第40話

「どのあたり?」


夜の公園は静かだ。俺らしかいないんじゃないか?昼間は賑やかなのにな。


「このへんで、部活動の生徒とすれ違ったときに」


「なにもない」


「なにも見えませんよね」


「…どこか、別のところかも。範囲を広げよう」


「草むらも見たほうがいいですか?…あ、誰かいます」


茂みの奥に、人がいた。座って何か食べてる?その先は川がある。隼人の布団を燃やしたり流した川。


「あれは人だ。ホームレスでこの辺に住んでいるんだろうな」


たしかに住みやすそうだけど。布団の灰を流したけど。


「あの、すみません。そこの寺のものですが」


夜の悠星さんは積極的に話しかけに行った。


「坊主がなんの用だ」


喧嘩腰のおじいさんだ。とりあえず、悠星さんの後ろについている。


「他にどなたか、この辺に住んでいますか?」


「もう1人いたが、いつのまにか出て行ったかもな?警察に注意を受けたのかもしれねぇ」


それってこの間の人のこと?ベンチで寝てたし。


「あなたは、ここで暮らして長いですか?」


「いや最近だ」


「では、助けてという声を聞いたことはありますか?」


「…ないな」


「そうですか。ありがとうございました」


悠星さんはさっさと立ち去るから、俺もついていく。

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