021話 遊園地でそれやる!?マジ??「マジです」

 フードコートに俺と希更さんはやってくる。まだ熊尾龍太は鈍足ジェットコースターで遊んでるから放置でいいだろう。

 

 フードコートではフェスティバルが行われていた。どうやら今回の遊園地フェスティバルの目玉らしい。

 

「ガーリックフェスティバル!?まさか・・・」

 

 希更さんが慄いているけど、どうしたのだろう?

 

 フードコートのパンフレットを取って確認してみる。

 

『遊園地内の全店、全飲食物にこだわり抜いたガーリック大量使用!!世界初の遊園地ガーリックフェスティバルを体感せよ!!』※フェスティバル期間中のみ飲食物の持ち込みを認めます。

 

 小さく注意事項もあるけど、ガーリックってそんなに駄目なの?高級感あって楽しみってあれかアレルギー体質の人のために持ち込みを認めないといけないのかな?

 

「ガーリックフェスティバルって高級感あって良くない?」

 

「あんたねぇ、ガーリックって分かってる?ニンニクよ。ニ・ン・ニ・ク!!」

 

「んー?なんか普通になった気がする」

 

「分かれよ!!そして乙女にこんなの耐えられないの」

 

「えっと別れて食べるの?一度出たら入れないよね?」

 

 半券切り取られてるしどうするのだろう?

 

「別れようじゃないのよ。変なとこで間違うな!!にんにくの特性を考えなさいって言いたかったの!!」

 

 希更さんのツッコミが冴えわたる。そしてギリギリでアイアンクローは静止していて、俺の頭蓋骨はノーダメージだ。

 

 頭に手が来るのに反応も出来ないって、希更さんってやっぱり怖いなぁ。

 

「希更さん怖いって、でもお弁当とかあるの?無いなら美味しそうだし食べるしかなくない?」

 

「そうなんだけど、妥協できるわけないでしょうが!!」

 

「えー、そんな事言われても困るんですけど」

 

 希更さんのキレてる理由がイマイチ、ピンとこないけど、このままだと男嫌いな希更さんに、ボコられそうな気がする。

 

「デートにこんなイベント考えたやつエイルはバカなの??」

 

 急に希更さんが寒気がしたのかブルッと震え上がる。

 

「遊園地の経営してる人は面白い企画考えたと思うよ」

 

「そうね。口は災いの元よね。思いついて実行するまで止めなかった大人達は凄いわ。このガーリックフェスティバルという発想はある意味天才よ。私は困るけど」

 

「希更さんはガーリック嫌いなの?」

 

「嫌いというか、なんで逆に分からないのよ?」

 

「なんでと言われても、にんにくとか買ったことも無いし、外食もめったにしたことないから分からないけど」

 

 急に黙る希更さんにどうしたのかな?と顔を覗き込むと、視界の端に天使ちゃんがクレーンゲームの景品を積み上げて、席を占領してるのを見つける。

 

 天使ちゃんは入院生活が長いからか、非常識な事をしてしまうのが心配だ。

 

 でもお義母さんと親父が、一緒に積み上げてるし、お弁当もあるみたいだ。お義母さんのお手製弁当ならハズレはない。

 

 天使ちゃんが困っても大人が二人居るし大丈夫だろう。

 

「「・・・」」

 

 なんだか視界の端を気にしてたら、希更さんと見つめ合ってしまってる。どうしよう?希更さん怒りやすいから、このままだと熊尾龍太みたいに、ボコられる未来しかなくない?

 

「どんだけ貧乏だったのよ・・・えっと、ガーリックは美味しいのよ」

 

 希更さんが静かに語り始める。

 

「へぇー」

 

 それは食べたいな。ちょっと希更さん雰囲気が暗いけど、どうしたのだろう??

 

「でもね。臭うのよ」

 

「臭う?」

 

 納豆みたいな?少し高いけど体にはいいんだよね納豆。

 

「そう。特に口臭がね、残るのよ」

 

「あっ」

 

 滅茶苦茶強いけども、たぶん女の子だろう希更さんは口臭は嫌だよね。

 

「食べ過ぎたら、次の日にも残るの・・・」

 

 なるほど、それで飲食物の持ち込みを許可してるのか。そりゃ次の日が仕事とか学校とかで口臭は嫌だもんね。

 

「それはとても困るけど、どうする?」

 

 俺に解決策は、なくはないというか、お義母さんに一言お弁当下さいと言えば助かると思う。問題は、担任の先生とバレること、後は高校生男子が家族が勝手について来てるのは少し恥ずかしいことだ。

 

「えっと私はお弁当とか持ってないけど、あてはなぜか、なんか有るんだけど・・・」

 

 歯切れの悪い希更さんの視線を追って振り向くと女の子三人組がいる。

 

「知り合い??」

 

「あんたマジで言ってる?レインもしてるクラスメートよ」

 

「えっと制服じゃないし雰囲気が違いすぎない?」

 

 なんというかオシャレしてるし陽キャポイ雰囲気で彼氏もいそうで、人生を楽しんでる女子高校生に見える。

 

 そんな人達居たかな??とりあえずレインを確認してみる。希更さん以外だと、マー、ゆきゆき、ゆなちー何だけど、ヤバいクラスの誰か分からないから顔と名前が一致しない。

 

「・・・」

 

 

「「「☆(ゝω・)vキャピ」」」

 

 三人組はお弁当があるらしい。そしてレインはしてるお友達何だけど、やっぱり分からん。

 

「仕方ないわ。教えてあげるから来なさいよ」

 

 何故か希更さんのテンションが少しもち直して、三人の元へ向かって行くから、慌てて追いかける。

 

「あなたら、真治が顔と名前とハンドルネームが一致してないわよ」

 

「「「(´;ω;`)ウッ…」」」

 

 近くに来てもダメだ分からない。

 

「えっと、なんかごめん」

 

「真ちゃん酷い〜、ゆきゆきは覚えやすいんだぞ!!」

 

 言いながらおっぱいを強調する。クラスの誰だ!?

 

「えっとまだ一ヶ月もクラス一緒になって経ってないし全員の名前覚えてないから、そのごめん」

 

上杉 雪菜うえすぎ ゆきなでゆきゆきよ。おっぱいに全部栄養が集まってるのよ」

 

「そうそう!!夜食はおっぱいに集まるから!!真ちゃんは、ぱふぱふしていいぞ」

 

「そういうのは彼氏だけにしなよ」

 

「真ちゃん恥ずかしいがらなくてもいいんだよ」

 

「それよりも私!!ゆなちーだよ!!真ちゃんをゆなちーが膝枕してあげよう。絶叫マシンの疲れとゲームの負けを全部癒やしてあげちゃうぞ♪トイレの個室までなら二人っきりを許しちゃう」

 

 4月に短パンで少し寒そうだけど、女子高校生の生足を晒してて、そう太ももへおいでとジェスチャーされても目のやり場に困る。

 

「太もも押しの変態が、武田 唯たけだ ゆいよ」

 

「きさら!?ゆなちーが変態はないって!!変な誤解されちゃうじゃん」

 

「あはは、トイレの個室は一人で入りたいかなって」

 

「それじゃ保健室にする?ならベッドで?真ちゃん大胆すぎー」

 

「ゆなちー、保健室で膝枕でもギリギリアウトだしその発言は完全アウト。お弁当はマーの手作りだから、気遣いと気配りは任せて」

 

真田 愛美さなだ まなみでマーよ。人を見てるようで恋すると盲目になるの」

 

「それは違う。気遣いと気配りしても二股クズ野郎が見抜けなかっただけ。真ちゃんはだけはしないようにね」

 

「二股の前に彼女もいないから心配しなくても出来ないって」

 

「マーあんたねぇ。隠れないで堂々とすれば良いって聞こえなくはないけど?」

 

 希更さんの微妙な指摘が入る。

 

「んー、ボコるけど愛してくれたら許す」

 

「ボコられてまで二股したくないかな」

 

 希更さんの攻撃力が高すぎるとは思うけども、もしかしたら女子高校生が異様に強い可能性もある気がする。触らぬ神に祟りなしだって。

 

「真ちゃんは二股じゃなくて四股。あんなクズ野郎とは違う。ボコるけど」

 

「違うって・・・俺の方が酷くない?それになんで四股前提??」

 

「女の子四人に男一人だから」

 

「なんでよ!!おかしいでしょうが!!勝手に彼女にカウントしないでよ」

 

 実母のこともあるし四股はありえないけど、希更さんは、それ以前に彼女になりたくないようだ。男嫌いポイし当然だよね。

 

「生みの親が不倫で離婚したから、二股とかそういうの嫌いなんだ」

 

「真ちゃんこの状況でそれ言えるなんて、とりあえず女子高校生の手作り弁当食べなよ。作ったのはマーだけどさ」

 

 武田唯さんが席を勧めてくれる。これは3人の争いでカオスになるやつじゃね?助けて希更さん!

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