寺の修行

第16話

仕事が夜中まであるから、朝起きるのは10時とかになってしまう。養子だからなのか、他のお坊さんたちは寛容にしてくれてるけど…。でも、息子の悠星ゆうせいさんは厳しい。最初は雪見ゆきみくんって言ってたのに…


「おい、お前何時だと思ってんだよ!」


お前呼びが多い。住職からは、雪見って呼ばれる。


「すみません…」


どうしても寝足りなくなる。それは夢を最近は毎日見るから。いつもたいてい同じ夢。何かに襲われる夢。


「なんか、顔色悪いな。お前寝てるのか?」


「…夢を、見るんです。ここ最近…」


「…親父に話そう」


悠星さんは真顔になった。そして、どこか連れて行かれた。


「こいつ夢を見るらしい」


なんだ、住職の部屋か。


「あぁ、そうだった。なんだ、毎日見るのか?」


「今まで、そうじゃなかったんです…でも最近ずっと、なにかに襲われています」


「場所は?」


「…でも夢です」


「雪見、どんな情報でも私に話してごらん」


住職、さすが優しい。


「この近くの公園のベンチです。暗闇の中に、俺ではないんですけど、誰かがなにかに襲われるんです。なにもできないんです…」


「なるほど。今夜行ってみよう」


「え?俺は仕事なんですが…」


「休みなさい」


え、そんな簡単に?


「寺の仕事を夜手伝えって言われたから、今日出勤できないんだけど」


「…天野様が言ったんならしょうがねー。俺が兄貴に言っておく」


「隼人、助かる」


住職、キャバクラでお金落としてくれてるなら、俺の借金も返せそうなのになぁ。

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