二章 クラスの本質

005話 ツンデレ?

 クラスメートのリーダー格を水岡希更さんが撃沈させたところで予鈴が鳴って後10分程でホームルームが始まる。濃い5分だったなぁ。

 

「ほら、これ宿題の答えよ。写しなさい」

 

 水岡希更さんがノートを差し出してくれる。

 

「あれ?これ授業ノートじゃないし、プリントも全部コピーだよね?」

 

「えっへん!!あんたに私の授業ノートを貸したら私が困るし、あんたの宿題用ノートを作ったんだから感謝して咽び泣きなさい」

 

 宿題を俺が、時間を気にせずに写せる様にわざわざノートを専用に作ってくれたらしい。しかも教科書より分かりやすい解説付きで参考書として普通に売れそう。

 

「ありがとう。でも咽び泣くってどうするの?」

 

「知らないわよ!それっぽく泣きなさいよ」

 

 えっと水岡希更さんも分からないのにそれってどう泣いても怒られない??

 

「なんかさ水岡さんてSなの?あとお礼は泣くだけでいいよね?」

 

 後で、参考書代とか言われても払えないしね。

 

「私はSじゃない!!『乙女なの』ああもう、とにかくお礼なら・・・希更って呼びなさいよ!!希更!!」

 

 一言だけぼそっと小さな声で言うから怒鳴り声に聞き慣れた耳では上手く聞き取れないよ。

 

「でも、俺のこと真治って呼ばないよね?俺だけ名前で呼ぶとかおかしくない?」

 

 水岡さんが赤くなる。恥ずかしいなら言わなきゃいいのにってあれ?そういえばなんで俺の周り今日は女子だらけなの?

 

「私はあんたはあんたでいいの!あんたはお礼に、キ・サ・ラって呼ぶのよ。お礼なの分かった?」

 

「希更様、なんで俺の周りに、女子が屯してるんですか?」

 

「様ってなによ。気持ち悪い!!希更さんにしなさい。私の友達だから、私の近くに居てもおかしくないでしょ?」

 

「そうそう希更の友達はみんな味方何だし大丈夫怖くないよ」「希更とキスしたら教えなさいよ」「ねぇ告白はまだ?」「今から子作りしても良いよ」「キャー初めてがクラスメート○○とかハードすぎー」「友達のプレイとか興味あるでしょ?」「視るだけなら良いよねー」 

 

「ちょっと黙って聞いてれば好き放題言ってる!!黙りなさいよ!!そんなんじゃなくてちゃんと言ったでしょ!!こいつの妹のお義姉ちゃんになりたいの!!」

 

 キスとか○○されながら子作りとかヤバくない?

 

「希更さんの友達って大丈夫なん?」

 

「うっさいバーカ!!あんたは友達が居ないでしょ?ほらレイン交換したげるからスマホ出しなさい」

 

「と、と、友達くらい俺もいるし、レイン交換しなくても・・・俺、寂しくなから(ノД`)シクシク」

 

「「「キャー阿部くんカワイイ、みんなでグループレインしよ」」」

 

 希更さんの友達の声がキレイに揃ってる。そんなに言ってくれるならレイン交換したいな。

 

「なんでそんな長文が揃うのか不思議だよ。えっとレイン交換ってどうやるの?」

 

「寂しくないしとかいいながら、結局交換するんじゃない。それよりレイン交換も出来ないって真正のボッチじゃないの?」

 

「・・・だって連絡ってメールで困らないから(ノД`)シクシク」

 

「はい、はい分かったからあんたのスマホ貸しなさい。レイン交換やったげる」

 

 俺はスマホを取り出すと希更さんに渡す。スマホに見られて困るものは無いし問題ないと思うしね。

 

「はい。じゃあお願いします」

 

「どれどれ・・・レイン起動してと、うわぁ、友達リストがお店の公式アカウント、しかも割引お知らせばっかりと妹だけとかウケる~しかも、ほとんど妹に既読スルーされてるし、やっとの返事もkかnの一文字だけってフハハ、あんた妹に嫌われてない?」

 

「うわ~ん、お兄ちゃん頑張ってるのに嫌われてないはずだよ、グスン」

 

「「「おぉう、これは母性本能を擽る!!」」」

 

 ビック!!なにこの悪寒、希更さんの友達に俺狙われてる!?しかもなんで母性本能なの!?女の子は分からんなぁ。

 

「なにバカやってるのよ。男のシスコンなんてキモいだけよ。ほらレイン交換したからあんたは確認しなさい」

 

「うん、そうだねキモいよね。はぁ俺ってキモイシスコンなんだ」

 

 そう言われるとなんか辛いなぁ。もしかしててんしちゃんにも希更さんにも、キモいって思われて俺、嫌われてる?

 

「希更ちゃんヒドイー。真ちゃん落ち込んだじゃん」「おねーさんがおっぱいで癒やしてあげようか?」「くっおっぱいで、敗北してても膝枕の癒やし効果は高いよ。ほらこっちおいで」

 

 おっレインにトーク通知が来てる!!どれどれスマホからレインを開いてチェックする。

 

 きさら『元気出しなさい。真治は良く頑張ってるよ。妹に嫌われてないって。困ったらなんでも相談しなさいよ』

 

 嬉しいな♪返信しなきゃ。

 

 真治『うん、ありがとう。そうする』

 

「おっと真ちゃんが急に元気になった」「希更〜、グループレインまーだー?」「希更の乙女力が爆発してる!?レイン見せてー」「ここは真ちゃんのスマホが狙い目!希更の乙女力チェックしなきゃ」

 

「こっら!!人のスマホを勝手に見るなー!!」

 

「あんたも早くスマホをロックして仕舞いなさい!!覗かれるしホームルーム始まるでしょ!!」

 

「「「ヤバ、怒った希更が怒った!!」」」

 

「それはネタが古すぎ!そして変わりすぎて誰も分からないやつ!!昭和のネタでしょうが!!」

 

「「「大変だー逃げろー!希更がご乱心だー!」」」

 

 俺の周りを囲ってた女子達が蜘蛛の子を散らすように逃げて行く。希更さんはおちょくられた反撃のために女の子たを追いかける。

 

「見た目だけイケメンガード!」

 

「ふでぶっあっが息子がガク」

 

 逃げた女子の一人が希更さんのパンツが絶対に、見えてたと思うハイキックでダウンしてた熊尾龍太を掴み起こし盾にする。希更さんの遠慮ない全力の飛び蹴りが男のシンボルを捉えてる。

 

 熊尾龍太は、股間を抑えながらまた床の住人になる。

 

「尊い犠牲は忘れないよ!!根暗女子アタック!!」

 

 今度は希更さんに向かって武器として、廊下で締められて落ちてた長谷さんが投げ飛ばされる。えっと、運動部にしても力強くない?俺の力が弱いのかな?

 

「しっ!!遅い!!」

 

 空飛ぶ兎田友梨さんが避けられて、気絶してたから受け身もなく、床に顔面からキスする。あれは顔面強打して滅茶苦茶痛いやつだよ。というかさ女の子にそれは酷くない??しかも首ヤバい角度で着地したよ!?

 

「根性見せなさいよ!彼女いない歴と年齢が同じで、キモい上に貧乏くさいサッカー部!!」

 

 虎井遥輝だけ不名誉な暴露を大量にされつつ、希更さんの飛び膝蹴りの身代わりとして使われる。

 

「まだ童貞だからあそこは、あそこだけは許してくれ!!ガハッ」

 

 虎井遥輝の鳩尾に希更さんが放った飛び膝蹴りが突き刺さり、虎井遥輝の身体がくの字に折れ曲がる。虎井遥輝の顔がくの字に身体が折れたから、ちょうど希更さんの胸に埋まる。


 羨ましい奴め、じやなくてあれ意識なくない?胸に顔が埋まっても覚えてないならやだなぁ。

 

「ヘンタイ!!死ね!死んでしまえ!」

 

 希更さんはクルッと180°回転して虎井遥輝に背負投を決める。鳩尾への一撃でやっぱり気絶してるみたいで、虎井遥輝は受け身をとる様子はない。死んだか?息子は無事だろうけどさ。

 

 そこでチャイムがなりホームルームが始まる時間になると、倒れてた全員が起き上がり席に着く。我がクラスメートさん達や、打たれ強すぎませんか?

 

 股間を押さえながら苦しんでるイケメンな熊尾龍太と鳩尾を押さえて、悶絶してる虎井遥輝もいるけど、希更さんのパンツ見てたし、胸に顔埋めたし仕方ないよ。

 

 俺はあのハイキックと引き換えに希更さんのパンツを見ようとは思わないし、鳩尾に飛び膝蹴りをくらいながら胸に顔を埋めたくない。


 普通に女の子に興味はあるけどもあそこまで、酷い目にあって得るものじゃないって。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る