1章 コックリさん編

第1話 怪奇探偵団①

 プルルルルルル


 私はけたたましい音と共に目を覚ました。


 あれ?今日は日曜日だったはずだけど……


 って、違う。これ目覚ましじゃなくて電話の音だ……


 チラリと時計を見ると午前6時を指していた。

 

 「う〜ん……こんな朝早くから誰?」


 私が携帯けいたいを見るとそこには渡辺わたなべ 一郎いちろうと書かれていた。


 「だ……団長だんちょう!?はい、もしもし」


 「あ、千歳ちとせちゃん?……元気にしてたかな?」


 「あ、はい。元気……です」


 「あ、そう?それにしては元気ないように聞こえるけど」


 それは朝からあなたのテンションに圧倒あっとうされたからですよ……とは言えない。


 「それより千歳ちゃん、今日も楽しい楽しい怪奇現象かいきげんしょうのお仕事を持ってきたよ〜てことで今日の朝9時に事務所じむしょに集合ね〜♡」


 「……」


 それだけ言うと団長は電話を切ってしまった。


 「9時……あと3時間!?事務所まではここから1時間以上かかるのに。時間ないって!」


 さて、私がこれから向かう場所は怪奇探偵団かいきたんていだん──その事務所だ。


 さて、怪奇探偵団とは私の所属している団体で、その名の通り怪奇現象を対象にさまざまな捜査そうさをしている。

 

 しかし怪奇探偵団のメンバーは私もよく知らない。


 その時の内容によって団長がメンバーを選んでいるらしい。


 そのため大体の人がこの仕事の他に本職ほんしょくの仕事を持っている。


 現に私だって高校生だ。


 まだ私以外の高校生の人は見た事ないけど今回のメンバーはどんな人達なんだろう?


 +++++++++


 8時58分、私はなんとか時間までに事務所に着くことができた。


 「もう他の人達来てるかな?」


 私が事務所の中に入ると案の定もう他のメンバーは全員そろっていた。


 団長を除いて……


 私はとりあえず空いている席へと座ると、黒髪の髪をひとつ結びにした女性がお茶をれてきてくれた。


 「あ、ありがとうございます」


 「気にしないで……仕事だから」


 私がその紅茶こうちゃを飲んで気持ちを落ち着かせていると約束の時間となった。


 しかし団長はやってこない。


 そのためそれぞれ自己紹介じこしょうかいしようということになったのだった。

 

 そこまでは良かったのだけど、最後に来たということで私が一番最初にすることになってしまった。


 はぁ、うまくできるかな……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る