猫耳族のアイシャとカルーシャ


 昨日はシテツさん達のパーティに入って気づいた事は、私は今の状態だと放つ魔力を抑えられずに皆さんに迷惑をかけてしまう、こんな私のパーティに入ってくれる方なんているのだろうか……。


 私は昨日のように、ギルドにパーティ募集の貼り紙を貼って待機をしていると、周りにいる冒険者達が私の方を見ている気がする。ていうか見てる……。


 もしかしたら、昨日犯してしまったことが皆さんに知れ渡っているんじゃないかと不安になっていました。


 そんな時、私の所に1人の赤い瞳に赤い髪を結んだ、ローブ姿で杖を持った魔法使いが私の目の前に現れた。

 よくよく見てみると、頭の所に猫耳がついている。


「パーティ募集の貼り紙を見させて頂いたわ、いきなりで悪いけど、私と妹をあなたのパーティに入らせて頂けないかしら?」

「それはありがたいんですが……」

「何か問題でも?」


 問題と言うより気になる事がある。今この赤い猫耳の子は今、妹って言っていたけど、一体どこに妹の姿があるんだろうか……


「い、いえ。問題と言うよりも妹さんはどちらに……」

「はぁ……」


 赤い猫耳の女の子はため息を吐き、柱の方を向いて妹さんに話しかけている様子だ。


「アイシャ、そんなところに隠れてないでこちらに来なさい」

「は、はい……」


 柱の所から出てきた子は、妹の割には髪の色が違っていた。その子は瞳は赤で緑の帽子を被った。ロング髪の白髪な女の子。


 背はお姉さんと比べると少し低い。


 私がそんな事を考えていると、赤い猫耳のお姉さんが自己紹介をしました。


「私の名はカルーシャ、見ての通り魔法使いよ、そして妹の名前はアイシャ」

「あ、アイシャと言います。一応弓使いアーチャーをしています」


 お姉さんがカルーシャで妹さんがアイシャか……いい名前だな。おっと、私も自己紹介しなくちゃ。


「私の名前はライカ・ウォルデム、何の職にも入ってない普通の冒険者だよ」


 とは言っても、初めてギルドに来た時に専門職の話なんて一度もされなかったんだけどね……。


 きっと私みたいな最弱職なんかとは組めないとか、昨日の件が何故いろんな冒険者に知れ渡っているのかは、分からない、シテツさん達はとても優しい人達だったし、言うわけが無いけど、きっとその事も知っているんだろうな。


「そう、ならライカ・ウォルデムこれから宜しくね」

 

 カルーシャの口から意外な言葉が出た事に、私は少し驚いた。


「よろしくお願いします。それと一つ聞きたいのですが」

「何かしら?」

「なぜ、昨日問題を犯した私を選んだんですか?」

「まぁ、別に問題なんて気にしてないわ」

「それではなぜ……」

「私とアイシャはあなたをいや、ライカ・ウォルデムを待っていたのよ」


 私を待っていた……?

一体どういう事なんだろう。私みたいな転生いや、普通のチートレベルのステータスを待つ私を待っている理由が分からないけど。

 なぜ私を待っていたのか疑問を聞くと、さっきまで震えていたアイシャが私の方を見て言った。

「実は私たちの村は女神様のお言葉を信じていまして、花の女神タレイア様のお言葉により私達姉妹がライカ様と一緒に同行するようにと言われておりましたので。」


 花の女神タレイアと言ったら私が転生する前に出会った。幼い女神様だったよね。

 もしかしたらこの二人を通じたりしたら、女神タレイア様とお話出来るんじゃ……


 その時、私の悩んでいる顔を見ていたカルーシャが話し始めた。


「ちなみに女神の声は村でしか声を聞くことは出来ないのよ」


 な、なんか言う以前に否定されてしまったのだけど、まずどうして私が言いたかった事が分かったのかな……。


「ねぇ、どうして私が今女神様とお話をして見たいって分かったの?」

「それは簡単な話よ、女神タレイア様からのお言葉で、ライカ・ウォルデムがもし私と話をしたいと言ってきたら速攻拒否しなさいってね」

「な、なるほど」


 まさか、女神タレイア様は私がしたい行動や発言が丸わかりで分かるのか。

それにしてもさっきから一つ気になることがある。そう、アイシャの事だ。


「アイシャさんの事でさっきから気になっていたんだけど、さっきまで怯えていたのに急にすぐに、普通にこうやって喋ってるのかな」

「えっと、私元々は普通にいろんな人達と話せる性格なんですけど、ライカ様の噂を聞いていたらもしかしたら怖い人なのかもしれないと思い。柱の後ろで隠れていたんです」

「アイシャは昔からコミニュケーション能力は高いのだけれども、問題は怖がりなのよね」

「本当に申し訳ございません」


 アイシャは私に頭を下げて謝ってくれた。別にそこまで気にしてないんだけど、逆にそれほどこの子はとっても優しい子なんだなっと分かった。


「そんな事よりせっかく出会えたのだから、パーティ登録をちゃちゃっと終わらせるわよ」

「そうですね」


 私はカルーシャとアイシャと一緒にギルドのカウンターの前までやって来た。勿論私の前に現れたギルド員はもちろんこの方、そう、イリアさんです。

 イリアさんはいつものように元気に対応してくれた。


「ライカ様、今日もまた見慣れないお方々がいらっしゃいますね、という事はその方達が新たなパーティメンバーでございますか?」

「まぁ、そんな感じですね」

「それでは皆様の名前と冒険者カードを見せてくださいませ」


 正式なパーティになるためには、まず自分の名前と冒険者に取って大切な身分証明書となる冒険者カードを見せることによって、ギルド員の方がパーティ登録用の紙に書いてくれている。

 

「これであなた方は正式なパーティになりましたよ」


 パーティになると冒険者ギルドの空いた所に、仲間の名前が記載されるようになっている。どういう原理になってるのかは分からないけど……。


 アイシャは私の方を向いて軽く会釈をした。


「これから先何が待っているのか分からないですが、私たちならきっとこの先どんな困難があっても、乗り越えそうな気がします。改めてよろしくお願いしますライカ様」


 カルーシャも私に何か言いたそうだ。


「さぁこれから色々と忙しくなるわよ。武器や防具なども揃えないと行けないし」


 この言葉でそういえば、武器屋で頼んでいた武器はどうなったんだろうか。クエストを何か受ける前にドラトンさんの武器屋に行くのも良さそうだね……。

 それと一つ気になることが実はある。それはどうして私の昨日の噂が皆に知れ渡っているのかだ。


 私はイリアさんに聞くことにした。


「あの、一つお聞きしたいことがあるんですが」

「なんですか?」

「どうして私の昨日の事が皆さんに知れ渡っているんですか?」

「それは、えーっと」


 イリアさんはなぜか目を泳ぎながら話してくれました。


 昨日私がシテツさんと別れた後の後日談のようだ。

シテツさん達は夜宿屋に行かずにギルドで夜飯を食べている時のこの事だった。

 シテツはシュワシュワを四杯も飲んだ事により酔っ払っていた。


「なぁ、お前ら……げふ、とあるEランク冒険者を知っているか」

「とあるEランク冒険者?」

「とあるだけじゃ……分からねぇよ」


 ギルドにいた他の冒険者に聞こえるぐらい大きな声で喋っていたシテツは、他の冒険者たちも巻き込んで話していた。


「そのEランク冒険者の名はライカ・ウォルデムという姉ちゃんでな、今日ガーゴイル討伐の時に着いてきて貰ってたんだぜ」

「まさかお前がEランク冒険者を連れていくとはな」

「なんだ?使えなかったとでも言うのか?」


 シテツはまるで自慢そうに話す。


「いや、その逆なんだぜ……げふ……あのEランク冒険者の姉ちゃんはきっとこの先台風ハリケーンの目になるだろうな」

「まさかお前がそれほど言うなんてな」

「一体何をやったんだ?その冒険者は」

「おい、その話はやめとけ」

「別にいいじゃないか……逆にこれぐらい噂になるぐらい有名になれば、誰しもが分かる冒険者になるはずだ」


 ウリスとケニスも酔っ払いながら、話していた。

そしてシテツは今日起きた出来事や私ライカ・ウォルデムの話を沢山していた。

そして、昨日起きた出来事が皆に知れ渡ってしまったという。簡単に説明すると、酔っ払ったシテツさんがシュワシュワを飲んだことにより口が緩くなってしまい、言ってしまったということだ。

 いつかまたどこかで会うことがあれば、きっちりとお仕置をした方がいいだろう。

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