挨拶をしていると汽車が走り出した。真二は体格がいいので明子と膝と膝とが触れ合った。この時代の汽車は、向かい合う座席の間が狭かった。


真二は、挨拶も終わったし、スポーツ紙を読み始めた。明子は隣同士、話に夢中だった。各駅停車だったもので,鴨宮で真二の横に体の大きめの男の人が座った。真二はひろげていた足をつぼめた。少し窮屈になった。汽車が揺れるたび明子の足にふれるのが増えてきた。一寸と大きく揺れたとき、明子の左足が真二の右足に付けてきた。真二は狭いので仕方がないなと思っていたら、明子の足がだんだん強く押してきた。真二が新聞から目を離して明子をそっと見ると、隣同士、何か話をして相談事を聴いているようで、すましていた 

                 


汽車が止まると足をはなし、動き出すとまた力を入れて押してくる。

真一は夜学の四年生で十九歳だった。明子は二十四、五歳に見えた.五つか六つ上だった。明子は会社ではみんなが注目する、綺麗な人だった。


真二は、俺みたいな年下をからかっているのかなと思ったが、一向に力を緩めず強く押してくる。俺みたいな貧乏学生のどこがいいのか考えてしまった。


会社の昼休みソフトボールをしているとき、明子は医務室の前で俺たちをいつも見ていた。俺が打つと明子が手をたたいていたことを思い出した。なんで俺なのだと。こんな俺でもいいのかなと真二は思うようになっていった。


汽車が平塚に停車したら、どっと人が詰めてきた。座っている座席も押されてきて,キュウキュウになってきた。明子も窓側に詰められてきた。明子と触れた足は離せられなくなった。


真二は押されっぱなしの足を、男が触れば痴漢だが、女から触れても、痴漢とは言わない。明子が体を張ってプロポーズしているようで、あたしに恥をかかせないでくれ、と言っているようだった。横浜を過ぎて、真二は、据え膳くわぬは男のはじ、こんな俺でよければと明子を、受ける覚悟で、強く押し返した。明子は一瞬顔をほころばせて、ありがとうと言うように、前より強くおしてきた。

お互いに、二人の間にあった、何とも言えぬ壁が無くなり、恋人同士のようになった。

この一押しが、明子と結ばれることになる。


明子は、チョコレートを正子と真二与え、正子に、小声で、真二さんより、プロポーズされているの、あたしは年上だし渋っていたら。どうしてもというものだから、承諾してしまったの、真二さんに、明日、私の母にあってもらうことになっているの、母が認めれば、一緒になろうときめたので。正子に、だから帰りは別々になるけど、まだ内緒にしておいてね。と囁いた。


正子は、真二の方みてうらやましそうだった。正子も真二をと思っていたので、無口になった。

               

                                              

観劇の幕間に昼食があり各々劇場の仕出し弁当を食べた。


真二が一服と煙草を吸っている所に、明子がメモを手渡していった。

見ると劇場がはねたら、さきに横浜の石川町の駅で待っていてください。と書いてあった。


真二は,会社の観劇の係の人に今日急に帰る用が出来たので泊りはキャンセルしていてください。と連絡して、石川町に向かった。


電車は次々入ってくる。三十分待っていると、明子が降りてきた。


夕方四時頃になり、中華街まで歩いた。人が多いので、明子は真二と腕を組んで歩いた。一寸と枝道に入った小さな店で、食事をとった。肉饅頭、と餡饅頭を、お土産に、明子は買った。


明子が真二に私のサインを受けてくれてありがとう。お礼に今日は私にすべて任せてくださいと。嬉しそうだった。


明子が、二人のデイトの記念に写真を撮りましょうと、写真館に入った。

明子はスーツで真二は学生服だった。記念だった。そうしたら明日の朝、できますから寄ってください、と言われた。明子が住所氏名を記入していた。

こんな日だからあたし花嫁衣裳着てみたいといいだした。純白のウエデングドレス着せさせてもらい,うれしそうだった。1人で写した。綺麗だった。写真屋さんが、真二にあんたもモーニング着てみたら、お似合いですよと言われ、ことわれなく、二人の結婚写真を写してもらった。


恋人同士のように歩いて元町あるホテルに入った。


冷暖房完備の素敵なホテルだった。明子は真二に寄り添い唇を軽く重ねた。もう七時を回っていた。


明子は、真二の学生服を片付け、バスルームへ入り浅い洋バスにいきよいよく、お湯を張った。

                  

                


真二が体を洗いシャワーで流していたら、明子が入ってきた。


真二は一寸とびっくりして、前を隠した。


明子は、なに隠すのよと言って背中流してあげるから、そこに腰掛けてといって

ボデイシャンプーできれいにしてくれた。明子もボデイシャンプーで体を流した。


真二は先にガウンをはおり、小さな丸テーブルの前に座った.元町で買った、ラークを吸ってみた。大人の気分になった。

明子も何か飲もうか、と言って備え付けの冷蔵庫から、ビールを取りだした。


一本を二人で乾杯と言って飲んだ。

真二は、俺何にもないし、来年三月卒業だけど、明子さんを養う、ことはまだ到底できない。好きだけど、無責任なこと、はできないとおもう。と言った。


明子は,なんにも無くていいのです。あたしが、あんたをお婿さんにもらいたいの。裸一貫でいいのです。あたしもう二十五歳になるので。少しでも、若いときにあなたの子を産みたいのです。あたし母と二人暮らしなの。母に安心してもらいたいのです。


あなたが入社してきたときから、あなたしかいないと、心に決めていたので  す。ですから今日の慰安会しか、あなたと接しるチャンス無いと、体当たりしたの。今日に今日決めたことではないのです。今日の日を三年間待っていたの。あたしが結ばれるのはあなただけと思っているの。


真二は、こんな俺をそこまで思ってくれていたなんて、もったいない、

明子さん宜しくお願いします。


 明子は、立ち上がり真二の手をとり、Wベッドに誘った。







ガウンを脱ぎベッドに入った。

明子は、真二は私のものと言わんばかりに、唇を奪うように激しくからませ吸った。そして若々しい厚い胸板に舌を這わせ真二の亀頭を咥えこむように吸った。初めての愛撫に、激しくはちきれそうに。真二は自分でするオナニーと比べられないくらいの勃起を、明子の、愛のぬめりにつつまれ騎乗位になった明子の中に男根はゆっくりゆっくり咥えこまれていった。もとまで入りその時の膣の暖かさに締め付けられて

腰ふるまでいかず、頂点に達し勢いよく脈打って射精した。我慢できなかった。


明子は真一に覆いかぶさり唇を重ね強くだきしめ、ありがとうと言った。


明子の婿に決まった交わりだった。


真二は明子に俺の童貞をあげたので、今度は明子の処女を俺にくれと言って

明子の乳房をむさぼり、激しく吸った。おれがお前の乳を赤ん坊より先にと

吸いまくり、ひろげられた明子の谷間へ正上位で子種をありったけ入れた。



明子は朝、目を覚ました真二、あんた、今日あたしの母にあってもらいたいの。母は昼の支度をして待っているのです。大磯の駅の近く山側です。


ついた家には、明子の母か待っていた。


ただいま、と言って真二を連れて家に入った。明子の母が奥からでむかいに出た。

真二は、明子の母を見て、目を疑った。去年の会社の夏祭りの時、出会った奥さんだった。


明子の母はハツと言った。

ハツは、にっこり笑い、真二さん、お待ちしていました。よくおいで下さいました。と玄関にお膝して頭を下げ挨拶した。真二も下げ顔をあげても、まだ下げていた。その丁寧さにびっくりした。 明治生まれのおかあさんさんでした。

ハツは、二人に昼食を用意してあるテーブルに案内した。

               

               

昨年の夏祭りの時真二は焼きそば係を鉢巻して熱いなか一生懸命焼いていた。

ハツは、真二の働く姿を見て、この人を明子がみそめた人か、この人なら、あたしも好きになれそうと直感した。

                 

真二の手か空いたときを、見計らって、ビールを、券で貰い、後ろから、ご苦労さん、といって、飲んでくださいとコップを渡した。

真二は、奥さんに、ありがとうございます。俺まだ仕事中だし、あまり強くないので、一口だけいただきます、奥さん、さきに口付けてください。と言った。

ハツは、それではと口を付けた。真二は、あとうまそうに呑みこんだ。ありがとうと、コップを返した。


ハツが、真二に、あんたの作る焼きそばに、一番多く並んでいたけど、おいしいのと、あんたが目当てじゃないですか。もう好きな人でもいるのですか。と聞いた。


真二は、俺まだ十八歳で、まだまだですよ。と言った。


ハツは、医務室の前に、すてきな娘さん見かけたけど、あの人なんかどうなの、と聞いてきた。


真二は、あの方は、みんなの注目している方で、俺なんかには、高値の花ですよ、それより奥さんが、もう少し遅く産まれていれば、俺もプロポーズしちゃうかもしれないな。と言った。


ハツは、冗談でも嬉しいわ、またご縁があればお会いしたいですね。


真二は、来年のことを言えば、鬼が笑うかも知れませんが、来年の夏祭りが楽しみですね。  ビールありがとうと言って、真二は焼きそば係に戻った。



台所のテーブルにハツと向かい合って、明子と真二が座った。


明子が、ハツに、さっき連絡したように真二と誓い合ったの。お母さん、どうですか。と聞いてきた。


                 


ハツは、私に異存あるはずない,こんなうれしいことはない真二さん、明子をよろしくお願いします。


明子は、真二に、母のことお願いしたいと昨日いったことはね、母はあたしを身ごもってから、父が浮気して、よそに女を作り、祖父に咎められ、追い出されたの、だからあたしは父を知らないの、それから風の便りで父が亡くなったことが分かったの、祖父母もなくなり、母と二人で今日まで来たのです・

父も婿だったの、真二さんも婿になるので、男は女遊びするかもしれない。

私もあんたの子をしっかり産みたいので、母がその間あんたの面倒を見てくれると言ってくれたの。真二さん母でよかったら,ほかの女との遊びしないでもらいたいの。昨日の真二さんとの交わりで間違いなく妊娠すると思います。

あなたの子が産まれてくるまで、あたしとの交わりはやめときたいの。

あたし午後から宿直で明日夕方帰ってきます。あんた母とよく話し合ってください。お母さんも真二さんを気に入っているらしいから。


明子は、真二さんおかあさんに何かありますか。この際だから、と言った


真二は、私の家族は、俺の給料をあてにしているのです。本当はおかあさんに給料お出ししなければいけないのですが、子供が生まれるまで、実家に入れさせてください。お世話になる分際でわがままですが、お願いいたします。


ハツは、真二にそんな心配しないでください、働き盛りのあんたをもらいうけするのですから、私の方から結納金をお出ししなければいけないのです。

私からのお願いは明子を一生大事にしてもらいたいだけです。


真二は、ありがとうございますと、頭を下げた。


明子が出かけてハツと二人きりになった。ハツは明治生まれの四十三歳でした


ハツは、家の中を真二に紹介した.地主で家作があり戦渦をまぬかれ生活は安定していた.明子は会社であんたとのこと知られたくないようで,籍が入ったら会社を辞めさせて、あたしの手伝いをさせたいみたい。同じ会社ではあの子のメンツがあるみたいで、年下のあんたを知られたくない。と言っていたと教えてくれた。

                  


真二は、夕食も終え、なにごとにも、ハツの丁寧さに、あまり教養もない、ただ若いだけの俺で,うまくやっていけるかと、少し不安になった。


ハツは、明子も泊まりだし、私の部屋でご一緒しましょう、といって奥の六畳に布団が二組敷かれた。


お風呂にどうぞ、と言われ、学生服をぬいて、初めて一人になり、俺、これでいいのかな、と考えながら、風呂から上がると,下着はなく、きれいな浴衣が用意されていた。枕元にビールとコップが二つ用意されていた。


ハツは、真二の下着を洗い、お風呂から出てきた。部屋の隅にある鏡台前に座り、手の平で顔をパタパタたたき化粧水を付けているようだった。髪もきれいにとかし、真二さん一杯どうぞと言って井戸で冷やしたビールを注いでくれた。


ハツは、自分でついて、乾杯しましょう。湯上りで美味かったので、一気に乾した。夜の八時を少し過ぎた。


ハツは、改まって真二に正座して宜しくお願いします。と頭を深々下げた。


真二も、恐縮して、よろしくお願いしますと頭を下げた。


ハツは、たって浴衣を脱ぎ全裸になった。そしてきちっとたたみ乱れ籠に入れた。真二も全裸になった。ハツは真二の浴衣もたたんでくれた。


真二の身長は、五尺六寸五分、ハツは五尺一寸、何も言わず抱き合った。

ハツも年上と言っても二十五年間男と結ばれたことはなく処女の初夜とおなじだった、真二に抱かれ床に就いた。真二は十九と言っても昨日明子と結んだばかりだから、俺が愛撫しなければいけないのだと、唇をやさしく重ねた。ハツの変化はなく,乳へと舌を這わせた。が、気持ちいいのか変化はなかった。真二はハツが嫌なら抵抗あるだろうし、俺が射精するのを待っているだけなのか、そして臍の下へと舌を這わせた.陰毛は京人形の髪のように黒く素直な毛だった、昨日覚えた陰部はきちっとしまっていて、何もいれないと言っているように閉じていた。真二はこれではいけないと思い、ハツの足を少し開き舌で開いた。四十し盛りと、きいたことがあったが,ぬめりはなかった。

                  


真二は俺に魅力がないのかな、昨日明子のいっぱいの愛の液を知ったばかりだったから、舌で唾液を送り押したり吸ったり愛撫した。ハツの変化はなかった。

こんな状態では、結ばれないと思って愛撫を止め、ハツの横に休んだ。ハツがあんた優しいだね。と言って真二に声を掛けた。そしてあたしの性感帯は右のうなじから肩にかけて、あるのです、お願いできるかしら、と言った。真二は

言われた通り右のうなじから肩にかけて舌を這わせた。

そうしたら今までじっとしていたハツが真二の手を握りだした、だんだん強く握ってきた。

真二は嬉しくなって、舌を優しく動かした。ハツの体がうねるように答えてきて、そして愛液が少しずつ湧き出てきた、柔らかいお腹と太ももが急に力が入り硬直してきた。ハツのあの優しい顔が歯を食い縛ってがまんしているようで、真二は大丈夫かなと思った瞬間、ウーとうなって陰部が脈打って、力を緩めた,ソート舌をあてると、ぴくんぴくんと、脈打った。愛のぬめりが真二をむかい容れる準備ができた。ハツが口を開き真二さんは優しいのね、優しくいれて、と両股を開き真二を導いた。愛液に導かれて難なく亀頭ら男根まで挿入できた、ハツは、今度は積極的に広げた両足で真二の後ろの、腿をしっかり離れ無いように抱き込んだ。

ハツのなかは締め付けがすごく自然と絞るように波打ってなかえなかへと引き込んだ。真二は我慢できず脈打って射精した。


これがハツとの初めての夜だった。真二は気持ちよさに我慢できず離れようとしたが、ハツは閉めてはなさなかった。真二は結ばれ繋がったまま、ハツを抱き上げ唇をむさぶりあった。

ハツは、あんたとあたしは結ばれたので、もうあたし、あんたを離さないから、と真二を強く抱きしめた。真二もお義母さん一緒に、暮らしたいです.と、この夜挿入した男根を離さず巾着の様何度締め付けられ射精した。


朝、目が覚めるとハツがあんた今日もお休みなのだから、あたしの父の着物をきておくれと言って、着せてくれた。ハツは昨日会った時のようにきりっと着物を着ていた。夜あんな激しかったのに、何もなかったように、近寄りがたい義母になった。


お昼過ぎ、横浜で写した写真が届いた。明子が帰ってくるまで開けなかった。


                 


明子が帰ってきて写真を開いた。明子がこれは結婚記念の写真になると、喜んだ。ハツもあたしも真二さんといつか一緒に撮ろうかしらと言って笑いになった。

ハツは、明子に、昨日の夜真二さんと夜中まで話し合ったの。そしたら真二さんが、解んないことばっかりですが、よろしくということになり。私も明子を産んでから、男の人は知らないので、初めは上手くいかないかもしれないけど、真二さんもよろしく、ということになったの。今夜はこれで休みましょう、明日、あたしが優しく愛撫してあげます、いうことになったの。

                  

真二は、ハツとの昨夜あんなに燃えたのに、まだ何にもしていないと、すまして平気で明子に言っている、女のしたたかさを知った。


昼間のハツは着物をきりっとまとい、近寄りがたい、俺なんか寄せ付けない、奥さんだった。夜はあんなに激しく愛し合うのに、昼間は、キスもさせてくれなかった。さすが着物の着付けを教えている先生だった。


明子は、ハツに真二さんを離さないよう、おねがいね。ということになった。


ハツが、七月になって、明子に、あたし昨日、月のものがあったのよと、なんだかもう終わりかと思ったら、真二のお蔭で若返ったみたい。と言った


明子は、そういえば、お母さん、全体に艶が出てきたと感じていたの、真二の精が利いてきたのよ、よかったね。と言って笑った。


十月になりハツが、明子に、あたしうっかりしていたら、真二の子を身ごもったみたい、どうしようかしら、女としてなんだかうれしくなってね。といった。


明子は、お母さんが産んでどうなるのよ、真二があたしのお父さんに、なってしまいますよ、真二はあたしの旦那なのだから.冗談止めてよ。といった。


ハツは、冗談だよ、あたしも、真二が本当に好きになっちゃって、あたしだけに、したくなってしまったのよ、真二はあたしに任せて。だって明子は、薬剤師目指して勉強ばかり、真二をほったらかしだから。と笑った。




明子は、身を崩さずいつも几帳面だった母が、女の喜びを知ってもらったみたいで嬉しかった。


ハツは、本当は、真二の子を身ごもっていた。が、明子の手前、泣き泣きおろした。心のなかで、真二と水子にあやまった。ハツは、明子が何と言うが、真二は、もうあたしの夫と心に決めた日となった。


翌年の二月末に、明子が可愛い女の子を出産した。昭和三十一年三月十日、  真二の卒業式だった。

明子は父兄席で真二を見ていた。同級生、下級生、綺麗な女の子がいっぱいだった。よそ目しないで、よくあたしで、頑張っているのと、うれしかった。

明子は、真二をよそ目しないのは、母のお蔭だと心で、感謝した。

校門を明子と真二は一緒に出た。産まれたばかりの,初江がハツに抱かって待っていた。


明子が真二あんたの学生服姿は今日で終わりだから、家族で記念に写真を撮りましょうということになり。写真館に寄りハツが初江を抱いて家族で撮った。


真二が今度は俺が、抱いて取ろうと言って。皆で撮った。


明子が、ハツに、おかあさん真二と撮りたいと言っていたから、もう一つの内緒の夫婦として二人だけで撮ってください。と頼んでくれた。


ハツは喜んで、真二に和服をまとわせ、二人寄り添うように、写してもらった。ちいさな声で、真二に、これで本当の夫婦なるのね、とうれしそうだった。


ハツは、二人の写真を自分の部屋に飾り、真二を離さなかった。

ハツが真二に会ったの夏祭りの夜、焼きそば担当の仕事を見て、自分にない、土の臭いのする真二を自分の体がほしいと疼いた。ほしい女の一念で明子と力を合わせて真二を徹底に調べ、明子とともに、自分たちに引き込んだ。知らないのは真二だけ、真二を明子とともに確保した。知らない真二は、ハツになんでこんな俺に。と聞いたら。ハツは、女は簡単に肌を許すわけはない、あんたのことは、全部調べがついていていたので、いまだと、あんたを、むかい容れたのよ,後悔してないのでしょう。と笑った。

27

真二は、ハツが着物をきて、化粧すると、近寄りがたい、人となり、品があった。明子も勉強家で、きりっとした看護婦だった。二人とも昼間は別人だった。


ハツは、明子の産休が終わった後、初江の親代わりになった。ミルクを与えてあと、着物の襟を、大胆に開き乳を吸わせた.乳が出たのかはわからないが,初江は乳を吸いながらおとなしく寝ていた。脇毛のちらっと見え隠れしていた。乳は真二が一年間毎晩吸ったので乳首だけは、さくらんぼうのように大きくなっていた。初江が寝付くと、またきちっと襟を直し、真二も寄せ付けなかった。


三年後明子は、男の子を産んだ.幸二と命名した。明子との交わりは、膣は滑らかで余裕があったが,子作り以外の交わりはなかった。あとの性生活はハツに任せた。

ハツは,初江と幸二を中学卒業まで親代わりに,つくした。


夜の化粧を落としたハツは、昼間と別人で、夜、一度結べば咥えた真二の男根を自分が心行くまで締め付けて離さず、なかは襞のよう膣が脈打つようにうねり奥へ、奥へ引き入れ真二に何度も射精させた。抜こうとすれば花電車のバナナ切りされるようで、ハツのいいなりになっていた。

そして、真二を夫として愛し、床を最後までともにした。


ハツの四十九日の法要で納骨できた。成人して所帯を持っている、初江と幸二も自分の住まいに戻り、明子と真二、2人が残った。


明子が今日からあたし、あんたとお母さんの思い出のこの部屋で休んでいいかと、真二に聞いた。真二は、いいよ、と答えた


明子が、母も、あんたと暮らせて幸せだったと思います。母はあたしを一人で育ててくれたの、母に感謝の気持ちで何にしようかと考えていたら、会社での夏祭りに時、あんたに会って、母が、あたし若かったら真二と暮らしてみたいと、あたしに言ったの、あたしも、あんたと結ばれたかったので、あんたと結婚して、あたしの母への恩返しで、あんたと暮らしてもらったの。

母の嬉しそうな顔を見てあんたに済まないと思ったが、良かったと思っているの、あたしもあんたがほしかったが、あんたの身体のことを考えて、あたし、我慢していたのよ。

母は真剣にあんたを愛して、あんたと暮らし始めた十月に妊娠したのよ。

28

あたしが真二はあたしの夫です、あんたが産んでどうするのと怒ってしまったの。そしたら母は冗談よと言っておろしたの。


あたしも看護婦です。あたしもあんたの子がお腹にいましたから、母の身体を見れば、妊娠したのかわかります。母は泣く泣く、貴方の子をおろしたのです。


真二は、ハツが二泊三日の旅行から帰ってきて、あの気丈なハツが、俺の胸にしがみついて、泣き崩れたことがあった。あんたのいない旅なんて、空しく、さびしい旅だった。あんた、あたしのそばを離れないで、あたしあんたを愛しているの、と俺に抱かって泣いた、

俺もハツに愛しているよと抱きかかえた。その時が病院に入院しておろしてきたときだったのか。と明子に言った。


明子は、そう母はあんたを愛していたの、いつも、昼間はきりっとして男なんか興味無いようしていた母が、日曜日の朝は、愛し合ったあと満足して嬉しそうな顔をしていて、家族との食事の時、真二さんはいつも遅くまで働いてお疲れだから日曜日くらい、寝坊させてあげたいのと言って、遅く起きたあんたと、楽しそうに食事をしていた。あたし二人がうらやましかった。

苦労かけ育ててくれた母に、あんたを母に喜んでもらうため、お願いしたの、それがあたしの、せめての、親孝行と思ったのです。あんたも母を愛して、   あたしより本当の夫婦のようで、嬉しくもあり羨ましかった。


明子は、セックスは、ハツのために我慢していたが、月のものも終わり、ハツが亡くなり、真二と初めて結ばれた時のよう、夫婦に戻りたくなり、あえて、ハツと真二が暮らした部屋で結ばれたかった。              


明子は、真二との空白の時をとり戻すよう、真二をあたしのものというように愛撫し、真二を寝かせ体位は騎乗位になり 真二を疲れさせないように、気使かい、初めて結んだホテルでのように指導権をとり、優しく愛し、真二を虜にしてハツとの暮らしを忘れさすように 愛した。                         


明子は年上の妻として、可愛く独占して面倒を見てあげたいと思う真二を、婿に迎えたことを、ひそかに喜んで暮らしていった。

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