第2話 怪奇探偵団②

 「え〜と、柏木かしわぎ 千歳ちとせです。高校2年生で16歳──趣味はオカルトかな。よろしくお願いします」


 「ここにいる人はみんなオカルトきだと思うけど……」


 先程さきほど私にお茶をれてくれた女性がそうツッコんでくる。


 「そ、そうですね。あ、あはは……ハア」


 私が小さくため息をつくと今度は黒髪ロングの綺麗きれいな少女が話しかけてきた。


 「待ち合わせは9時だったはずだけど、あなたは5分前に来るということを知らないの?」


 「いやそれは、団長だんちょうから今朝けさ連絡れんらくが来たからで……」


 「私は昨日の昼頃に連絡がきたのだけれど」


 その言葉に他のメンバーたちもうなずいている。


 「……」


 団長、やってくれましたね!


 なんかさっきから1人だけいる男の人はずっと寝てるし、初めからやらかしちゃった感がすごい。


 …さて、私の紹介はこれで終わって、次はさっき私に話しかけてきた黒髪ロングの少女の番だ。


 彼女は一歩前に出たあとゆっくりと言葉を続ける。


 「私の名前は鈴ヶ嶺すずがみね 一花いちか。さっきの子と同じく高校2年の16歳よ。よろしく」


 彼女の堂々どうどうとした振る舞いに他のメンバーは圧巻あっかんされて黙っている。


 しかし、唯一それを無視して彼女にツッコんだ無表情(むひょうじょう)の少女がいた。


 「一花、趣味は?」


 「いきなり呼び捨ては失礼だと思うのだけれど……そうね、読書かしら」


 「……普通」


 その言葉に一花ちゃんの眉間みけんにしわがよる。

 

一花ちゃんに唯一突っかかった少女はそんな一花ちゃんを無視して話し始める。


 「私は物部もののべ かすみ。同じく高校2年、16歳。趣味は読書」


 少女は無表情のままそう言い終わる。


 さて、ここで早くも私たちメンバーの思いは一つになっただろう。


 "お前も読書かよ!"


 しかし、それを言うものは誰もいなかった。


 一花ちゃんがすごい形相ぎょうそうで霞ちゃんを睨んでいた気がするけど見なかったことにしよう。


 その空気をなんとかしようと前髪で目が半分隠れている黒髪少女が話し出す。


 「えーと……神崎かんざき 千景ちかげ。高校2年の16歳。趣味は……特にないです。以上です」


 そうおびえているようにおどおど話した彼女には逆に突っ込みづらい。


 というか高校生が3人もいるんだな〜


 私がそんなことを考えていると次は私ね、とお茶を淹れてくれた女性が話し始めようとした。


 しかしその時事務所のドアが開かれ、ある男が入ってきた。


 「団長!」


 「やあやあみんなそろってるかな?」


 入ってきた男、それはこの怪奇探偵団かいきたんていだんの団長である渡辺わたなべ 一郎いちろうだった。


 「いや〜遅れてごめんね。えっと、今どこまで進んでる?あずさちゃん。」


 「団長が遅いので先にお互いに自己紹介じこしょうかいしていたところです……ちなみに私の番は団長が来て邪魔じゃまされました」


 そう言いながら団長をキッとにらんでいる。


 「そ、そんなに怒らないでよ。ほら、みんな待ってるだろ?」


 そう言われると彼女は少し不機嫌ふきげんそうにしながらも再び自己紹介を始める。


 「私は小鳥遊たかなし あずさ。ここでは事務的な仕事を担当します。趣味は……私も読書です。」


 「あずにゃん、私と一緒……嬉しい」


 なんだろう。霞ちゃんは一花ちゃんに恨みでもあるのだろうか……


 それに今さりげなくすごいあだ名付けてなかった!?


 「……え、ええ。」


 梓さんも反応に困ってるし。


 「……それより次は孝太郎こうたろうの番ね」


 そう言いながらずっと寝ている男性の方を指差す。


「起きなさい、孝太郎」


「ンーン……ムニャムニャ」


 梓さんがその男性を起こそうとするが、なかなか起きない。


 「……しょうがないわね」


 梓さんがそう小さくつぶやいたかと思うとその男性の腹部ふくぶにミドルキックをくらわせた。


 ……よし、今後梓さんにはさからわないようにしよう!


 「グフッ」


 やがてにぶい音を立てた後、その男性は目を覚ました。


 「何するんですか、梓さん!」


 「あなたがなかなか起きないから……ほら、早く自己紹介」


 「急すぎません!?」


 「だから寝ていたのが悪いのよ」


 「ひどい……」


 そのやり取りの後、その男性は一呼吸置いて話し始めた。


 「俺の名前は坂本さかもと 孝太郎こうたろうでー趣味は……」


 「団長、全員終わりました」


 「梓さん!?」


 孝太郎さんは梓さんの方を見るが、睨み返されすぐに大人しくなった。


 「ま、まあ自己紹介が一段落ひとだんらくしたみたいだし、今回の仕事の内容について話そうか」

 

 今回はどんな怪奇現象かいきげんしょうなんだろう……


 「今回の調査対象ちょうさたいしょう、それは……コックリさんです!」

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怪奇探偵団へようこそ! シン @GaGe3132

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