第27話

このボロボロの家は俺のようだ。俺はみじめで、なにもない。人にバカにされても言い返せない。


雪見はすごいな。あの生きる力が俺にはない。苦しくて、もう前を向ける気がしない。

布団にくるまっていると、辛さが増幅する。

もう、疲れた。

手軽に死ねるもの…包丁とかあったかな。

あーキッチンはここにはないから、ない。

そうだ、職場ならある。


ドアを開けて出かけようとした。

すると、雪見がいた。またあのジンベエみたいなやつ着てる。


「どけ!」


雪見に力強くおしのけられた。そして、布団を持ち上げて、外へ出て行く。


…は?


「おい、それ俺のなんだけど!」


ダッシュする雪見。聞こえてるくせに無視してる。結構走って、川に着いた。すると、ライターをかざして、布団に火をつけようとする。


「なにしてんだよ!あぶねーだろ!」


少し距離はあるけど叫んだ。どうやら火はまだつかなかったようだ。


「来るな」


それは力強い声だった。とても近寄れなくて。そして、雪見はなにか言ってる。わからない言葉。両手をなんか組んだりしてる。あれは雪見なのか?

う、頭が痛い…


「隼人に戻って」


なんだそれは?めまいがする。

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