第8話 優しい治癒
「姫様。まだ敵がいるかもしれません。ハルト殿の護衛をしっかり頼みます?」
「はっ、はいっ!」
ハルトは改めて緊張する。
「では、姫。私はあの者達を王宮へ連れて帰ります」
シグルトは馬にさっそうと跨ると、荒くれ者達のところに向かった。
フィリアの従者たちの中で比較的元気のある者と一緒に、荒くれ者達を引っ張って行った。
「フィリア姫、すいません」
「いいのです。サンダ、ガイラ」
残された二人の女性従者がフィリア姫に頭を下げる。
荒くれ者からフィリアを守れなかったことを詫びていた。
フィリアは彼女達の傷に手をかざし詠唱した。
「ヒール!」
優しい光。
サンダ、ガイラはフィリアの傷を癒える。
「ありがとうございます!」
二人の笑顔にフィリアは笑顔で応えた。
「い、いえ……」
ハルトはフィリアに見惚れてしまう。
(うわぁ……なんて綺麗な人なんだ)
フィリアはハルトに優しく語りかける。
「いきましょう」
サンダとガイラが交代で馬車を運転し、ダルムンクの街を目指す。
馬車だから早く着いた。
街の前で、フィリアは帽子かぶり質素な服を羽織った。
サンダとガイラもそれにならう。
「変装するんですか?」
「はい。王族が街を歩けばどうなりますか?」
確かに、大騒ぎだ。
先程の荒くれ者みたいな奴が襲ってくるかもしれない。
「待てい!」
門番の衛兵がフィリア一行を止める。
すると、フィリアは帽子を取り衛兵に黙礼。
「あ、フィリア様……」
「いいですか?」
「もちろん。シグルト様から聞いています」
門番の衛兵は笑顔で通してくれた。
フィリア一行はそのまま街の中に入る。
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