020話 上には上がいた

 ゲームコーナーというか、遊園地内のゲームセンターに希更さんとやってきた。

 

 どうやら全部メダル式で、メダルは今日ならいくらでもフリーパスチケットでも貰える。

 

 ゲームセンターとか始めてだし希更さんに任せよう。

 

「おっあれやってみたかったのよね。ガンシューティング!」

 

 どうやら兵士になって敵を撃つゲームらしい。武器はマシンガンというかアサルトライフルというかそんなやつ。

 

 ガードモーション(しゃがむ)と弾補充モーション(銃をガチャガチャする)があって、後は画面に銃口を向けて引き金を引くだけという簡単な感じだ。

 

 ヘッドショットというのがあり、一発で大ダメージを与えられる。簡易治療キットを持ってると、受けたダメージを回復出来る。これは、思ったよりも奥が深そうなゲームだ。

 

 希更さんがプレイヤー名を入力する。これはいいスコアを残すと記録として残るらしい。プレイヤー名は、きさら&しんじ、になった。

 

 やっぱりこういうゲームってなぜかワクワクする。これが漢なのか?

 

 ストーリーはあってないようなものだけど、特殊部隊という事でテロリスト集団とか、戦場へ少数で突撃制圧するというもの。

 

「作戦としては終わってるわね」

 

「そうかな?勝てたらカッコよくない?」

 

 ゲームなんだしこっちが負けない設定とか面白くないと思う。

 

「それもそうね。いくわよ!!」

 

 ズドン、ズドン、ズドン

 

 1stステージクリア!!

 

 希更さんのヘッドショット3発で終わった。俺の出番はない。

 

 ズドン、ズドン、ズドン、ズドン、ズドン

 

 2ndステージクリア!!

 

 希更さんにはマシンガンは必要ないらしい。そして俺の出番はない。

 

「やっぱり最初は簡単ね。ここからどのくらい難しくなるのかしら?」

 

「えっと難易度が俺には分からないけど、希更さんが上手すぎると思う」

 

「そう?イケるとこまでイクわよ!!」

 

 俺は何度か死にかけたけど、希更さんのアシストもありなんとかノーミスで全クリしたのだった。

 

 そして過去の歴代記録が100位から表示されていくが100位は、俺達のスコアよりも3桁は少い。だからどんどん表示される順位が上がっていく。

 

「これ1位じゃない?」

 

「たぶんやったわね」

 

 そして当然のように、きさら&しんじが一位に輝いた。

 

「「イエーイ!!」」

 

 希更さんとハイタッチする。やっぱりなにかやり遂げると楽しい。

 

「ちょうど良く、あっちの対戦レースゲームの片方が空いたけどやる?」

 

「へぇ~、チームマッチかやってやろうじゃないの」

 

 希更さんは乗り気だし、そちらに移るとさっきまで、俺達のがやってたシューティングゲームに親父と、お義母さんがチャレンジして天使ちゃんが応援してるのに気がついた。希更さんには黙ってよう。

 

 たぶん親父とお義母さんこ二人は、希更さんくらい上手いから記録はあっさり抜かれそうだな。

 

 有名なキャラ達が、カートに乗ってレースをするゲームだ。アイテムの運とテクニック両方が求められるそんな感じかな?

 

 対戦相手が二人に俺達が二人とNCPが四人の合計8人で、4レースして勝ち点みたいな感じでランキングと合計タイムを競う感じらしい。

 

「これバカ兄に圧勝してから、一緒にやってもらえないのよね。真治はとにかく後ろについて来なさい」

 

「やったこともないんだけど!?」

 

「根性でなんとかしなさい」

 

 えぇー希更さん!?そんな無茶苦茶な!?コース取りとか分からないし、こうなったら希更さんの後ろに張り付こう。

 

「よーしぶっちぎってやるわ」

 

「いやいや、それは困る後ろを考えて」

 

「後ろは見えないからね!!真治が頑張りなさい」

 

「確かにそうか」

 

 そしてレースが始まる。希更さんのスタートダッシュにもう何も考えずに同じコース取りを選ぶ。アクセルブレーキ、ハンドルも希更さんの完コピする。

 

「えっ真治凄くない!?」

 

 希更さんよ返事どころじゃない。希更さんの後ろを真似して走るので精一杯なんです。

 

「私はそれなりに練習したのよ。これはなにがなんでもおいて行くわよ!!」

 

 レースとか順位とかじゃなくてもう、希更さんの操作を半テンポ遅れてコピーに集中するしかない。

 

 妨害アイテムとかもあるけども、なんとか切り抜けて、気がついたら1ランドは、ワンツーフィニッシュしてた。

 

「真治!!どんだけよ。私全国ランカーの一歩手前くらいは速いのよ」

 

「それは希更さんが前にいるからだって。俺はついていくのでいっぱいいっぱいだし」

 

「それが普通はできないから、対戦相手が遥か後ろなのよ」

 

「そんなこと言われても、なんか出来たしいいじゃん」

 

「まぁ私の力でこのまま残り3レース勝つわよ!!」

 

「おー!!」

 

 なんだがゲームって楽しい。

 

 そして希更さんの超絶テクニックとか、すぐに真似できないのもあったけど1レースは3週あるので3週目には何とかなった。

 

 そしてあっという間に俺達は4レースを勝利したのだった。

 

「「イエーイ!!」」

 

 やっぱり勝利のハイタッチ嬉しい。

 

 チラッと親父とお義母さんを確認したらきさら&しんじの記録を抜いていた。

 

 そして天使ちゃんはクレーンゲームに行ったようだ。次の対戦相手は・・・親父とお義母さんだ。

 

「おっと次の相手来たわね。ついてきなさいよ」

 

「あっうん、頑張る」

 

 正直家にゲーム機ないし親父とお義母さんの強さは分からない。でも滅茶苦茶強い可能性大だと思う。

 

 第1レース開始と同時にスタートダッシュは希更さんと俺が勝ってるからイケる!!と思ったらジャンプ台から飛び出したところで、後ろからそれぞれ攻撃アイテムの直撃を受けて、コースアウトさせられる。

 

 釣り竿的なので助けられてコース復帰する頃には順位は俺達の最下位になってる。現在の1位はお義母さん、2位は親父、つまり狙いすまされた攻撃を受けたようだ。

 

「まだまだ挽回出来るわ!!イクわよ」

 

「今度も勝とう」

 

 お義母さんは、結婚前とかに遊んでてもおかしくないけど、親父がいつプレイしたのか謎すぎる。

 

 またスピードを上げてショートカットも駆使しながらじわじわと順位を上げて親父とお義母さんの背中を捉える。

 

 すると親父は希更さんのジャンプする直前にコースを塞ぐとジャンプする親父が黄色いスリップアイテムをコースに置く。

 

 流石の希更さんもゲーム仕様には勝てなくて、回避不能でスリップしてジャンプ失敗してコースアウトする。それに俺も巻き込まれて、ぶつかるけどコースアウトはギリギリ免れる。

 

 それでも大幅減速でこのレースは負けだろう。

 

「対人戦スキルは相手が圧倒的に上ね。それならどう頑張っても追いつけないほど、差をつけるのみよ!!」

 

「させてくれるかな?かなり強くない?」

 

「でも他にやりようがないでしょ?」

 

「うん。攻撃とかとりあえず放つしか出来ないしね」

 

 そして始まる第2レース親父は遅れつつも俺達に喰らいついてくる。お義母さんは大きく順位を下げている。

 

「これなら勝てる!?ってあわわ」

 

 希更さんに1位に絶対命中するし当たるまで消えないという極悪攻撃アイテムが命中する。俺も同じコース取りだったので、やられて親父が1位になる。

 

 更に俺のアイテムまで奪われる。そして高速化して無敵化して、ピカピカ光るお義母さんに轢かれて弾き飛ばされて俺達はコースアウトした。

 

「見事にボコられた」

 

「クッこのまま真治と負けたくないわ」

 

 希更さんの闘志も虚しく第2レースも敗北したのだった。

 

 そしてフルボッコされて、一度も3位以上にはなれず俺達は完敗した。

 

「うーんなんか負けたけど、勝てそうにないしいい時間だしご飯に行かない?」

 

 希更さんの提案に乗っかることにする。家族が皆いるとかバレたくないし。クレーンゲームの景品を空にする勢いで取りまくってる天使ちゃんとかバレそうだし。


「そろそろお腹減ったし、フードコートに行こうか」

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