第41話

「雪見。携帯から警察に連絡して」


「え?」


悠星さんを追いかけてたらそんなこと言い出した。


「あの人は嘘つきだ」


「ん?」


「いなくなった人のことを知ってるのに黙っている。なにか理由がありそう。雪見は、前見たあの人のこと警察に話して、いなくなったと言え」


そうすると、悠星さんは走ってどこかへ行ってしまった。置き去りにされたけど、警察に連絡してみた。ら、すぐに来てくれたけど…。なんか、思い出してちょっと嫌だなぁ。


「公園でなにしてたんですか?」


確かに、夕方以降訪れる場所ではない。


「筋トレなんです…あそこのお寺のものです」


「あぁ。修行とかですか?」


「はい」


「それで?ホームレスが忽然と消えたというのはどの辺ですか?」


「あのベンチです。いつもあのベンチで寝てました」


「それで、なぜ疑問だと?」


「あそこにいた人が、警察に注意を受けたのかもって言ってて。それでいなくなったのならいいんですけど…心配なので」


「あの方?すみません警察ですが」


草むらに分け入って行ったので俺も続く。


「は?坊主なにしてんだ、まだいたのか」


俺は坊主じゃないけど、一括りにされた。


「こちらの方は、ホームレスのもう1人いた方の行方を探してるそうです。気になるようで」


「この坊主が知るわけないだろ」


「念のため、テントを見せてください」


「ふん。人を隠せるようなもんじゃない。屋根くらいしかないぞ、見てみろ」


ほんとにぼろい。警察の人が中に続くので、俺も勝手に続く。


ん?


背後に気配を感じる。振り返るといない。

でも、なにか。感じる…

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