寺の息子

第13話

「誰だよその子」


親父の部屋に行くと、知らない若者がいた。


「この子を養子にすることにした」


「は?」


夢路雪見ゆめじゆきみです」


誰なんだよ。


悠星ゆうせい、兄弟になるから仲良くしなさい。いろいろ教える予定だからな」


は?


「よろしくお願いします」


嘘はついてない、けど?…なんで?

能力のあるやつ連れてこいって言われてたけどずっと見つからなかった。親父、どこで見つけたんだ?


そしていつのまにか親父はいねーし。


「あー、天野悠星あまのゆうせいです。息子です」


「…あの、俺なにかするんですか?」


「え」


「養子にしてくれるから来たんですけど…いろいろ教える?って?」


「話はしてない?」


「養子…にしてくれるって」


「なんで、養子になりたい?」


「親から勘当されました」


「ふーん、そうなんだ」


施設の子か?


「実は刑務所にいて。それから、キャバクラのボーイをしてて」


難儀なやつだ。


「どんな罪?」


「友達に、借金の保証人にされて、それで怖い人から追いかけられてこっちに逃げてたんですけど、仕事探してたら悪い人に捕まったみたいで…悪い仕事して捕まりました」


「騙されたのか」


「はい」


「親父にも騙されてる」


「え…逮捕されます?」


「いや、そうじゃない」

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