第14話 再会
冒険者ギルド『オンデーズ』に着いた。
「フィリア姫、まず俺の用事を済ませて来ます」
「はい」
ハルトは受付に向かう。
受付嬢に告げる。
「あの、スライム退治の依頼終わりました」
「ありがとうございます。報酬はこちらになります」
金貨5枚を受け取るハルト。
ソロデビュー初の報酬は格別だった。
「では、俺はこれで……」
そう言って立ち去ろうとするハルトの腕を掴む受付嬢。
「待ってください!」
「はい?」
振り返るハルト。
「あなたに指名依頼が入っています」
「指名?誰からですか?」
「それは……」
受付嬢が答える前に、奥の部屋にいた男が声を掛けて来た。
「私がお話しますよ」
その男は黒髪で整った顔つきをしていた。
歳は20代前半だろうか。
「バルク兄さん!」
フィリアがその男を見て声を上げた。
「……フィリア?」
バルクと呼ばれた男は、フィリアをじっと見た。
フィリアは変装のためにかぶっていたフードを取り、顔を見せた。
「フィリアか」
「久しぶりですね」
「ああ……」
「そちらの方は?」
フィリアはハルトを見た。
「彼は私の護衛です。ここまで私を守ってくれました」
ハルトに軽く会釈をするバルク。
「初めまして。バルクと言います。今は平民です」
「あっ、どうも」
ハルトは慌てて挨拶をした。
「早速、本題に入りましょう。先程、討伐の報告を受けたスライムなのですが、実はあのスライムは私が用意した物なのです」
「そうなんですか?」
「あのスライムは選ばれし者にしか倒せない様に私が設定しました」
「選ばれし者……まさか!?」
フィリアが驚いた様子でハルトを見つめる。
「そう彼は救世主なんだ」
バルクはハルトの方に向き直り、頭を下げた。
「この度は妹を助けていただき、本当に感謝しております。救世主様」
ハルトは慌てふためく。
「ちょっ!ちょっと!止めてください!! 俺が救世主なんてそんな」
「いえ、あなたはこの運命に抗えません」
「しかし、私はこの国を救うつもりはないですよ」
「それでも、救っていただく。魔王から」
バルクの真剣な顔。
ハルトは困った表情を浮かべた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます