第31話

「払ったでしょ?」


「あー、でもお金もらってませんよ?」


「そういうのじゃない」


「へえ。それ、俺は頑張らないといけないんですか?」


「いや?依頼されたりとか、あとは事前に気づいたら払う感じかな。雪見は早く気がつくよな」


「夢なんですけど。もし、俺が気がつかないふりをしてたら、そのままのことが本当に起こりますか?」


「…おそらく?」


「じゃあ、親が息子なんて最初からいないって言ったり、姉が変な風俗で働くのは本当になってますか?」


「雪見の夢は、完全に一致してる?」


「…いや。少し違います」


「じゃあ、少しは違うけどあながち間違ってないかもな」


「そんな!じゃあ…俺は地元に二度と帰れない…。姉は本当に風俗で働いてますか?」


「俺に聞くな」


そんな。もしかして、ずっと知らせるために夢に見ていたのか?…どうしよう…もしそうなら雪乃ゆきのはまだ風俗で働いてることに。


「助けないと!」


「どうやって」


どうやって?どうやって…


「なんだ、真剣にしないとだめだろう」


「あ!住職あの、夢で姉が風俗で働かせられてて。それ、本当なのかわからなくて、どうしたらいいですか?」


部屋に入ってきた住職は、考え込む。


「よし、行ってみよう。仕事は休みなさい」


また欠勤である。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る