030話 独壇場

 昼休みが始まると同時に遅れて熊尾龍太が登校してきた。なんか目が血走ってて隈があるけどやたらとテンションが高そうだ。

 

「諸君!!我はやりきった!!我が神の一柱であるクロノヒョウ様見ておりますか!!【豪華景品!!クロノヒョウ 様作品集プレゼント】獲得しましたぞ」

 

 クラス全員が熊尾龍太の奇行に固まって反応出来ない。あの希更さんでさえ固まってる。

 

「諸君!!しかし我が神は一柱にあらず!!偏ることはゆるされないのだ!! 五十川紅 と検索するのだ!!大人気の凄い作家だ!!証拠にエイルなどという、見つからない底辺作家とは違うのだ」

 

 なぜか作家を神と言いながら演説を始める熊尾龍太についに頭おかしくなったかと思う。

 

「あぁ作家様の名前だけでイッテしまいそうだ」

 

 天井を仰ぎ、股間にテントを作ってる熊尾龍太はこんな生き物だろうキモいけどなんか慣れてる気がする。

 

「フォー!!ふぅ~。へぇあ~。すまん、少し落ち着いた。だが終わらぬぞ【Tetra・Origin 〜白銀の黎明〜】https://kakuyomu.jp/works/16816927859437794229

 

 ロマンが詰まっている。圧倒的な異能者が高速バトルを繰り広げる。そのスピード感なのにロボットや銃火器も登場するのだ。男のロマンをこれでもかと楽しめる!!読み始めれば引き込まれる素晴らしきロマンの数々に触れないなどもったいない!!

 主人公リノンちゃんは王道ど真ん中!!奇を狙わず大太刀を高速で敵を斬り伏せる美少女の爽快感は素直に楽しくて仕方ない。

 それらを支える圧倒的な戦闘描写力には素晴らしいなどという言葉さえ軽すぎるだろう。

 ここまでは魅力の半分でしかない。何が残りの半分なのか?それはな・・・心理描写だ。各キャラの想い、過去からの積み重ね、決まる覚悟や葛藤の数々、それらがキャラ達に命を吹き込み個性的豊かなキャラ達が戦いを通じて心を表現する。

 ここまで語ってやっと、やっと全てではない!!普通なキャラ達に混ざって、まさにキモいを体現するリヴァルくんが登場する。そのインパクトたるや天才ではないか?他に誰があれほどのキャラを生み出せるだろうか?

 

 この【Tetra・Origin 〜白銀の黎明〜】を読まないなど人生の損失だろう。

 

 良いか?このリンクを、踏めよ

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 そして♡は少しでも読んで楽しかったら押せ。できたらコメントも差し上げるんだ。面白ったら☆も忘れるな。誰かにおすすめするほど面白ければ、☆の後にオススメレビューを書くんだ。無料で楽しめるんだからこれくらいはしような」

 

 熊尾龍太の長い演説が終わる。なんか普通に面白そうだな。

 

「うっさい!!キモい!!昼休み時間を無駄にしたじゃないの!!そもそも何が高速バトルよ!!お前はトロそうな太った龍だろうが!!」

 

 希更さんがリノンちゃんくらい疾いのでは?という速度で熊尾龍太へ高速アッパーカットで天井へ熊尾龍太をぶつける。

 

「五十川紅 様の愛がある限りこの熊尾龍太は不滅にして最強なのだ。フハハハ」

 

 顎を殴られて天井に激突したのに落ちてきた熊尾龍太は平然としている。

 

「そう?なら試してあげる」

 

 希更さんは熊尾龍太の机を片手で持ち上げるとグルンとジャイアントスイングのように周して遠心力をたっぷりとのせると、熊尾龍太の股間のテントへ叩きつける。

 

「そこが1番キモいのよ!!死んでしまえ!!」

 

 タマヒュンする。それほど無慈悲な一撃で熊尾龍太が吹き飛び股間は黒板と机に挟まれて数秒停止する。

 

「水岡、これはアカン・・・」

 

 不滅にして最強は希更さんによって滅された。

 

「ふぅ、これで正気にもどるでしょ?さぁお昼ご飯食べなきゃ」

 

 昼休みの時間はゆっくりと動き出したのだった。

 

 虎井遥輝と兎田友梨さんの同情というか、少し仲間を見るような目で熊尾龍太を眺めてる。

 

「あんたは、このクラスはゴールデンウィークに毎年企画やってるけど参加する?」

 

 熊尾龍太を滅した希更さんが帰って来て質問してくる。

 

「企画?何するの?」

 

「真ちゃん去年は、ネズミの夢の国へ行ったかな」

 

 真田愛美さんが教えてくれるけど、参加費が払えない気がする。

 

「今年のゴールデンウィーク有志企画はこの熊尾龍太に名案がある」

 

 クラス全員がお前もう生き還ったのか!?って目を向ける。

 

「本当はそれを喋るつもりが、ついつい我が神について語ってしまった。今年は山遊び!!ロッジを貸し切ってキャンプにバーベキューとかどうよ?」

 

「手配とかめんどくない?」

 

 兎田友梨さんが質問する。

 

「ジェットコースターに一緒に乗り続けて、仲良くなった同志がオーナーでしてな。手配はすぐ出来ますぞ」

 

 なんか熊尾龍太のキャラがブレすぎて意味が分からん。

 

「俺は今年も金はない。貸し切り料金なんて払えないぞ?」

 

 虎井遥輝が俺と、同じ意見を言ってくれる。

 

「今回は半分我が同志との助け合いですからな。金はこの熊尾龍太のポケットマネーから全額負担しましょうぞ」

 

 ん?ただより高いものはないと言うけど大丈夫かな?

 

「熊尾はまだ正気にもどってないのかしら?」

 

 希更さんがサラッと言うと、熊尾龍太が過剰反応して内股になる。なんかイケメンが台無しだ。

 

「この、熊尾龍太はいつも正気だが、愛を語るときはついつい饒舌になってハイテンションなのは認めよう。今はサブカルチャーを愛する同志の苦境を救う事が先決なのである。それに今年度は安倍同志候補が転入してきたのだ。

 全員参加して仲良くなろうではないか?」

 

 熊尾龍太が矢継ぎ早に捲し立てる。終始内股なのでざんねんないきもの見た目だけどいってることはごく普通だと思う。

 

「ヘンタイを救うならあんたが勝手にやりなさいよ?」

 

 文学女子の兎田友梨さんも熊尾龍太は理解の外にあるらしい。

 

「ロッジの場所はあの弓槍ヶ岳ですぞ?」

 

「「「「そんな場所知ってるわけないでしょうが!!」」」」

 

 うん俺も知らない。

 

「秘境すぎる急斜面スキー場に、大自然しかないキャンプ場が売りですぞ!!」

 

「秘境すぎるのじゃなくて、誰も知らないが正しくね?」

 

 虎井遥輝の正確なツッコミが入る。

 

「ノンノンノン、少し違いますなぁ。その昔を山に犯罪者が逃げたで、弓槍ヶ岳村が出来て、そこへ孤児なんかも捨てたのです」

 

 えっとなんの話??

 

「しかしその村は山奥過ぎて遮断された土地いつしか忘れ去られた。しかしながら近年発見されたのですがな」

 

「「「「「・・・」」」」」

 

「村の代表、村長を決めて行政の管轄になるために選挙が行われた・・・」

 

 ん?これホラーなん?

 

「四人の候補が立候補し熾烈な選挙戦が行われた。そう血で血を洗う惨劇が起こり、当選した候補者の支援者しか生き残らなかった」

 

「そんな心霊スポットあるわけないでしょ?」

 

 希更さんの言うとおりそんなベタなありそうでやっぱりないやつじゃん。

 

「早とちりですなぁ。選挙の度に殺し合いが発生するけども、犯人は全て逮捕され一件落着。いつものヤバすぎる不祥事に全くPRはしない。そんな逮捕歴ある村人が心霊現象起これば客増えるんじゃね?って運営してるロッジとキャンプ場&スキー場なのですぞ」

 

「「「「「逆に怖いわ!!」」」」」

 

「これで心霊現象が起こらないほうが不思議だと言っておりましたぞ。だから安心して泊まれますな。楽しそうではないかね?」

 

「まぁスリルは最高だよな?」

 

 虎井遥輝!?友達やめようかな?

 

「お父さんに警備頼もうかしらね」

 

 兎田友梨さんそういえば警備会社の社長令嬢でしたね。

 

「保護者も決定したし、芦谷先生に報告と許可を貰ってきますぞ」

 

 熊尾龍太は義母の元へ向かっていった。そして誰もお昼ご飯を、食べてないのにお昼休みが終わったのだった。

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