オラスト地方に着きました
オラスト地方は、メイナード地方から一番近い位置にある島であり、この二つの地方はよく行き来することが多いのだが、最近は何故かオラスト地方に強いモンスターが現れたということで、私達以外の冒険者も参加しているという。
オラスト地方は火山が多くある島というのもあり、周りは山で囲まれているようで、年に一度の炎の神様を讃えるというお祭りがあるらしいけど、残念ながら今回は遊びに来たわけでもない。そもそも季節外れだ。
「はぁ、やっとオラスト地方に到着した……ようだね…」
正直船に乗ったのは初めてというのもあり、少し船酔いで気分が優れないけど、これからの事を考えると慣れないと行けないな。
「それにしても……カルーシャとアイシャはよく船酔いしなかったね」
「私とアイシャはこう見えて、慣れてるから大丈夫なのよね」
「ライカ様もしかして初めて乗られた感じですかね、顔色が悪いようですし、少し休まれてから行きますか?」
「いや、船酔いぐらいで休んでいたら、この先やっていけないから大丈夫だよ」
私がそう言うと、カルーシャはその通りだと頷く。
ステータスが例えチートレベルで高いとは言っても、流石に船酔いは関係無いんだなぁ……
なんか、そういう耐性が出来るみたいな魔法とか無いのかな。
「おや、そこの冒険者さん大丈夫ですか?」
旅人の服で、杖を持った青髪の青年ぐらいの冒険者が私を心配した声で話しかけてくれていた。
「うぅ……」
「実は今船酔いで、休ませているのよ」
「そうだったんですか、確かにこの辺の海は波がとても激しいですからね」
正直舐めていたというのもある。船に乗ったことは今まで無かったし、よし行けるだろうって思って行くのが間違いだった。
そんな時、一人の男冒険者がここオラスト地方の港の建物の中で大声を上げていた。
「「お、お前らモンスターがやって来たぞ!」」
その声を聞いた人達は、一斉に色々と動き出していた。冒険者では無い人達は慌てて、隠れたりするような行動をし、周りにいた冒険者は武器を構えながら、その男のもとに向かって行った。
「それでモンスターの数とかは分かるか?」
図体が大きい斧を持った冒険者の
「数は分からねぇが、きっと何十体はいるはずだ」
その男は、冒険者と言っても
私はゆっくりと立ち上がり、それに気づいたアイシャが心配そうに私に声をかけました。
「もう大丈夫ですか?」
「何とかね」
「こうなったら、私達も行くわよ!」
「僕も着いていきます」
心配してくれていた青髪の青年も行く気のようだが、彼の実力がどれぐらいの強さなのか分からない。
「来てくれるのはありがたいけど、あなたってなんて名前なの?ちなみに私はライカ・ウォルデムで、この隣にいるのが」
「どうもアイシャと言います」
「そして私の名前はカルーシャよ」
「私の名前はユクリットと言います。これでもDランク魔法使いです」
Dランク冒険者という事は、アイシャもカルーシャもDランク冒険者というのもあるからとても心強い。
♢
空は曇っており、今にも雨が降りそうな中。
周りは山に囲まれており、奥からコボルトやハーピー等の群れがこちらの方に向かってきており、色々な冒険者達が、武器を構え、魔法使いなどは放つ準備などをしていた。
その時私はふと思ったことがある。それは遠くからの位置から弓矢を撃つことはできないのかということ。
「ちなみにアイシャ、ここからの位置で弓矢を放つことって出来ないの?」
「残念ですがここからの位置だと、遠すぎて、届いたとしても攻撃は当たらないと思います」
距離は約1.2kmぐらいの距離だが、弓矢を使う
でも、遠くの敵に攻撃を当てられる方法を私は思い浮かんだ。
それはまだ私が冒険者ではなく、メイナード王国に向かっていた時の事、馬車に乗って移動中に遠くにいるスライムを探す為にスキルのような物を使用した感覚が今にも残っている。あれを利用すればアイシャでも攻撃が届くかもしれない。
「皆、私が言う通りに従って欲しい」
「分かりました」
「分かったわ」
「畏まりました」
カルーシャ達は頷いてくれた。
ドタドタ! ドタドタ!バタバタ! バタバタ!
コボルトやハーピーが少しずつこちらに向かって来ている。その距離は1kmぐらいだ。
♢視覚スキルが使用されました
私はアイシャ達に視覚スキルを一定時間付与させた。
「す、凄すぎます。こんなに遠くなのに奥の敵までハッキリ見えていますよ、これなら行けます!」
「相変わらずライカって凄いわね」
「こんなスキル、Dランク冒険者が使用するなんて聞いた事が無いですよ」
やはり視覚スキルは遠距離系の職業とは合っているようだが、Dランク冒険者は普通こんなスキル覚えたりしないのか……
「アイシャここから的確に相手に向かって打つことが出来るスキルとかないの?」
「一応あることはあるんですよ」
「じゃあ、それを使えば」
「使うのは良いんですが魔力の消費が激しいんです。その名も『マジックアロー』と言います」
『マジックアロー』よくゲームとか小説の序盤ですぐ覚えるマジックアローがそんなにも消費が激しいのだろうか。
「『マジックアロー』ってそんなにも禁断の技みたいに魔力の消費が激しいの?」
「禁断の技と言うほどでは無く、ただ単に今の私の魔力源が少ないというのもあり、そんなに長くは使用出来ないという点ですね」
なるほど察した。
「『マジックアロー』と言うのは、魔力を使用して矢を作りそれを弓で放つ技こそがマジックアロー、普通の矢と違って正確に放てる点がとても良いところでもあります」
「まぁ、それでも構わないから出来るだけ頑張って」
アイシャは頷く。
ドスドス! ドスドス! バタバタ! バタバタ!
コボルトやハーピー達が段々と近くまで迫って来ていた。その距離は80mと言った所か。
他の冒険者数人が遂にモンスターの方に向かって走っていく。
どかどか! どかどか!
この戦いで一番の問題が、地面しか動けないコボルト達なら問題ないのだけど、問題が空を飛んでいるハーピー達だろう。例え魔法を放ったとしても簡単に避けられるだろうし、風魔法を使ったとしても範囲外では意味が無い。
でも、私たちには弓使いのアイシャがいるから安心だ。
「アイシャ出来れば先に下のコボルトよりも空に飛んでいるハーピーを攻撃して」
「分かりました」
「カルーシャとユクリットさんは魔法の準備を整えつつ、下にいるコボルトに攻撃を与えて欲しい」
「分かりました」
「分かったわ」
アイシャは視覚スキルでハーピーが飛んでいる場所に向かって弓を構えると、アイシャから溢れる青い光が矢となって、弓矢を構えながら、ハーピー複数体が重なった所を目掛けて放った。
ビュッ!
「グワァァァァァァッ!」
ハーピーの悲鳴と共に
ハーピーの何体かが今の一撃で倒したようだ。
正確に放てる『マジックアロー』って、思ってたよりもとても凄い。
その頃コボルト達は、他の冒険者によってどんどんと倒されたりしている。
キーン! ブシュッ! ブシュッ! バシュッ!
剣でどんどんとコボルト達を華麗に倒している冒険者は
ズドドドド! ドーン!
両腕から放つラッシュのような拳の攻撃の冒険者が
グサッ! グサッ! グサッ!
コボルト達の肩に乗り継ぎながら、後ろ辺りの首に攻撃をナイフで与えている冒険者が
「
仲間のサポートや傷ついた人々を回復させる冒険者
コボルト達は段々と数が減ってきているようだ。
ビュッ! ビュッ! ビュッ!
ハーピー達はいつの間にかアイシャの活躍で倒し終え、流石のアイシャも魔力切れで腰を下ろしてしまったようだ。
「流石に魔力の消費が激し過ぎました」
「でも、ナイスだったよ」
よし、後は魔法を打てばこの襲撃は終わるだろう。
私は一息吐いたあと、大声で戦っている冒険者に向かって言った。
『「【今からここにいる二人の魔法が放たれるから避難して!!!!】」』
私の大声によって、他の冒険者達はこちらの方に向き、察したかの様に急いでこちらの方に避難を始めた。
どかどか! どかどか!
流石のコボルト達も何が起きているのか分からず、こちらに向かって走って来ている!
ドスドス! ドスドス!
その頃ユクリットとカルーシャが声を合わせながら杖を構えつつ詠唱を唱えている。
「「炎の波で我々を狙う者を燃やし尽くしたまえ!『フレイムウェイヴ』」」
二人が持つ杖から放出される赤いオーラが交わり始め、コボルトの方に目掛けて炎の波となってコボルト達に目掛けて、簡単に焼かれていく。
正直もしこれを自分が食らったりしたら……いや想像するのはやめておこう。
周りはなんだか静まり返っていたが、数秒で冒険者の喜びの声で溢れ返った。
「ナイスじゃねぇか!」
「これで何とか襲撃は終わったのですね」
「お前らのおかげで助かった」
色々な冒険者達が私達にお礼を言ってくれているようだ。
それにしてもさっきのフレイムウェイヴという魔法はとてつもなく凄い威力だった。
私はカルーシャとユクリットにフレイムウェイヴの事について聞いてみる事にした。
「さっきの凄い威力の魔法凄かったけど、普段から出来る魔法だったの?」
「ライカそれって、もしかしてフレイムウェイヴの事かしら?」
私は頷いた。
「あれは、僕達みたいなDランク冒険者が一人で放てられるような代物では無いですよ」
「そうよ、あれは二人だからこそやれた魔法であって、一人であの魔法を使うのは相当な魔力を持った魔法使いじゃないと使えない代物よ!」
「そうなの……?」
・中級火魔法・フレイムウェイヴを覚えました
転生したら最強の冒険者になっていたのですが メイ @YukkuriMay
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