初のクエスト


 武器屋の店主ドラトンさんに、私が討伐したドラゴンの素材を武器にしてくれるらしく、しかも費用などはサランさんに支払って頂ける事になりました。


 そんな私は、現在サランさんに初のクエストを受ける為に同行して頂ける事になり、王国から出て、東の方向にある村までやって来た私とサランさんは、馬車に乗って、王国まで護衛する事になった。


 初クエストの内容は、農家が育てた野菜などを運ぶ馬車が、ゴブリンによって妨害される事があり、討伐して欲しいという依頼のようだ。


 ガラガラ……ガラガラ


 ゴブリン達がなぜ野菜などを運ぶ馬車を狙ってるのは、きっと野菜のはず、食料集めの為に野菜などを盗んでいるんだろうけど、せっかく農家さんが毎日毎日自分の子のように大事に育てて来た野菜達を盗むなんて、外道にも程がある。


「なぁ、ライカ、凄い怒りが感じるんだが、とりあえずゴブリンはいつどこから現れるか分からない。前から襲ってくる可能性もあれば、場合によっては横から襲撃される可能性も無くはない。冷静に対象しよう。」

「はい」


 ガタガタ……


 その頃ゴブリン達はいつも馬車がやってくる時間を把握しており、襲撃する準備をしている。その中でゴブリンのボスであるオーガが、野菜などを運ぶ馬車を襲撃させるように言ってるモンスターだ。


「それにしてもそろそろ襲撃をして良いぐらいなのに、何も起きないのは何故だ」


 ♢気配察知スキルが発動しました


 なんだろうこの感覚、何者かが馬車の周りに何体か潜んでる気がする。もしかしてこれが気配察知スキル……


「あの馭者さん、一旦馬車を止めて頂けませんか」

「ライカ、一体どうしたんだ?」

「何故か分からないけど、馬車の周りにたくさんの気配を感じる」

「ライカ、それって……」


 その頃、ゴブリン達は私達が乗っている馬車に火矢を放った。


 火矢は馬車に向かって放たれ、馬車から見て矢は約30cmぐらいの距離まで近づいていた。


「土よ、壁を作り、攻撃を防げ、土壁アースウォール


 サランさんが持つ土属性魔術によって、馬車の周りを四方向に土の壁で覆われ、火矢を何とか防ぐことが出来、壁は守った後すぐに消え去っていった。


「これが私が持つ土属性魔術、火矢なんて私の土壁にかかれば、痛くも痒くもない。ライカ、初のクエストの戦闘気合い入れて行くよ」

「はい」


 ゴブリンは木の後ろなど、馬車の周りを囲っている状態だけど、一応低ランク冒険者が受けられるクエストで、そもそも私自身のステータスが馬鹿みたいにチート能力なら、この辺にいる敵は楽勝に突破出来るはず……


 私は直線にいるゴブリンをバッサバッサっと一撃で切り伏せていく。


「やっぱりあの子、竜を倒したというのもあって、流石にこの辺の敵は楽勝か。私も負けては居られないね」


 いつの間にかサランの周りにはゴブリン達が囲んでいる状況だったが、サランは冷静に剣を抜いた。


「ゴブリン達よ。私に勝てると思っているの、申し訳ないが今ここでお前たちにやられるほどやわではない」


 ゴブリン達は一斉に遅いかかり始めた。



 周りにいるゴブリン達は、サランが使用した技、回転斬りによって討伐して行った。


 私はゴブリンを倒して、急いでサランさんの方に向かうと、サランさんはとっても真剣な表情で考えている様子だった。


「一体どうしたんですか?」

「ゴブリン達は群れで集まる習性があり、きっと近くにその群れのボスがいるはずなんだけど」


 私とサランさんは周りを見渡す限りだと、何もいないような気がするけど、本当にそんなボスなんているのだろうか。


「そういえばさっき聞こうと思っていたんだけど、あなたが持つ敵がどこにいるか分かるスキルって、もしかして気配察知スキルを使用したんじゃないかしら?」


 け、気配察知スキル……そう言えばさっきゴブリン達が居場所が分かった時に表示されていたっけ。


「はい、なんか気配で敵が赤く表示されていて、どこにゴブリン達がいるのか分かりました」

「なら、そのスキルでボスの居場所を探してくれないか?」


 私は言われるがままに、気配察知スキルを発動させた。


 ♢気配察知スキルを発動しました


とりあえずまわりにいるのは、馭者さんが馬車で待機してもらっていて、私の隣にはサランさんがいる。だとすれば……この先の森の中をどんどんと奥に行ってるおっきい気配がボスなのか。


「サランさんこの先の森の奥に大きなの気配を感じます」

「それがきっと、このゴブリン達のボスだろうね。急いで向かうとしよう」


 私とサランさんは、急いで気配を感じる方向に向かって、走って行く……森の中はとても暗く迷ったりしたらきっと、帰れなくなるんじゃって思うほどに。


「とうとう見つけたぞ」


 サランさんは剣を構えた。


 その相手こそ、あのゴブリンのボスオーガ……こんなにも大きい体格でよくこんな森の奥に避難しようとするなんて。


 オーガは慌てた様子だった。きっとゴブリン達を簡単に斬って行くのを見て、恐怖で逃げ出してしまったんだろう。

 でも、彼らはやっては行けないことを行ってしまっている。農家が育てた野菜を運んでいる馬車を狙い、農家さんが大事に育てた野菜を盗んでいく行為、ここで私が裁いてやる。


 私はドスドスっとゆっくりとオーガの方に歩いていくと、オーガは怯えた状態で左足を一歩後ろに下がった。


「やれやれ、ライカ、あのオーガの討伐はあなたに託すよ」

「はい」


 私はバスタードソードを抜き、思いっきりオーガに向かって走った


 ドタドタ……すたすた……


 オーガも持っていた棍棒を構えて、こちらに向かってくるライカに攻撃をしようと仕掛けていた。


 私はジャンプをし、剣を構えながらオーガの胴体に向かって斜めに斬った。


 ズサッ!


 オーガはそのまま気を失っていく。


「どうだ見たか、竜のなんか一撃で倒した私がオーガなんかに遅れを出来てたまるか!」


 パチパチパチ……


 サランさんの方から拍手の音が聞こえて来た。


「ナイスだったよ。これで初のクエストと戦闘をなんとか攻略する事が出来たな」

「は、はい!」


 私はとても喜んだ。


 ――Quest clear――


 メイナード王国に戻りギルドに向かい今回の結果の報告をしていた。

 ギルド員で初めて絡むようになったイリアさんにクエスト内容を満たしているか、結果を確認してもらっていた。


「初のクエスト任務お疲れ様でした。ライカ・ウォルデム様」

「いえ、今回はサランさんがいてくれたおかげでなんとか攻略する事が出来たんです」


 すると、サランさんは微笑んだ顔で私に言いました。


「今回は確かに、馬車に向かって火矢をもし命中したりしていたら、クエストは失敗だったと思うけど、あなたが持つ気配察知スキルのおかげで守る事が出来たし、ゴブリンやそのボスを倒したのはあなたのおかげなわけだから、今回はあなたの活躍で、このクエスト成功出来たわけだよ」

「は……はい」


 私はさめざめと涙を流した。


「それでは、今回のクエスト報酬の金貨四枚でございます」

「その金貨四枚は私はいらないので、サランさんが持っていて下さい」

「どうしてなんだ?」

「その金貨四枚は、剣の支払いをした分と同じ金額なので、全てサランさんにお渡し致します」

「そうか、なら貰っていくぞ」


 今回のクエスト報酬は流石に貰わなかったけど、異世界に召喚され旅に出て、馬車でこの王国に向かう最中に竜を簡単に倒した後に、サランさんに出会い、冒険者カード登録やドラトンさんの武器屋で、私が倒した竜の素材で作製される武器代を支払って頂いた上に、初のクエストまで付き合って頂いたし、今日はとても楽しい一日だったな。



 外はいつの間にか暗くなっており、私は最後にサランさんに宿の場所まで案内して貰っていた。


「今日はここで泊まると良いだろう」

「はい、今日は本当にありがとうございました」

「明日から私は、とあるクエストを受ける為に長くこの国に帰って来ないと思うが、ライカの実力ならきっとこの先もなんとか、やって行けるはず。私は信じているから、冒険者として今よりももっともっと強くなるんだよ」

「はい!」


 こうして、私はサラン・クラウチャアと離れた。明日からは一人になってしまうけど、出来ればこの先一緒にいてくれる仲間を探そうと私は思っております。こんなにも冒険者として頑張りたいのもやる気があるのも全て、サランさんのおかげだ。


 私は宿の中に入り今日泊まる部屋を探すため、カウンターに向かっていたが、カウンターには誰もいなく、私は大きな声で呼んだ。


「すいません、泊まれそうな部屋ってありますか?」


 そうすると、カウンターの隣にある扉が開き女性の方が出てきた。


「あっ、申し訳ございません。とある事情でカウンターから離れておりました」


 カウンターの方に頭を下げられ、私は慌てて言った。


「い、いや大丈夫ですよ気にしてませんから、それよりも泊まれる部屋ってありませんかね?」

「はい、空いてますよ」


 良かった。もしこれで全部埋まっていたりしていたら、野宿しないと行けないと思ってしまっていたよ。


「それでは1泊代は、見たところ冒険者様のようですね。一応念の為に冒険者カードを見せて頂けませんか」

「はい!」


 私は冒険者カードを宿屋のカウンターの方に見せた。


「はい、ありがとうございました。半額で3銀貨になりますね。それにしてもレベル90なんて凄いですね」


 えっ、もしかして冒険者カードに、私のステータスの情報が乗っているの……


 私は動揺しながら言った。


「気にしないでください。金貨1枚支払います」

「は、はぁ……なんか私言ったら行けないことを言ってしまった気持ちになりました。申し訳ないです。」

「いや、別に……少しだけですが、慣れました。」

「ともあれ、銀貨7枚のお返しになりますね」


 残りの金額は、金貨3枚と銀貨7枚、元の世界で言うと約3万7千円ぐらいかな……


 その時宿屋のカウンターの方が大きな声で呼んだ。


「スミレ!!!!!!!」


 その声に反応したのか、階段の方から茶髪で丸みショート髪の幼い子供が現れました。


「スミレ、この冒険者様が泊まれる。空いた部屋までお連れしてあげてね」

「はーい!」


 とっても可愛い女の子だな、なんか今日色々あったから癒しになるな……


「それじゃあ、茶髪のショート髪のお姉さんついて来て!」

「私の名前は、ライカ・ウォルデムって言うの、ライカって呼んで」

「うん、分かった。ライカ姉ちゃん着いてきて!」


 お姉ちゃんって呼ばれるなんて思ってもなくて、とっても可愛い。


 私はスミレちゃんに連れて来てくれた部屋で一泊する事になりました。

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