怪奇探偵団へようこそ!

シン

0章 首なしライダー編

第1話 首なしライダー

  「ちょっと孝太郎こうたろうさん、もっとスピード出してください!」


 「孝太郎、もっとスピード出して」


 「うるせえ、もう全速力なんだよ!」


 私たちは薄暗うすぐらい夜の道路で一台のバイクを追いかけていた。


 「ったく、なんであいつは首がないくせにバイク運転できるんだよ」


 「それが首なしライダーなんですから仕方ないですよ!」


 「孝太郎、無駄口たたいてないで運転して」

 

 そう、私たちが今追いかけているのはあの首なしライダーだ。


 それはそうとかすみは孝太郎に厳しすぎやしないだろうか


 「ああもう、お前らうっせえな!お前ら座ってるだけで何もやってないくせに!」


 「頑張ってください孝太郎さん、もうすぐあずささんたちとの合流地点ごうりゅうちてんですよ!」


 しばらくして首なしライダーの動きが止まった。


 「梓さん!」


 私たちが前を見るとそこには首なしライダーの他にもう一台、首なしライダーを挟むように3人乗りのバイクがいた。


 「いや、なんで3人乗りで普通に運転してんだよ」

 

 「どうせ団長だんちょうがまた警察に根回ねまわししてるんですよ」


 「いや、そういう問題なのか?」


 「孝太郎、しずかにして」


 「いやひどくね!?」


 「霞、孝太郎さんをいじめるのはそこらへんにして私たちも仕事するよ!」


 「ん、わかった」


 そう言って私たちは車から降りる。


 それと同時にむこうのバイクからも二人の少女が降りてきて、そのうちの1人が話し出した。


 「ねぇ、教えてくれる?あなたは本当にあの首なしライダーなの?」


 「……」


 しかし、首なしライダーはなにも答えない。


 「ああ、そう。だまってるのね。それじゃあ実力行使じつりょくこうしさせてもらうけどいいわよね?」


 それは少々気が早い気もするのだがしょうがない。


 私も早くこの仕事を終わらせて帰りたいし。


 しかし、そんなことを言われて首なしライダーも黙っているはずがない。


 なにやら黒い影を徐々に広げてゆき、それがやがて化け物のような形へとなる。


 「首なしライダーというかシャドーマンね」


 一花ちゃんが何やらつぶやいているがそんな場合ではない。


 「よろしく!ウタ」


 私がそう言うと、胸ポケットから1人のてのひらサイズの少女が飛び出してくる。


 「任せて!千歳ちとせちゃん」


 その赤髪の少女、ウタは宙に浮き、なにやら小さく呪文じょもんとなえ始めた。


 「■■□□■□」


 ウタが呪文を唱え終わるとウタの背後に魔法陣まほうじんが現れ、そこから無数の触手しょくしゅが首なしライダーに向かっていく。


 するとそのまま首なしライダーに巻きつき、首なしライダーと影の動きを止める。


 「よし、捕まえ……」


 私がつかまえたと思った瞬間しゅんかんに首なしライダーが影の形を変え、刃物はもののような形へ変える。


 次の瞬間、私たちの方にバイクを思い切り走らせ、走り去ってしまった。

 

 「おい千歳、なにやってんだよ。逃しちまったじゃねぇか」


 「しょうがないじゃないですか……あんなの予想できないですよ!」


 「その通り……それに最後に逃したのは孝太郎のせい」


 「俺かよ!俺はお前らみたいに変な能力使えないんだからしょうがねえだろ」


 「変とは失礼ね、私にもこの子にも。ねえ、ユウ」


 「そうですねマスター。私はともかくマスターもなんて」


 そう言いながら一花いちかちゃんとその肩に乗った青髪の少女、ユウちゃんが近づいてきた。


 「一花ちゃん、千景ちかげちゃんは?」


 「神崎かんざきさんならあそこよ」


 一花ちゃんはそう指差すと、1人の少女が車の影に隠れていた。


 「はぁ、それはともかくこれじゃあまた団長だんちょう文句もんく言われますよ」


 「これは孝太郎が悪い。だからしょうがない」


 「お前まだいうのかよ!」


 さて、さっきからいろんな人が出てるし、さっきの触手はなんなのか、この小さな少女たちは誰なのか、気になっているだろう。


 それじゃあまずはその話からしていこう……

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