秘宝

「空飛ぶ橇を使ってわしを救ってくれた方……猫三田黒洲だったか……。そなたの橇はまだ空を飛べるかの?」

「はい!この通り、意のままに操る事ができますよ!」

猫三田黒洲は橇に乗り、自信満々に空を駆けて魅せた。


「拳で凍りついた炎を粉砕してくれた方……猫二郎衛門だったか……。そなたの拳の力は今もなお健在かの?」

 猫二郎衛門は近くにある瓦礫に拳をぶつけ、砕いて見せた。

「はい!この通り、一向に衰えを知りません!」


「水晶玉で炎を凍らせてくれた方……猫一ノ助だったか……。今もまだその力は使えるかの?」

「いいえ。水晶玉を炎に使ってしまったので、もう凍らせる事はできません。」

 他の二匹とは違い、再現して見せられない事に対し、悔しさを噛み締めながら答えた。


 そして、猫社長はためらわずにこう続ける。

「どうやらわしの秘宝を譲り受けるのに相応しいのは………。

猫一ノ助じゃな!」

"どうして!?"と言わんばかりに猫二郎衛門と猫三田黒洲は猫社長に詰め寄る。

「そりゃ、猫一ノ助はわしの為に水晶玉を失ったからのぅ……。」

 その言葉に2匹は黙するしかなかった……。


「社長!それでその秘宝というのは何でしょうか?」

猫一ノ助はワクワクしながら尋ねた。

「それはな……。このわし、猫社長のサイン入りプロマイド集じゃ!」

「………………は!? …………要らねえぇぇー!!!」

猫一ノ助の悲痛の叫びが虚しく響いた。


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冒険猫三兄弟 チュウビー @Tuebee

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