武器屋のドワーフさんに会いました


 冒険者カードを手に入れた私、ライカ・ウォルデムはステータスを確認すると、それはそれは思っていた以上にステータスがチートでした。


「それで、ステータスは一体どうだったんだ?」


 サランさんは、私のステータスが気になるようだ。でも、ステータスに関しては、ギルド員のイリアさんと私だけの秘密だけだし、ここはあえて無視して行こう。


「ぼ、冒険者カードを手に入れた事だし、ここから次は何をやればいいでしょうか?」

「ステータスどうしても教えてくれないの?」

「ど、どうしてもです。早く次やる事を教えて下さい」

「ステータス気になるけど、仕方ないなぁ……」


 サランさんはムーとした顔をしたが、仕方無しに、私に冒険者として一番最初にやる事を教えてもらう事になりました。


まず最初に教えて貰ったことは、ギルドは構造的には、ギルドの出入口から見て、まっすぐ行くとカウンターがあり、カウンターでは、クエストの発注や逆にクエストを依頼する時、そしてモンスターから剥ぎ取った素材などを売る事によって、お金と交換する時に使われるらしい……


 そして右側にはクエストが貼られてある看板があり、受けたいクエストがあれば、カウンターのギルド員に発注してもらい、当たり前だけど、その紙に書かれた事をこなせばクエスト成功らしい。勿論クエストには最低限のレベルや冒険者ランクに合うものじゃないとクエストに受けることは不可能だ。


 左側には道具屋と防具屋があり、道具屋は回復薬など色々な物が売っており、防具屋は最低限の防具が売っているため、初心者の冒険者にはとてもオススメのようだ。


 冒険者ランクが最低限でもDランク冒険者ぐらいまでは使用する事が多そうだけど、私のレベル的に武器や防具が弱いとレベル的に追いついてないような気がする。


 ここに来る前に倒したドラゴンを倒してからというのも、あの武器屋のおばさんから貰った銅の剣がこんなにもボロボロになってしまっている。


「あら、その銅の剣ボロボロになってしまってるけど、この武器ではきっと壊れるのも時間の問題だね」

「はい、きっとあの竜と戦っていた時にこうなったんだと思います」

「なら、ちょうどこれから行く所で、オススメの武器屋があるから、そこに向かうとしましょうか」

「はい!」



 ギルドから少し歩いた、お城に続く橋の近くにある、ドワーフの武器屋……中に入ってみると色々な武器や防具などがたくさん置かれている。


「さぁ、何の武器が欲しい?」

「出来れば、この銅の剣みたいな感じの武器で、持ちやすい感じがあれば……」

「そうだな……」


 サランさんは、私のご希望にあった剣を探してくれている。とても優しくて、他の皆がサランさんの周りに集まる理由が分かる気がする。


「ライカ、この武器ならどう?持ちやすくて、軽いし攻撃もそこそこあるはずだから」


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 バスタードソード

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 攻撃力:28

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「バスタードソード攻撃力28、銅の剣と比べたら確かにとても強い……」

「ら、ライカ……まさか武器の性能を見る事が出来るの?」


 し、しまった。つい言葉で出してしまった。なんて言えば良いんだろうか……


「間違えない。武器の性能が分かるって事は、鑑定スキルを所持している事、でもおかしいな……本来スキルって試練クエストをクリアしてからやらないと、出来ないはずなんだけどな……」


 やばいやばい……なんとかこの状況を乗り越える方法は無いんだろうか。私はどうしようか考えていると、武器屋の奥から男の声が聞こえてきた。


「そこにいるのは、サランじゃねぇか」


 その男の姿は、普通の人間と比べて身長が低く、鼻がとても丸い。この人がここの武器屋のドワーフなのか


「ドラトンお久しぶり」

「お前こそ、見ない間に随分ずいぶんと偉くなったじゃねぇか、確かA級冒険者のサラン・クラウチャアだっけか?」

「いや〜、まぁ色々あったからね」

「あ、あの……」


 楽しく話してる所悪いんですけど、私だけ凄く置いてきぼりになってます。

 私が一言言うと、サランさんは申し訳なさそうに話した


「あぁ、悪い。この人はドラトンって言って、この武器屋の店主なんだ。」

「あぁ、よろしくな……」

「そしてドラトン、この子はライカ・ウォルデムさっき冒険者登録をしたばっかりの新人冒険者さ」

「そうか、宜しくな。ライカ」

「よろしくお願いします」


 このドラトンというドワーフは、この王国の中で一番の鍛冶職人で、多くの高ランク冒険者がこの武器屋を利用するほどの力の持ち主だ。


 もしかしたら、この人に私が倒したドラゴンの素材を渡したりすれば、良い装備を作ってくれるんじゃないかな……


「あの、すいません。ドラトンさん」

「ドラトンだけで構わないぞ、どうした?」

「この竜の素材で武器を作ることって出来ないですか?」

「この竜の素材でって、これもしかしてメイナード王国付近にあるとされる。マイアナ火山の主じゃないか、この素材を一体どこで……」


 ま、マイアナ火山……主……何の話かさっぱり分からないけど、私なんか余計な事を言ったんじゃ。

 

 私はこの竜の素材を手に入れた時の話をドラトンさんに話した。


「なるほどな、だが本来あの竜のレベルは噂によると冒険者ランクがせめてBランクぐらいないと攻略するのは難しいと言われているはずなんだが……まぁこの素材で、お前が持つ武器よりもめっちゃいい武器が出来ると思うから、楽しみに待ってろ」


 あの時は仕方なく竜を倒さないといけない状況だったけど、マイアナ火山の主である竜の素材で作られた武器って、どれほどの攻撃力があるんだろう。そして問題は私のレベルに追いついていける程の武器なのかどうか……てか、よくよく考えてみるとどれぐらい掛かるんだろうか。


「あの質問なんですが、費用ってどれぐらい掛かりますかね」

「うーん、そうだな、素材費はお前が取った物だからお金は取らないから、武器作製費用だけで言うと、金貨四枚といった所か?」


 き、金貨四枚って、冒険者カード作成時に一枚支払ってるから、丁度四枚支払ったりしたら、持ってるお金が全部無くなっちゃうじゃないか…今回ばかりは流石に……


 そんな事を考えていると、サランさんが私の肩をとんとんっと叩いた


「お金なら、今回ばかりは私が支払っておくから安心しな」

「そ、そんな……流石に申し訳ないですよ」

「実はあの時、緊急クエストの依頼が来た時、本来なら私が竜を倒す予定だったのだけど、君が竜を倒してくれたおかげで色々と助かっている。そして今日は君ライカの冒険者登録記念として私が支払っておくよ。」

「丁度四枚だな、ライカ……良い人と仲良くなれたな」


 サランさん、初対面で会ったばかりの私の為に色々教えて頂いて、これからの為にもありがたいです。


「そうだ。これから私と一緒に初のクエストを受けないか?勿論君にあったランクのクエストを受けるよ」

「行きたいところ山々なんですけど、問題の武器がこんな感じなので……」

「なら、さっきお前さんが見ていた。バスタードソードでも持っていけば良いだろう。」

「でも、お金が……」

「おまけとして入れとくから、気にするな」


 この世界に転生されてから、これからどうなるのかとても心配していたけど、こんなにも優しい人達に出会えてとても良かった。


 私はサランさんとクエストを受ける為、武器屋を後にして、ギルドに向かいました。

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