第9話

「うーん……」


 お風呂上がり。

 お母さんに「髪の毛はすぐ乾かしなさ~い!」なんて言われながら、ぼくは一人、うなっていた。


 図書室の件から三日。

 あの後は一生懸命また図書室を片づけて――後から来た茜くんも、惨状にびっくりしていた――ぼくはふせんのついていた本を借りたんだ。

 おそうじクラブのコーナーに置いてあった、『安全な封印の仕方』ってやつ。

 藍里さんに勉強した方がいいって言われたし。

 ふせんまでついてたから、やっぱりちょっと、気になっちゃったんだよね。

 だけど内容は、難しいというか、怪しいというか……。

 マンガ本くらいの厚さだから、割とすぐ読めはしたんだけど。

 これを先代のおそうじクラブの人たちも読んだのかな。

 実際にやってみたりしたのかな。


「水晶を使ったやつに……これは動物を利用したやつ……それから、ん……?」


 パラパラとめくっていた手を止める。

 なんか今、見たことのあるものが見えたような。

 何かの記号?

 星っぽい……あった。だいたい真ん中のページだ。

 その少し前のページにふせんが貼ってある。


「六芒星……だっけ」


 つぶやいて、あれ?

 引っかかる。

 少し前にも、どこかで見たような……。

 あれは、どこだったっけ。

 たしか学校の中で……。

 おそうじクラブに入ってからで……。


「あ!」


 そうだ。

 学校の柱に、同じ記号が書いてあった!

 たしかそれを、人面犬がなめてたんだ。

 そうだそうだ。思い出せたぞ。うん、すっきりした。

 ……でも、何で学校にそんなものが……?


「……もしかして……」


 思い浮かんだ考えに、ぼくは血の気が引いた気がした。

 まさか。

 いや、でも、もしかしたら……。

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