住職の秘密

第29話

「朝帰りの雪見くん。どうだった?」


昨日、親父と一緒にキャバクラへ行って、いつも帰ってくる時間に帰ってこなかった。ということは、なにか起きたんだ。


「できました、払いました」


「なかなかやるなぁ」


「疲れたから寝ます」


雪見は、ふらふらしながら自室へ。

その辺にいた親父をつかまえる。


「親父、あいつ1人でやったのか?」


「あぁ」


「夢通り?」


「少し違うが、そうだな」


なんてやつだ。


「対象の彼は、目を離したらいなくなっていた。だから、雪見は彼の家にまっすぐ走った。家にあった布団が原因だ」


「なるほど」


「雪見のことを信頼していた。だから抵抗も少なかった。彼を一緒にもらってやってもいいが、組に入っていてね」


「…えー」


そんなの持って帰ろうとするなよ。


「面倒見てくれる人はいる」


「そう」


「雪見はな、一緒に捕まってよかったと言っていたぞ?」


「はー?そりゃねーわ」


「彼らの世界を広げてあげたいものだ」


「まぁなぁ」


狭い世界に閉じ込められて、息を潜めて、力を隠していたから。

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