雪見の力

第22話

俺は瞑想は得意かもしれない。基本なにも考えてないし。


しかし、雪見はまだはじめたばかり。練習はしてるけど、タイマー鳴ってすぐにできませんでした!と言ってくる。もっと集中しろよと言っても無理ですとあっさりと言う。が、今日は違う。終わってるのに反応しない。うめいている。


「やめろ!」


雪見の様子がおかしい。なんだ?親父が無理矢理叩いて起こしたようだ。寝てたのか?汗だくになっていた。


「雪見、なにを見た?」


親父が構ってる。いつでも夢を見るようになったのか?


「…は、隼人が!死のうとしました…」


誰だ?


「それは、どこで」


「店です。家に最初いたんですけど、寝てるだけで。それから店に…」


「行ってみようか」


「まだ誰もいないし、鍵も開いてないです。鍵は隼人が持ってるので…それに今の時間寝てます」


「それなら、雪見の仕事の時間に私も行こう」


「お願いします」


「少し休みなさい」


「…はい」


雪見はふらふらと出て行った。


「隼人って誰」


「今の職場で一緒に働いている友達だ。刑務所仲間だ。彼もどうやら騙されて逮捕されたようだ」


「なんで死ぬとか」


「なにか、きっかけがあったのかもしれない。過去の話は、雪見にはしていないんだろうな」


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