第26話

「しょうがねーな。店の近くで売ってたぞ?」


ぱっと隼人はバックルームへ消えた。なに?


「でもこれ女子高生なの?若そうに見えないけど。雪見はこういうの好き?チラリズムみたいなー?」


「いや…」


隼人は写真が欲しいわけじゃない。

客には写真はいらないと言い、そのまま仕事に戻る。相変わらず罵られるけど、いつものように隼人が謝りに来ない。どこ行ったんだろ?




走って、彼女を探す。

いない、どこにいる?


「これ君なの?」

「いくらだ?」


あれは…


「おい!そこでなにしてんだよ」


「は?誰あんた」


素っ気なく言われた。


「なんだクソガキ」


知らない男たちもいる。


「…隼人だよ」


「は?まじで誰〜?知らない」


う、そ…だ。

なんのために、彼女のために捕まった?全てが意味がない。


気がついたら逃げ出していた。家まで走って帰った。彼女と確かに付き合ってた。一緒に散歩して話して、遊ぶお金を稼いだ。


でも、俺のことなんて覚えてない。彼女にとって俺は、金を稼ぐどうでもいいやつ。その証拠に、通帳の金は全てなくなっていた。

わかってたのに。

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