ステータスがおかしいんです


ドラゴンを倒し、剥ぎ取りなどをしていた。馭者さんに聞いた話だと、剥ぎ取った素材で武器や防具を作ったり、逆に売ったりすればお金になるという。


 竜の武器や防具って、今の装備と比べると遥かに強いだろうけど、問題はお金がそんなに無いから、まず作れるかどうかさえ分からない……


 仕方ないから今回の竜の素材は全部売って、金貨に変えて貰うとしようかな……


 私はそう考えていると、馭者さんが私に話かけて来た。


「ら、ライカさん、あの人ってA級冒険者のサラン・クラウチャア様じゃ……」

「え?」


 馭者さんが指を指している方を見ると、白馬に乗った金髪のロング髪で剣を所持した女性冒険者。


 A級の冒険者サラン・クラウチャア、初めて聞く名前だけど、後に今後関わる事があるというのは、また別の話。


「あなた方大丈夫だったか?」

「はい、とりあえずなんとか」

「それにしても緊急でギルドに竜討伐の緊急クエストが発動したからこちらに来たんだが、竜が倒されたようだが、一体誰が……」


「はい、私です」


 私は手を挙げた


「そうか君がって、見た感じ服装的には高ランクの冒険者では無いようだが、君は何ランク冒険者なの?」

「いや、まだ冒険者にはなってないですけど」

「冒険者でもないのに、あの竜を倒したって事かい……」

「はい……」

 

 そりゃ、今はまだ冒険者登録もしてないただの一般人の女の子が竜を倒しましたなんて、急に言われても理解出来ないのは当たり前ですよね……


「まぁいい、とりあえずこれから私があなた方をメイナード王国まで護衛致する。着いてきてくれ」


 私は馭者のおじさんが運転する馬車に乗りながら、サラン・クラウチャアに護衛して貰いながら、遂に王都メイナード王国に到着する事が出来た。


 王国の門には兵がおり、怪しいものかどうか検査をしているようだ。なるほど、この兵士たちのおかげでこの国はどこの国よりも栄えているのか……まぁ、他の国にはまだ一回も行ったことがないから、あまり他の国についてのことは言えない。


「それではライカさん、私はとりあえず村に戻るから、ライカさんの冒険者話、君の父上にも村長さん達と一緒に待ってるからね、じゃあ!」


 そっか、そう言えばメイナード王国まで行くために馬車に乗っていたんだった。


 私は馭者のおじさんに手を振りながら、感謝の気持ちを込めながら最後まで見送った。


「それじゃあ……確か君って冒険者登録まだして無いんでしょ。それじゃあ私が案内するから着いてきてって、君名前は?」

「私の名前はライカ・ウォルデムと申します」

「そう、なら私はこれからあなたの事をライカって呼ばせてもらうわ、あっ…私はサランって呼んでも構わないわよ」

「分かりました。サランさん」

「サランさん……まぁいいわ、宜しくね!」


 流石に先輩の冒険者様にタメ口は流石にヤバイと思うから、あえて敬語で行くとして、A級冒険者様とここで絡みがあれば、とてもとても心強い。


 そして私はこれからギルドに行って、冒険者として頑張らないと、てかギルドで私のステータスとかって見れるのかな。私がどれぐらいの実力があるのか、確認しなくちゃ


「おーいサラン、何ボーッとしているの?」

「あっ、すみません。考え事してました」



 私は冒険者サランさんにギルドまで道を案内して貰っていた。サランさんの周りに色々な人々や子供達……そして色んな冒険者達がサランさんの周りに寄ってくる。サランさんはA級冒険者というのあり、みんなから憧れの存在何だろうな。私もいつかこのサランさんのように、色々な人から尊敬されるほどの冒険者になれるのかな……



「ようこそ!ギルドへ」


 緑色のツインテール姿で、エルフのエプロン姿の女の子が私がギルドに入ったと同時に挨拶をしてくれた。


「って、あなた様はサラン・クラウチャア様じゃないですか、今回はど、どんなクエストを受けに来たんですかね??」


 そのエルフはとてもとても同様している様子だ。


「実は、この子が冒険者登録をしたいらしくて、私がここまで道案内したんだけど、今から登録でも出来そう?」

「はい、可能ですよ!それじゃあ……君名前はなんて言うの?」

「わ、私の名前はライカ・ウォルデムと言います。昔から冒険者になりたくて、幼い頃から戦いの練習をして、今日ここにやって参りました」


 勿論今私が言ったのは全部嘘です。元の世界で死んで、幼い女神様に召喚されて、冒険者になる事になりましたなんて言っても、話は通じないだろうから、あえて伏せてますけどね。


「勿論将来冒険者になりたくて来たって言ってたので、知ってると思いますが、冒険者というのはとてもとても危険な仕事ですよ。怪我や死亡をしたとしても、我々ギルドは責任を負いませんから、そこら辺は気をつけて下さいね。冒険者って舐めてると後で、酷い目に会いますから」

 

「そこら辺は大丈夫だと思われる。実はこの子……」


 や、やばい、この人、あの時の竜の事を言うとつもりだ。それを言われてしまったら色々面倒な事になってしまう……


「じ、実はこの子さっきの緊急クエストの……」

「わ、わわ……ちょっと、話はその辺で、早く冒険者登録してもらいたいな……ははは」

「な、なんだ?ライカの凄さを伝えようと……」

「い、いや別に凄さを伝えなくても大丈夫ですから!」

「そ、そうか」


 ギルド員のエルフは、何の話かこちらを見ているが、私はそっぽ向いた。


「ま、まぁ、とりあえず冒険者登録するのでこちらに着いて来て下さい」


 私はエルフ員に着いて行き、サランさんは、私の結果が分かるまで待ってもらう事にした。


 受付の所まで連れてこられ、緑髪のエルフ員は、冒険者登録する為に色々準備をしていた。数分ぐらい待っていると……遂にその時がやって来た。


「それでは、ライカ・ウォルデムさん、あなた様のステータスを先に確認させて頂きます、まずはこの石版に手を置いて貰って、魔力を少しだけ込めて下さい」

「わ、分かりました」


 私は、言われた通りに石版に手を置いて、魔力を込めると、石版からステータス表示の画面のような物が表示され始めた。ステータスの結果は……


━━━━━━━━━━━━━━━

 Lv.90

体 力♢899

攻撃力♢753

防御力♢980

魔 力♢965

素早さ♢886

知 力♢660

-----------------------------

魔法

-----------------------------

スキル

武器系技能ウェポンスキル

学術系スキル(人類語)

視覚強化

危機察知

身体強化

創作スキル

鑑定スキル

-----------------------------

特殊能力

ステータス強化

獲得経験値増加

━━━━━━━━━━━━━━━


「レベル90なんですね。って、レベル90!?」

「れ、レベル90って、これもしかしてこの石版自体、壊れてるんじゃ無いですかね」

「いいえ、確かにライカ・ウォルデム様の魔力をこの石版に込めて頂いたので、壊れているはずが無いのです。ちなみにお聞きしたいのですが、本当に冒険者登録をしに来たんですよね……このレベルだったら普通、冒険者ランクA級かB級って言ってもおかしくないようなレベルなんですけど……」


 そ、そんな事を言われても、私にもどうしてこんなにステータスが高いのか分からない、まさかあの時、幼い女神様に特典で、"この世界で生き抜く事ができる程"って言ったのが、特典としてこのステータスになったって事なのか?それじゃあ、もしかしてあの時も、ドラゴンを一撃で倒したのはまぐれではなく、私のこの力で倒したって事は、これがもし世間にバレたりしたら面倒な事に……


「あの、この事は絶対にサランさんや他の人達には絶対に言わないでください!」

「ど、どうしてですか?」

「どうしてもです!!」


 私は慌てて、エルフのギルド員に言った。


「まぁとりあえず、冒険者登録をさせて頂きました。こちらが証明の証、冒険者カードになります。こちらは基本的にギルドでクエストを受付ける時や仲間探しをする時に、このカードを使用する必要があります。そしてこのカードを一部の宿屋で見せると、半額で泊まることが可能ですよ」


 冒険者カードは、冒険者にとってとても重要なカードなんだ。無くさないようにしないとな、それに一部の宿屋は半額で泊まれるとか、いい話を聞いたな……


 冒険者カードを手に入れた


「色々教えて頂きありがとうございます」

「いえいえ、分からない事があればいつでも聞きに来てくださいね。それと、一応冒険者登録代金で金貨1枚になりますが、宜しいでしょうか?」


 金貨は一応、出発する前に、父から金貨5枚貰っていたから、余裕で買えるね。


 私は金貨を渡した。


「それでは冒険者ライカ様、冒険者生活頑張って下さいね」

「はい、それと最後に名前をずっと気になっていたんですけど」

「あっ、申し訳ないです。私の名前はイリアと申します。以後お見知りおきを」

「それじゃあ、冒険者登録した事をサランさんにも伝えてきます」


 私は遂に冒険者登録をする事が出来た。しかし、どうして"この世界で生き抜く事ができる程"って言ったにも関わらず、こんなにもチートのようなステータスになったのか、相変わらず不明だけど、ここから私の冒険の旅が始まるのだった。

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