寺の息子になってみた

第23話

「え、天野様？」

「隼人、今日は俺がなんでもする」

なんか変な服着てる。ジンベエってやつ？

「は？なに？意味わかんねーよ」

「いいから！着替えてから掃除してくるよ」

なんなんだ？天野様はどうして雪見とここに？

「君は清掃の仕事をしたことがあるかい？いつも綺麗にフロアを掃除しているね」

「はい。もともと掃除の仕事してました」

お得意様のお坊さん。めんどくせ。

「そうか」

天野様は出て行った。なんだったんだ？

よくわからない人だ。

わけのわからないことを言う雪見だが、俺のことを思ってやってるんだろうし、しょうがない。

「あ、兄貴」

不意打ちで来るからまじ困る。

「よ。仕事は慣れたか？」

「あの、天野様がさっき来てましたけど、なんなんすか？」

「さぁ？あいつが外にいたけど話してたぞ？」

「はぁ」

雪見と住んでるのにどういうことだよ。

「それより、お前と前付き合ってた女が見つかった」

「はぁ」

それは忘れたい過去だ。

「最近、うちを荒らしてるらしいぞ」

「…いや、そんなことするわけねぇっすよ」

「お前まだわからないのか？利用されてたんだよ。お前を通して金儲けして、お前だけ捕まって、理不尽だろ。その女捕まえるからな」

「ま、待ってください。俺の知り合いの子じゃないかもしれねぇし」

「さぁ、捕まえたらわかるな」

「いや…違う…」

「隼人、仕事しろよ。じゃあな」

彼女はそんな人じゃない。