第10話

「君は女は好きかい?」


「え、うーん…よくわかりません」


「彼女は?」


「いないです」


「その靴はいつから履いてる?」


「えっと、昨日もらいました」


「ほこりがついているね。これで拭いてあげよう」


お坊さんに、しゃがませておしぼりでお客様に靴磨きさせてしまっ…


「雪見なにやってんだよ!」


ぎゃー隼人にやっぱり見つかった!しまった…


「あ、あの…すみません、ありがとうございました、もういいですよ」


すっと足を引っ込めたらすぐに隼人と一緒に頭を下げる。


「申し訳ありません!」


「君はなにもしていないよ。顔を上げなさい」


顔を上げたらまた見つめられた。もう立ち上がってる。足腰強いおじさんだな。


「名前は、夢路雪見ゆめじゆきみか。親に捨てられたなら、私の養子にならないか?」


「養子?」


「え、天野様…?雪見、お前名前言った?」


「いや…」


言ってないのに。ネームとかないのに。


「私の息子になってくれたら助かる。寺に住まないか?」


そ、そんな。夢に出てきたあの寺?

いや…でも恐ろしいことに…


「なに、心配することない。私が怖いものは払う。雪見くん。今の家はどんなところかな?」


それは…狭い部屋で、隼人と2人寝るので精一杯な部屋。なんて言ってもなぁ。


「寺は広くて、飯もゆっくり食べさせてやる。今日からでも来ないか?」


「え、そんな…いいんですか?」


って言ったのに。なんか無視された。隼人を見てる。


「じゃあそういうことで。私が帰るときに一緒に寺に行こう」


寺に行く流れに?

隼人はそのままどこかへすーっといなくなるった。話した?

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