025話 よく認可を受けられたね
両手を女の子に拘束され続けて後頭部を、冷やされ過ぎて感覚の無くなるし、お弁当をたくさん食べさせてもらったというか食べ過ぎて苦しくなるまで食べさせられた。
やっぱりイジメなんだろうか?悪意を感じないけども、なんでこうなるのかな??
このお弁当タイムのあとに、食べ過ぎの消化も、兼ねて少し休憩として今から遊園地のといえばのコーヒカップに乗るところだ。
他にも、メリーゴーランドと観覧車は外せないと思う。
「フェスティバル期間限定!!早回し選手権大会開催中ですよ。ルールは簡単真ん中のハンドルを回すだけ!!ただし安全リミットを解除してるので自己責任でお願いしまーす」
コーヒカップ担当のスタッフさんが何度も念押ししてる。
「げっ遊園地で安全リミット外すってヤバくない?」
安全リミットも怖いけど、美味しく食べたお弁当をリバースしたらどうするのさ?絶対に吐かないけど。
「そう?面白そうじゃない?子供ながらにいくら回しても早くならないなーって思ってたけど、安全リミットが原因だったのね」
希更さんが物騒な事を言ってる。安全リミットの限界まで小さい頃に回せた事が驚きなんだけど!?
「私は酔うから別に乗る」
真田愛美さん!?裏切らないで!!
「ゆなちーは、高速回転したらお弁当をリバースしそうだからマーと乗るね。真ちゃんが酔ったら膝枕してあげる」
武田唯さんまで!?膝枕よりも高速回転コーヒカップから救って下さい!!
「目が回るのはちょっと無理かな。真ちゃんごめんね」
上杉雪菜さんもなの?みんな酷くない?
「真治は一緒にやってくれるの?」
希更さんが、ちょっと悲しそうに見つめてる。これは断れないじゃん。
「俺は吐かないし大丈夫かな。早さはちょっとだけ気になるし」
希更さんの表情がパッと明るくなる。あんな次がないかも知れない高級食材は、意地でも吐かない。
「回転速度は一回の遊戯時間中の回転数で判定いたします。瞬間速度出はなく平均速度になりますのでお気をつけ下さい。なお安全リミットありませんから自己責任でお願いしまーす」
コーヒカップのスタッフさんが絶望的な案内をする。つまり最初から最後まで希更さんが本気で回すコーヒカップに乗る必要があるということだ。ヤバない?
「ねぇどういうこと?」
希更さんはちょっとルールが分かってないらしい。
「えっと、始めから終わりまでの時間内に一番多く回せば勝ちってことかな」
瞬間速度じゃないからこうなるよね。
「なるほど、分かりにくく言わないでよね」
「普通にルールを言ってると思うよ」
「真治って頭良いのね」
なんか希更さんに褒められた。
「きさら、小学校の算数だったからね。平均と瞬間の違いは常識だよ?」
武田唯さんが補足説明してくれる。
「そ、そうなんだ。あっやっと乗れる!!行くわよ!!」
少しバツ悪そうにして希更さんが露骨に話題を変える。地獄の超速コーヒカップが開幕するらしい。
本当に真田愛美さんと武田唯さんと上杉雪菜さんは俺と希更さんとは別のカップに座ってしまう。
「ワクワクするわね。全身全霊でハンドルを回すからね」
強烈に嫌な予感がする。これは普通に座ってたら遠心力でふっとばされそうな気がする。
「えっと俺は耐えるからよろしくね」
コーヒカップの、座るところに横になる。これで遠心力を受けても、背もたれというかカップの内側に押し付けられても吹っ飛びはしないと思う。
「それではコーヒカップスタートてす!!本当に安全リミット解除してますから、自己責任ですよー!!気をつけて遊んで下さい!!くれぐれも無理はしないように!!責任は全てお客様ですー」
それならこんなヤバい企画を開催するなよとか思う。そしてなぜ、こんな危険な改造を認可したのか公官庁に問いただしたい。
少し動き出すと希更さんが全力でハンドルを回して、のんびり優雅に回る乗り物がまるで対G訓練装置の如く高速回転を始める。
凄まじい遠心力で俺はコーヒカップの内側に貼り付けの刑にされる。
「うりゃりゃりゃ〜」
希更さんははしゃぐ子供のように楽しそうだけど、俺は吐くとかレベルを超えて呼吸困難と戦っている。なんか血液も体内で偏ってる気がする。
どれくらい耐えたか、時間感覚が薄れてくる。1分くらいなような、もう10分超えたような気がしてくる。
意識がだんだん遠くなる気がしてくる。そんな限界というところでコーヒカップが停止する。
「ぜぇぜぇぜぇ、2分も全力を出すと流石にしんどいわ」
「2分だったの?でもごめん無理」
俺は立ち上がる体力も残ってない。
「仕方ないわね」
希更さんにお姫様抱っこされて運び出される。なんか周りの視線が痛いのだけど。
「最高記録です!!回転総数は384回!!なんと1秒で3,2回転!!良い子はマネしないでね」
間違いない希更さんの記録であろう数字が紹介される。
「リミットは90回転以上は上がらないので4倍以上とは本当に危ないですからね!!加減は自己責任でやってください!!」
ぐったりしながらも言いたい。安全リミットは絶対に必要だって。
そして限界を、超えていたのか俺は意識を手放したのだった。
「大丈夫?」
目が覚めると目の前に、希更さんの顔が横向きでドアップになってる。
どうやら膝枕されて気絶してたらしい・・・ん?なんか感触的におかしいと身体を確認する。
なぜかベンチに座る武田唯さん、真田愛美さん、上杉雪菜さんに膝枕じゃないけど太ももの上に俺は横たわってる。なにこれ!?肉布団か?
それより下手に動いたらセクハラとかなるやつじゃん。
「だいじょばない」
希更さんの表情がより心配そうになる。
「ふふっ、真ちゃん日本語おかしい。意外と余裕?」
真田愛美さんに指摘を受ける。でも女の子4人の上で寝てるって混乱するって。
「きさらの膝枕じゃ、足りないよね?ゆなちーと入れ替わったら元気になるよね?」
武田唯さんはそう言いつつ、俺の息子というか股間へ視線を向ける。元気になるのはそこなの?この状況はセクハラでしょ?それは無理だって。
「このままが良いかな」
心の準備とセクハラしないで動く方法を思い付いてからにしたいです。
そしてなぜか少し希更さんの表情は柔らかくなる。なんでだろ?
俺の頭の中がこの意味不明な状況に混乱してると、頭を希更さんに優しく撫でられる。これは心地よい良いかも。
希更さんと間近で見つめあってると、希更さんは優しい顔になる。そのいつもと違う表情にドキッとする。
女の子に優しくされて幸せだなって思う。
「きさらズルい〜!!真ちゃんも気持ち良さそうだし!!ゆなちー忘れないでよぉ」
あまりのシュールさに忘れようとしてたけど、やっぱり4人の女の子の太ももの上で寝てる。
武田唯さんは何を思ったのか、俺の股間へグーを軽く、振り下ろした。
「イッテぇ!?」
痛みというよりは驚きでベンチじゃなくて太ももから落ちる。
ぎりぎり頭を打つのだけは回避するけど、全身殴打は免れない。股間より落ちたダメージの方が大きい。
「ゆなちー、それはセクハラ」
「真ちゃん大丈夫?無理はだめだよ?」
「あれ?真ちゃんごめんね」
「あんたら、何してくれんの!!」
真田愛美さんはなんかズレてるし、好きで無理してないから上杉雪菜さん、武田唯さんは痛いよりは驚いただけだし、希更さんとりあえず起こして欲しいなぁ。
いきなり滅多に音が出ない問うか連絡くれる人がいないはずの俺のスマホがメールの着信音を奏でる。
何かなと痛む身体に鞭打って立ちあがりスマホを確認するとバイト先のファミレス店長からだった。
「今日はなぜかファミレス臨時休業でシフト無くなったって」
「それじゃぎりぎりまで遊園地で遊びましょ」
希更さんが嬉しそうだし、給料減ったけど良しとしようかな。
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