第9話 再会
9.再会 × 本番
この世界では、人族はそれこそ多くない。でも、ギルドで冒険者を募り、それをケモノ族の側でも連帯し、協力してくれるのは、鬼を消滅させられるのは人族しかいないからだ。
ケモノ族は、人族と姿形は似るけれど、鬼族を消滅させることはできない。一部のエルフ族、ドワーフ族に、その力があるようだけれど、基本は人族がいないと鬼が退治できないのだ。鬼により被害を被るのは人族もケモノ族も変わりなく、だから協力する。冒険者としてパーティーを組む相手の募集をだすと、ケモノ族もそれに応じてくれる。
エルフのリダウは、鬼を退治できるみたいだけれど、彼の場合はあの身体にして、頷ける部分も多い。
問題は、サワラである。あの鬼はこれまで、いくつかの村を壊滅的被害に遭わせている。しかし、あくまで壊滅的……であって、壊滅させてはいない。
鬼は色々と害悪を生む。そう言われているけれど、彼女が時間を操作できるのであるのなら、もっと大胆なこともできそうだ。それこそ人類を滅ぼすなんて、容易いだろう。
なぜ、それをしない? 五年も生きていたのに……。
今日も冒険は順調だ。というより、出会う鬼が若すぎるのだ。
「私、強いんじゃない⁈」
「もっと倒すポ!」
初心者が自信をつけるには最適。でも、それがサワラが近くにいることで鬼が誕生していると知ったら、どう思うだろう?
「アンタたち、もっと強い鬼だっているんだから、浮かれるんじゃないわよ」
経験者のキキリはそう諫めるが、しかし罔極が続々と手に入るのは、やはり笑いが止まらないらしい。
ボクとしても、ちょっと頭を撫でてあげたり、おさわりするぐらいで昇天してくれるのだから、楽だと思っていた。相変わらず、キキリには童貞を疑われたままだけれど、ボクにとっては楽をしてお金を稼げるのだったら、昔と同じ。別に、本番なんてする必要はない。
ただ、そうもいっていられない事態が待っていた。
「あれ? みんな……」
周りの時間が遅くなっていく。これって……、そう、前も感じた。あのときと同じだ!
「また会ったね……」
サワラが近づいてきていた。
前回はボクが時間停止空間で動ける、とも思っておらず、不意に遭遇したという感じだったけれど、今回は明らかにボクがいる、と知って近づいてきた。
周りは時間が止まっているし、ボクだけで対処するしかない。
「サワラは、この時間停止の魔法をどうやっているの?」
「簡単だよ。光子は重力の影響をうけ、時間さえ遅れをとる」
「なるほど、局所的に重力場を形成している、というわけか……」
彼女は目を丸くする。
「へぇ~……。なるほど、あなたは女神により送りこまれた、転生者だったのね」
「どうして……?」
「重力場、なんて言葉をこの世界の人間がつかうわけ、ないじゃない」
確かにその通りだった。でも、女神の存在も知っている、なんて……?
「転生者の存在も、女神の存在も、キミたちは知っているのか?」
「質問が多いわね……」
不興を買った? しかし予想していた話の展開と、あまりにかけ離れ過ぎていて、頭の回転がついていかない。
しかも、サワラがずんずん歩いてボクに近づいてきた。戦っても勝てる見込みなんてない。近くにいるだけで、魔力によって気圧されるほどなのだ。そのまま足を止めず、ボクに体を寄せると、耳元でそっと囁いた。
「答えを聞きたかったら、私を満足させてみなさい」
驚いたけれど、こうなったらやるしかない。彼女は、見た目は幼女みたいだけれど口調は大人びているし、それに年齢的にはとんでもない……とされる。
ボクも覚悟を決めた。彼女のことを抱き寄せると、唇を重ねる。サワラの方から唇に吸い付いてきて、舌も絡ませてくる。
彼女を退治しようとした冒険者もいただろう。でも、彼女を満足させられなかったから、こうしてここにいる。経験が上がって、でも満足することができなくて、そうなったのだ。
その冒険者がどういう道をたどったか? 悪い想像も脳裏を過ぎる。でも、もうやるしかない。
直垂を脱がしていく。彼女は自ら脱ぐということはなく、まるでボクを試すように為すがまま、されるがままだ。
見た目通り、それほど大きくない胸が露わとなった。しかし、それは筋肉質の体ゆえかもしれない。華奢だけれど、締まった筋肉で全身が覆われていることが少しふれただけでも分かる。
ただの魔法使い、というわけでもなさそうだった。
全裸になった彼女は、幼いながらも腰つきは大人のそれだ。何となくバランスの悪さを感じるけれど、長生きをしないはずの鬼が長く生きると、こうして色々と問題もでてくるのかもしれない。
後ろから彼女の胸をにぎり、横を向いた彼女と口づけをかわす。ボクがこのやり方に慣れているのは、AV男優でも顔出し禁止だったボクが、女優を気持ちよくさせ、また体をきれいに映すために女優を前に、ボクが後ろにいることが当たり前だったからだ。
でも、名だたる女優たちを恍惚にさせてきたテクだ。下へ手を移すと、そこに湿り気を感じた。彼女の昂ぶりと、ボクの指使いを同期させる。そうすれば彼女の中でも感覚が研ぎ澄まされていく。ここでズレが生じると、女性の気持ちが萎えてしまうことも多い。
前世なら、ボクはここでお役御免。本番は男優に任せるところだ。
ナゼ、ボクが本番をしなかったか? 簡単なこと。ボクのあそこが、人のそれより小さかったからである。指使いは優秀、でもサイズが小さいので本番はムリ。元々、撮影助手として参加したこともあって無理強いはされなかったけれど、あそこの小さいAV男優なんて笑い話にもならない。だからパーツモデル。手が彼女たちを満足させる様を撮影するだけだった。
ボクが上手い、と称されたのは女性の気持ちが分かるから、なのだ。性器は男性のものだけれど、恐らく6:4ぐらいの割合で男性と女性の性がボクの中に混在している。だから小さい。体を形成する過程で、女性性が強く出て、そうなったと医師に言われたことがある。
でも、ここでは普通のサイズ……。というか、その普通のサイズとやらがよく分からないけれど、立派とはいえずとも、転生したことで人並みになった……はずだ。
トラウマだった本番……。
「いくよ」
「いいわよ。来なさい」
見た目は逆なので、そこは悩むところだけれど、まるで彼女にリードされるように、ボクは彼女の中へと進入した。
温かくも柔らかく、ボクに絡みついてきて、しっかりと握りこんでくる。指使いは上手いけれど、腰遣いはまだまだ素人。それでもサワラはボクに合わせて感応してくれた。
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