救出

 既に鉄塔は激しく燃え盛っており、手のつけようがない状態だった。

 鉄塔の屋上付近を眺めると、猫社長が取り残されている様子。そして、大声で助けを求めている。

 猫一ノ助はためらわずに、燃え盛る炎を目掛けて氷結の水晶玉を投げつけ、瞬く間に鉄塔ごと炎は凍りついた。

 その後、猫二郎衛門は勢いよく正拳突きを放ち、凍りついた炎を鉄塔ごと粉々に粉砕。

 足場をなくし、地面に落下する猫社長に猫三田黒洲が橇で駆けつけ見事救出に成功した。


 救出された猫社長より感謝の言葉が伝えられる。

「助けてくれてありがとう。お礼にこれまで公にしてこなかった我が秘宝を授けよう。」

 猫社長から秘宝を譲り受ける事になったが、あろうことか三兄弟は揉め出した。

「水晶玉があったから鉄塔のさらなる延焼を食い止める事ができた!」

「この拳で凍りついた炎を粉砕したおかげで社長への道を切り拓く事ができた!」

「この橇があったからこそ社長を間一髪で救う事ができた!」

 猫一ノ助、猫二郎衛門、猫三田黒洲の順に自らの功績を高らかに述べ、言い争いに発展する。

 それぞれ、"自分こそが1番の手柄を上げた。だからこそ秘宝は自分だけに譲って貰うべきだ。"と。


 その様子を見兼ねた猫社長は、しばらく沈黙した後に、ある提案を試みる。

「わしが誰に渡すのが相応しいか見極めよう。そこでいくつか質問をお許し願いたい。」

 三匹はこのままでは埒があかないと思ったのか、渋々猫社長の提案に同意する。 

 そして、猫社長からの問い掛けが始まった。

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