第12話

慌てて荷物まとめて、着替えてからタクシーに乗り込む。


どうやらわりかし近くの寺だった。

これやっぱり夢の寺と同じ。


「雪見くんは、ここに来たことがあるのかな?」


「いえ」


「知ってそうな顔をしていたね」


「いえ、夢で」


あー。しまった。


「なるほど。今日は寝なさい」


は?わからないけど、タクシーを降りて部屋に案内され、そのまま寝ろと言われた。


翌日目が覚めて、寺をうろうろしていた。本当に夢の寺と同じだ。


「やぁ、雪見くん。おはよう」


「あ、天野様…。おはようございます…」


「住職と呼んでくれ。もうすぐ昼になるなぁ。風呂はそっちにあるから好きに使いなさい。着替えも置いてある」


至れり尽くせりだ。着替えの服は、甚平みたいなやつだ。風呂入ってうろうろしていたら、住職がまたいた。


「私の部屋で飯でも食べよう」


「ありがとうございます」


そのご飯は質素に見えるのに、なんか豪華。


「刑務所よりはいいかい?」


「…え」


ばらされてる!いやそんな暇ないよな。


「気にせず食べなさい」


わかんねー

お坊さんはそういうの調べちゃうのか?

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