022話 なぜそうなる?
なんか希更さんは助けてくれてるというか不機嫌みたいだね。きっと俺と恋人扱いなのが嫌なのだろう。
そして何故かクラスの女の子四人に囲まれて、お弁当を食べることになった。
お弁当はタコさんウインナーやハートのだし巻き卵、お花のハムに真ん中にミニトマトと見た目が可愛く詰められている。
三角おにぎりはいろんな表情が海苔で表現されてたりと遊び心もある。これは普通に美味しそうだ。
「真ちゃんお茶あるよ。この遊園地は自販機までガーリックばっかりだから、ジュースも沢山あるよ」
ペットボトルが大量に真田愛美さんのバッグから出てくる。
「お茶下さい」
「真ちゃんもお茶と、ほら皆で食べよう」
「いろいろと腑に落ちないけど、お腹減ったしいただくわ」
ちょっと機嫌は悪いけど希更さんも席に着いた。希更さんが先ずはおにぎりを手に取る。
「その顔はきさらをイメージしたの。それは笑ってるきさら」
「ちょっと!?なんで私なのよ!!」
「ん?きさらはその方が嬉しいかなって思ったから、真ちゃんはこの照れてるきさらをどうぞ。さっ照れてるきさらを美味しく食べて」
「んー?なんか悪いというかエロくない?」
真田愛美さんってそんなキャラなの?もう少しクール系ぽくない?
武田唯さんが俺の後ろに周り込んで、照れた希更さんおにぎりをホールドする。
「ふふっきさらを美味しく食べちゃえ」
背中に武田唯さんが密着してるけど、胸の感触は感じない。そして女の子とは思えない力でホールドされておにぎりを口に捩じ込まれる。
「ムググッゴホッ」
「おー照れたきさらは美味しい?本物も食べちゃう?」
流石に看過できなくなった希更さんが、顔を赤くして怒りながら助けてくれる。
「ゆなちー!!いい加減に真治から離れなさいよ」
希更さんが武田唯さんを強引に、引きはがすとすかさず真田愛美さんがお茶のペットボトルを差し出してくれる。
「真ちゃんお茶どうぞ」
なんとか真田愛菜さんが飲ましてくれたお茶で俺は命を落とす危機を乗り越える。その間に武田唯さんは半殺しになって元の席でぐったりしてる。
「ゆなちーは野蛮過ぎだって、男の子は自然と視線向けてくれるから、がっつくとよくないよ」
上杉雪菜さんがおっぱいを自分でギュッと寄せて、エヘヘって感じの笑顔を向けてくれる。
おっぱいを凝視する勇気はないので、上杉雪菜さんと視線を自然と合わせる事になる。
「ゆきゆき、おっぱいを使うのは反則」
真田愛美さんのツッコミが入る。
「使える
なぜかクラスのJKにあーんされる。なんだこの状況?だし巻き卵は美味しく食べるけども。
「真ちゃんこれは自信作、生ハム&チーズにバジルソースの一口サンドイッチ」
真田愛菜さんがだし巻き卵を食べ終えた俺に間髪入れずに差し出して、あーんしてくれる。どうして俺は名前も覚えてなかったJKにあーんされてるのか謎すぎる。
ちなみに味はめっちゃ美味しい。喋る暇も与えられないけども、下手なことを言えないしこれはありなんだろう。
「きさら、これできさら以外はあーんした」
武田唯さんはあーんじゃなくておにぎりを口に捩じ込んだ、だと思うけど?まだサンドイッチがあるから喋れないから黙って聞いていよう。
「あんたら・・・なにやってるのよ?」
ゲッ希更さんが怒ってる!?
「仲良くクラスの友達とお弁当を食べてるだけじゃん」
武田唯さんが復活して、希更さんに答えてる。いや女の子が男の子におにぎりを捩じ込むのは死にかけたし、仲良くとは違うと思う。
「そうよね?なら良いわ」
何故かちょっと緊張した感じで、ハムに野菜を巻いて爪楊枝で固定したハム巻きサラダを希更さんに差し出される。
なぜ俺は箸を使わないで、女の子に給餌されてるのか全く理解不能だけども、口を空ける。そこへ希更さんがハム巻きサラダを入れてくれたので食べ始める。
「どう?美味しい?」
これは否定したら希更さんに殺されない!?美味しいのは事実だし素直に頷く。
「良かったぁ」
希更さんが嬉しそう笑顔なので正解らしい。
「真ちゃん、いろんな食材あるしたくさん食べて」
真田愛美さんも嬉しそうにしてる。手料理を美味しく食べてもらえるのは幸せだからその気持ちはよく分かる。
そしてなぜか立ち上がる武田唯さん。
「怒ってるきさらを見つけたから真ちゃん食べて♪」
「あっ」
あからさまに目線を反らす真田愛美さんに不安を覚える。
背中にまたしても密着されるけど、おっぱいどころか、ブラの金具?パーツ?の感触しかない。どうやら偽乳はやってないようだ。
怒った顔の希更さんおにぎりを口に持ってきたのでとりあえず一口食べてみる。
「グフッ!!」
なんとか吐きそうになるほどの口内の激痛に咳き込みつつも耐える。
「うわっ!!マーなんてもの作ってるの?中身真っ赤じゃん」
それ貴女が食べさせたやつですよ?
「きさらの怒りをカプサイシンで表現してみた」
うん、希更さんの攻撃力はこのくらいは超えてそうだけども、食べ物にこれはやり過ぎじゃない?
真田愛美さんからお茶のペットボトルを受け取りゴクゴク飲む。なんで武田唯さんは殺しに来るのだろう?やっぱり俺嫌われてるのか?
「真ちゃんごめんね、マーこんな仕込みをしてるとは思わなくてさ。ゆなちーの膝枕無料権利とお口直しどうぞ」
まだ背中にない胸を当てている武田唯さんが、マーブルな糖衣チョコをポケットから出して食べさてくれる。とりあえず甘さで辛味は少し引いた気がするけど徹底的に手を使わさせてくれないらしい。新手のイジメなんだろうか?
「私そこまで酷くないわよ」
希更さんが怒った希更さんおにぎりの食べかけを強奪すると、パクリと食べる。
「おっときさら、それは間接キスやるな〜」
上杉雪菜さんが指摘すると希更さんが悶える。
「ガフッ、ゴクゴク、ゴホッゴホッ」
希更さんは辛さで咳き込んだのか、俺との間接キスが嫌だったのかどっちだ?
それでも希更さんは激辛おにぎりを食べきってしまう。
「これは間接キスどころじゃないわ。それでゆなちーいつまで張り付いてるの?」
「えっと真ちゃんにゆなちーのおっぱいサービスだから許してよ」
「「「ゆなちーは二次元でしょうが!!」」」
希更さんだけでなく、上杉雪菜さんと真田愛美さんもツッコミを入れる。
「ちゃんとブラで寄せて集めてるからあるもん」
希更さんに春巻きを差し出されるから食べる。口の中がチョコ味でなんか変な感じだ。先にお茶を飲みたかった。あと武田唯さんが寄せて集めても下着のパーツと肋骨しか感じない。女の子に抱きつかれて、嬉しいけどね。
「きさらこんなこともあろうかと用意してある。キレた時のきさらおにぎり」
「「「「!?!?」」」」
真田愛美さんがお弁当箱から激怒した顔のおにぎりを取り出す。
「あはは、中身は何かな?」
武田唯さんが声を引き攣らせつつ質問する。
「レシニフェラトキシン、世界一辛くてサボテンが作る物質。人は10グラムで死ぬ」
「それはもう毒じゃん!マーなんでそんなのをおにぎりにしたら危ないって!!」
希更さんは武田唯さんを俺から引きはがすと、顎と頭を掴んで強制的に開く。
「真ちゃん!!ゆなちーの膝枕いくらでもいつでも使っていいから助けて・・・」
マジギレ希更さんおにぎりが口へ放り込まれる。ご愁傷様です。
「≯∃β∈∅∌Ωοπη∷ψ⊃√€£#@%」
武田唯さんの味覚というか神経が無事か心配なほど意味不明な、叫びと共に撃沈した。
今の女子高校生って怖すぎる。それでも付き合う世の中の男って凄すぎないかな?
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