018話 本気ホラーにつき注意
ヤバい!!真治から手を握ってくれて嬉しい。どうやら真治は絶叫マシンが苦手みたいだけど、私と楽しそうに遊んでくれるし、デートに邪魔者がいるけど、上手く仲良くなれてる。
この遊園地のラストは観覧車にしよう。このペースで急接近すれば、夕日で二人っきりとか、きっと真治から告白してくれると思う。
ちょっと想像したら緊張するし、嬉し恥ずかしで顔が赤くなってると思う。手汗とか大丈夫かな?あー心臓がバクバクする。
そんなロマンチックな乙女心をジャマする、魔者を排除せねばと、作戦を考える。絶叫マシンが真治よりも苦手みたいだしこの調子でグロッキーにしてしまうのがスマートかな。
最悪、観覧車だけは力ずくで排除するつもりだけどね。そんな邪魔者が・・・、はぁ!?ぶっ殺す!!
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熊尾龍太は何を思ったのか希更さんの空いてる手を握る。
「ラブラブはさせないぜ」
ん?熊尾龍太は希更さんのことが好きなのか?それで着いてきたなら分かる。俺に、嫉妬しないでくれ。二人を応援するからさ。
熊尾龍太はボコられるのが性癖なんだろう。俺は痛いのは嫌だしよく分からないけどもそんな世界があるのだろう。これは希更さんを熊尾龍太と仲良くなる支援をしないと俺が恨まれるやつじゃん。こういうの苦手なんだけど。
「セクハラ!!最低死ね」
希更さんは俺の手を放すと熊尾龍太の手を握り潰して、逃げようとする熊尾龍太を握手でホールドする。
「痛い!!粉砕骨折しそう、放せー」
手を繋いだまま希更さんが下船したのでついて行く。周りに邪魔にならないところまで熊尾龍太を手を繋いだまま連れ出した希更さんは、そのまま空いてる手でボコり始める。
「キモいあんたが握ったんでしょうが!!死ね」
片手を希更さんのにホールドされて自由を奪われてる熊尾龍太は為す術もなく殴られまくる。
いくら性癖がそっちの人でもヤバくないくらいボディブローをしまくった希更さんの足が後ろに大きく振りかぶられる。
えっマジで、という悪魔の所業フルスイングで熊尾龍太の股間を蹴り上げた。
「ノォォォーーーーーーーー」
ここで手を離して熊尾龍太をアスファルトに放置する。
「本当に最っ低!!そう思うわよね?」
熊尾龍太、すまん。俺には希更さんと争う勇気はない。そして俺も手を繋いだしキレられないようにしなきゃ。
「うん、いきなり女の子の手を塞いだらダメだよね」
これでいけるか?俺も同じ穴のムジナだけどさ。
「こんな、変態はほっといて、次はここ行かない?お化け屋敷」
おっと俺はセーフらしい。守ってという約束のおかげだろうか?
「この?ホラー洞VR?」
「そうそう面白そうじゃない?VRってどこまでリアルかな?」
「凄いお化け屋敷かも」
今度は普通の名前だし大丈夫だろう。俺達三人はホラー洞VRに並んだのだった。
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死ね 墜ちておいで 死のう 一緒になろう 死は救いだ ここにいよう
ピチャン、ピチャンと水滴が小さな水たまりに落ちている。そんな仄暗い洞窟の中にソレ住み着いている。
なぜか有名な自殺の名所だけに、何人の無念なのか、はたまた怨念に取り込まれたのか、何十何百人が混ざりあったのか何なのか誰も知らない。
個を失いながらも死にきれず生者を求め蠢いているそんな都市伝説がある場所だ。
そんな心霊スポットに遊びに来たのか、大学生の三人組がやってくる。
女の子一人に、男の子二人だ。
「雰囲気出てきた。ね、レイコちゃん?」
レイコの返事はない。
「あれ?ショウゴさっきまでレイコちゃんいたよな?」
「レイコちゃん?おーいレイコちゃんー!!おかしいな?ニシ本当に知らないのか?」
いつの間にか、女の子が居なくなっていた。
洞窟は短く、一度カーブすれば奥にたどり着くそれだけだ。短い何もない洞窟なのを事前情報として三人は知っていた。
ドボォーン!!まるで池に人が身を投げた様な音が洞窟の奥からした。すぐに静かになり、ピチャン、ピチャンと水滴が落ちる音に支配される。
ショウゴとニシは顔を見合わせて、意を決すると奥へと踏み出した。
「どうなってるんだよ?」
「何もないぞ?さっきの音したよな?」
スマホのライトで、照らされた洞窟の奥は水滴が作った小さな水溜まりと岩壁しかない。
「レイコちゃんは外かな?」
「あぁきっと怖くて帰ったんだろ」
ピチャ、ピチャ、ピチャ、ピチャ
ビョ濡れになった人のような足音が外から近づいて来る。
「ひっ!?レイコちゃん・・・」
青いを通り越して白い顔をして、湖に飛び込んだですぐに上がったかのように濡れている。
「その首・・・」
レイコの首にはまるで力いっぱい両手で首を締められた様な跡がついている。
「 死ね 墜ちておいで 死のう 一緒になろう 死は救いだ ここにいよう 」
ピチャ、ピチャ、ピチャ、ピチャ
レイコは返事にならない答えを返しながらゆっく近づいてくる。
ピチャ、ピチャ、ピチャ、ピチャ
後退りするも、すぐに二人は洞窟の壁に突き当たる。
ピチャ、ピチャ、ピチャ、ピチャ
ショウゴの前に来たレイコはショウゴの首に躊躇いなく手をかける。
「ゴホッゴホッ」
首が締まり咳き込み、全力でレイコの手を解こうとするが、あまりに強い力に外れない。
「 死ね 墜ちておいで 死のう 一緒になろう 死は救いだ ここにいよう 」
「あ、あ、あ、ひぃ~」
ニシは腰を抜かしながらも、もう下がれない洞窟の奥へ下ろうともがいている。
「あっぐあぁあぁ・・・・」
ドッサ、ピチャ、ピチャ、ピチャ、ピチャ
「ひぃぃっ」
ショウゴは倒れ込み動かなくなる。
ピチャ、ピチャ、ピチャ、ピチャ
「あっぐ、レイコちゃんやめてくれ・・・」
「 死ね 墜ちておいで 死のう 一緒になろう 死は救いだ ここにいよう 」
ドッサ、ドッサ、ピチャン、ピチャン
洞窟のにはいつまでも水滴が水溜まりへ落ちる音のみが響き続けたのだった。
「 死ね 墜ちておいで 死のう 一緒になろう 死は救いだ ここにいよう ずっとずっと3人でこのまま 」
このあと3人の行方を知るものはいない。
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怖すぎる。VRゴーグルつけて見たけども恐怖で((((;゚Д゚))))ガクガクブルブルする。
もう希更さんにボコられるとか熊尾龍太に恨まれるとかそんなの気にしてられない。
恐怖心から希更さんの手握るというか、腕を抱きしめ続けた。だって希更さんが一番強いとおもうから。そして、次のコンテンツがあるようだ。
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今日、ピアスを買った。
「このピアスは、悪霊退治で名を馳せた人達が使ってきたんだ」
寂れた商店街の、片隅で露天をやってる店主のこの言葉が決めてだ。私は霊感が強すぎて困ってる。だからこのシンプルな水晶のピアスに守って貰おうと思う。
お代を支払い、ピアスを安っぽいビニール袋から出して着けた。ふと露店に目をやるとそこには閉まったシャッターがあるだけだった。いやほぼ片付けが終わってるだけのようだ。
「今日は売れたから店仕舞いさね。あぁそのピアスは強制的に霊的潜在力を完全に引き出すのさ。代償として外せないし悪霊を、引き寄せるから気をつけな」
「えっ名を馳せた退魔師って強制なの??」
返事はなく今度こそ忽然と店主は消えていた。
その日の帰り道にそれはいた。血まみれで切り裂かれたブリッジして腕が3本あって、首の骨が折れてるのかがあり得ないくらいクルクル回る。更には首にはロープかなにかで絞め殺さた跡もある。そんな女が人間であるはずがない。
「悪霊と出会うの早すぎるわよ」
「ナンデ?私悪クナイ。死ニタクナイ貴方モソウ思モウデショ?」
「ひぃ~とにかく逃げるしかない」
私は恥も外聞もないとにかく回れ右してダッシュする。
「結婚シヨッテ言ッテタノニ私ノ首締メルノ?ナンデ?ナンデ?ミンナ苦クルシメバイイ」
「ワタシじゃなくてその男を襲いなさいよぉ〜」
「私ノ彼ヲ奪ッタ女ヲ許サナイ。ミンナ死ネバイイ」
この悪霊の速すぎる。ブリッジをしていても追いつかれる。
「水晶のピアスさん助けてぇ」
何か私の霊感の根源が開放された気がすると、何か粒が降ってくる。
「死ネ、死ネ、死ネ」
「ひぃ~、ん?爆裂種のとうもろこし?なんでポップコーンが降ってくるのよ!?痛くて走りにくいだけじゃない!!せめて弾けてからにしてよ!!」
すると弾けて白くなったポップコーンが降り始める。
「私カラ奪ウ女ハ死ネ。私ハ悪クナイノ」
あれ?もしかしてポップコーン降らせてるの私!?でも悪霊に効果は・・・カサァカサァー・・・全く効いてないみたい。むしろブリッジしながらなのに早くなってる。
「なんでやねん!!ポップコーン降らせる霊感とかそんなわけあるかぁーー!!」
ポップコーン降る中でもブリッジスプラッタ女は追いかけてくる。
「ひぃ~、怖さ増してるぅ。もっとなんとかなるはず!!目覚めて私の才能!!」
「早ク諦メサナイ、死ネ死ネ死ネ」
水晶のピアスが頑張ったのか、ポップコーンの密度が上がりどんどん降り始める。
「違う!!そうじゃない!!私の才能そうじゃなくて、悪霊退治の方向でお願いいたしますぅ」
ポップコーンが猛吹雪のように降りホワイトアウトする。
「死ンデ彼ヲ返セ、死ネ」
「なんでやねんポップコーン邪魔ぁ〜〜〜」
「死ネ死ネ死ネ」
「あれ?なんでポップコーンが赤い?」
「この赤いの?ヘモグロビン」
「悪霊が普通に答えないでよ・・・あれ?そのヘモグロビン私の血じゃない。こうなれば全身全霊よ」
このあとピアスを買った彼女に会った者はいない。そしてポップコーン吹雪は止まることは無くなった・・・。
「オォォ重イ死ニタクナイ、ぽっぷこーん二埋マリタク無イィィィ」
地球に雪じゃなくてポップコーンが降り積もった。
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なんでこうなった?ホラー何だけどそうじゃないよな?ポップコーン降らせるとか頭おかしいでしょ?何かパニック映画に、近くない?
どうやらホラー洞VRは終わりらしい。気がつけば希更さんの腕を放していた。
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