第15話 救世主

「魔王って……あの古の?」

「はい。もうすぐこの国、否、世界に災いが訪れます。その前に魔王を倒して欲しいのです」

「魔王……倒す……」


ハルトは少し考えた。

ハッキリ言って悩んでいる。

彼にはまず、やるべきこと、パーティへの復讐が先だ。

ジークフリートへの復讐が先だ。


「バルク兄さん」


フィリアが兄を見つめる。


「なんだい?」

「私のことを無視しないでください」

「ああ、ごめんね。でも、ハルト君も重要な人物だ」


バルクの応えにフィリアが口をへの字にする。


「おっ、お前こんなとこで何してんだよ?」


ハルトは聞き慣れた声に反応した。

嫌な声だ。

その声の主は他でもない。

ハルトをパーティから追放したリーダーのジークフリート・ジグモントそのひとのものだ。


「お前、無職になったんだろ? こんなところで仕事探しか」


ジークフリートはゲラゲラ笑う。

彼の後ろには取り巻き連中がいる。


「ジークフリートさん、お知り合いですか?」


バルクがハルトとジークフリートを交互に見る。


「まあ、色々ありまして……」


ハルトは苦笑いするバルクとジークフリートが知り合い?

一体どういうつながりなんだ。

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