魔法の特訓
パーティを組んだ私達は、これから受けるクエストを探していた。私を含めカルーシャやアイシャは冒険者ランクはEランクの見習い冒険者の為、簡単なクエストしか受けることは出来ない。
でも、いくつか自分にあったランクのクエストをこなして行くと、
まるでゲームのような事が起きてるけど、よくよく考えて見れば、この世界に転生した時からだった。
「ライカこのクエストとかどうかしら?」
クエスト内容はこんな感じだ。
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オーク肉が現在不足してるため、メイナード付近にいるとされる
・挑戦可能なランク:Eランク以上
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・クリア報酬は金貨六枚
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冒険者ランクが低いというのもあり、低ランク冒険者では討伐クエストや受けられるクエストなどが少ないため厄介だ。一応パーティでランクが高い人がいれば低ランクでも、一つ上までのクエストなら受けることは可能なのだけど、残念ながら今のパーティ皆、Eランクというのもあり、受けることは不可能だ。
「確かにこのクエストならやりごたえはありそうです」
「でしょ。さすが私の妹ね!……ライカはどうかしら?」
確かに最近はずっと討伐クエストをする事が多かった事だし、納品系のクエストも悪くないかな。
「そうだね。今まで討伐クエストしか受けた事が無かったから慣れの為に、納品クエストをやるのも良さそうだね」
「それじゃあとっとと行くわよ!」
――メイナード王国付近にある森――
前にここに来た時は、サランさんとゴブリン討伐のクエストの際にオーガを追いかけた時以来になるが、この森には実はたくさんのオークが住んでおり、男性の冒険者はオスメス関係なしに襲われるといった事があるようだ。
正直転生した後も女性として生まれてこれてよかったって思っている。
「グオオオオオオオッ!」
私達三人は森を歩いてオーク探しをしていると、森に隠れていたオークが急に大声を出した。きっと仲間を呼んだんだろう。
私達三人はその場で立ち止まって自分たちが所有する武器を構えた。
「そう言えばライカ、魔法を上手く使いこなしてないんでしょ。ならここで練習してみたらどうかしら?」
「なら、今こちらに向かっているオーク達はライカ様におまかせ致します」
私が魔法を放ったりしたら、あの時みたいにまた皆に迷惑をかけてしまう。練習の時間を与えてもらえて嬉しいけど、今の状態ではきっと……
ライカが悩んでいる様子を見ていたカルーシャが優しく声をかけた。
「別に皆に迷惑をかけてしまうとか気にしなくても大丈夫よ。そもそも魔法なんて急にいきなり使ったとしても失敗するのが当たり前なんだから」
「お姉様の言う通りです。まずは練習をしながら上手く魔力の抑え方などやっていきましょう」
確かにカルーシャとアイシャの言う通り、確かにあの時は
私はカルーシャ達の方を向いて頷いた。
オーク達はどんどんとこちらの方に向かって来ているのを見て、カルーシャは一歩前に進んだ。
「それじゃあまずはお手本として私が魔法を出すわ」
「お姉様ここ森ですので間違えても火魔法は使わないでくださいね」
「言われなくても分かっているわよ」
カルーシャは右手を前に出しながら目を瞑り、私に聞こえるぐらいの音量で喋り始めた。
「まず魔法というのは、杖や手のひらから魔法を放つのが基本だけど、たまに剣から魔法を放つ人物もいる。あなたがこれからやってもらう事を私が最初にやってみせるわ」
アイシャは、右の手のひらに魔力を
『空気の塊を相手にぶつけたまえ!
空気の塊は直線にいるオーク二匹にダメージを与えられたようだが、1匹は倒したものの残り1匹はまだ生きていた。
「グオオオオオオオッ!」
オークはこちらに向かって走って来ていたその時……
ビュッ!
私の隣でカルーシャを見ていたアイシャが弓を構えてオークの頭に向かってヘッドショットした。
「今飛んだ矢はもしかしてアイシャが」
「逆にアイシャ以外に誰が今、弓を使えるのよ」
「確かに言われてみたらそうだね。ははは」
「はぁ……」
カルーシャはため息をついた。
「それにしても例え近距離でも、動いている敵の頭に矢を当てるなんて凄い|AIM力だね」
「え、エイム……力って何ですか?」
何ですかそれはみたいな感じの顔で私の方に向いた。
確かによくよく考えて見たらAIM力って、私がいた元の世界の言葉であってこの世界では言っても通用しないよね……。
「えぇっと、みんなに分りやすく言うとしたら照準を合わせるのがとても上手いって事だね」
「なるほど、ありがとうございます」
「それじゃあ次はライカ、あなたの番よ」
遂に私の番になった。やはり少し心配という気持ちもあるけど、カルーシャは結構性格的にケニアさんみたいな性格に似ているけど今回は正式なパーティだからね。
♢エアーシュートを覚えました
うろうろ。
私たちは倒したオークの肉を集めながらオーク達を探していると、十匹ぐらいのオークの群れを発見した。
「グオオオオオオオッ!」
ゴブリン達はこちらの存在に気がついたのか、一斉にこちらに襲い掛かってきた。
シュッ! シュッ! シュッ!
アイシャはこちらに向かって襲いかかろうとしている達を弓矢で数体のオークを討伐出来たようだ。
「出来るだけライカ様のためにもオークの数は
「分かったわ!とりあえず私の言う通りにやってみなさい」
私はカルーシャがやっていたように見様見真似で構えていると……
「右手だけを前に構えるのは、初心者のあなたではまだ無理よ。左手を右腕を掴んだ状態でやるのよ。こんな風に」
カルーシャはお手本ために本来やるべきポーズをしてもらい、私も言われた通りに構え、目を瞑りながら右手の手のひらに魔力を込めていた。
「あなたは普通の初心者と違って最初から魔力をたくさん持っているから調整をするのが慣れていないのは仕方ないわ、まずはその状態から自分が込めている手のひらにある魔力を感じるのよ」
私は言われた通りに魔力を感じる為に集中した。
確かに何だか右の手のひらに大量の魔力を注いでる感じがする。きっともしこの量の魔力を唱えたりしたら、あの時みたいないい加減な威力になってしまうんだろうな。
「魔力をたくさん注いでしまう原因の理由は簡単に言うと、集中のしすぎって事よ。軽く感じるのよ」
魔力と言うのは逆に集中して、自分が持つ魔力をたくさん注いでしまうと、例え初級魔法だろうが中級や上級魔法関係無しにとてつもない程の威力が発揮してしまうようだ。そんな簡単な事に気づかなかった私をカルーシャは分かりやすく教えてくれた。とても感謝でしかない。
そして、準備が整った。
シュッ! シュッ! シュッ!
アイシャの照準は今のところ百発百中で、オークをどんどんと数を減らしていく。
「そろそろ良さそうね、アイシャとりあえずその場から離れて」
「はい、お姉様」
「よし、ライカ今よ!」
私はカルーシャの合図と同時に詠唱を唱えた。
『空気の刃で範囲内の敵を斬り刻め!エアスラッシュ!』
私が唱えた風魔法エアスラッシュは、範囲内にいる敵を空気の刃で切り刻む魔法で、過去にシテツさん達と挑んでいる時に失敗した魔法。あの時のリベンジのつもりで、エアスラッシュを放った。
そのエアスラッシュは、あの時と比べていい加減な程の魔力は込めていないというのもあり、その場にいるオークを倒せるほどぐらいの魔力しか込めていない。これも全部カルーシャの指示のおかげだ。
「グオオオオオオオッ!」
オークは叫び声を上げながら息絶えたようだ。
「練習というのもあったからあんまり期待してなかったけど、こんな早く魔力の制御が出来るようになるなんて思ってもなかったわよ」
「えぇ、お姉様の言う通り魔力の制御って普通だと慣れるのに時間掛かるというのに……流石です」
「あれもこれも全てカルーシャの指示のもとやれた事だから、感謝しかないよ」
私がそう言うと、カルーシャは何やら照れていた。
「それじゃあ今倒したオークの肉を集めながら、残りのオークも倒していくわよ!」
「はい」
「そうですね!」
うろうろ。
それからと言うもの、制御コツを忘れないようにする為に、オークを見つけ次第魔力の制御をしながらオークをどんどん倒して行き、気がつけばクエスト内容に書かれていたオークの肉を少し多く集めてしまっていた。
「無我夢中でオークを倒しまくっていたら結構集まったね」
「でも、とりあえず今回の練習でライカは制御のやり方に慣れてきたようだし、この先も何とかやって行けるように気を抜いたらダメよ?」
「うん、そうだね」
「まぁ、とりあえずもう日が落ちようとしていますし、メイナード王国に戻るとしますか」
私達は森を離れ、メイナード王国のギルドに向かっていた。
――Quest clear――
ギルドに着き、イリアさんからクエストのクリア報酬として金貨六枚と少し多く集めたというのもあり、銀貨三枚を受け取ることが出来た。
・金貨六枚と銀貨三枚を手に入れた
「ありがとうございます」
私はお礼をして、カルーシャとアイシャが待っている席に向かおうとしたその時、イリアさんが私に話しかけた。
「ライカ様、あなたは馬車の馭者さんのクエストで撃破したゴブリンやメイナード付近の洞窟のガーゴイル討伐、そして今回のオークの肉集めのクエストをクリアする事が出来たことを称え、ライカ・ウォルデム様はこれからDランク冒険者として一人前になる事をここに認めます」
なんと私は、遂にEランク冒険者からDランク冒険者になる事が出来、カウンター近くにいた冒険者達は皆騒ぎ始めていた。
「おい、あの噂の冒険者が遂にDランクになったのか」
「Dランクおめでとう」
「一人前の冒険者として頑張れよ」
この大騒ぎの声はカルーシャ達の席まで聞こえていたらしく、カルーシャ達は私がDランクに上がったことをたくさん褒めてくれた。
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