第43話

散々吠えていたけど、捕まえられていた。

雪見は筋力があるようだ。

警察に話をするのは、雪見に任せる。俺にはさっぱり見えないが、供養しておこう。


どうか、安らかに。


雪見は事情聴取のため、警察に連れて行かれ、翌日帰宅。ぐっすり眠ってるから、声がしたというのはあれだったのかも。


昼前に起きたのか、朝飯を持って部屋に入ってきた。


「悠星さん、あの声は女の声でした。だから、昨日の人の声じゃない…」


「そんなこともわかるのか?」


「昨日見たあの人は、声はありませんでした。そこにいただけ」


「また今日も走ってみろ」


「はい、そうします」


たくましくなってきたな。俺よりも使えるのは確かだ。


「ところで、お金を手から出せるようになるんですか?」


「はー?ならねー」


「え、だって」


「それはマジックかなんかで、力ではない。雪見は、体をもっと鍛えて」


「はい…」


ったく。抜けてるやつだ。


「悠星さんは、軍人の仕事なんですよね?それってお坊さんの意味ありますか?」


「…軍人ではないよ?めんどくさいから、雪見は気にしないで」


「英語で話すんですか?」


「そりゃそうだ」


「えーすごいですね!」


雪見は気がついてない能力、まだあるんじゃないかな。早く独り立ちしてくれよ。

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寺の息子になってみた えいみ @fukuharaeimi

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