第9話 街に来た理由

「では、フィリア姫。俺はここで……」


ハルトはフィリアと別れようとする。

ギルドにも戻らなければ。


「いえ、護衛をお願いします」

「え?」

「あなたは命を助けてくれた恩人です。私の身を守ってください」

「は、はぁ……」


どういう理論だ。

メチャクチャな感じもするが、フィリアの屈託のない笑顔を見ると、わがままも可愛らしく聞こえる。


「分かりました。どこまで出来るか分からないけど……」


ハルトは苦笑いした。


「ふふっ。では、よろしくおねがいします」


フィリアは笑顔を見せる。


「あ、ああ」


フィリアの美しさにハルトは再び見惚れる。


「ところで、フィリア姫。何故、ダルムンクへ?」


なにか事情があるのだろう。

お忍びで危険を冒してここまで来たということは……


「ハルト様。誰にも口外しないと誓えますか?」


「はい」


ハルトは即答した。

そう答えるしかない。


「実は私は兄を探しにここに来たのです」

「つまり、ガーレット王国の王子様を……」

「はい」


フィリアの兄が誰なのかハルトは知らない。

しかし、ガーレット王国の王の子供。

平民の彼は見たことは無い。


「それは大変ですね……でも、何故、王子様がこんな街に」

「お兄様は、追放されたのです」


フィリアの顔が曇る。


「何か訳があるのか……」

「兄は実は私と腹違いの兄なのです」

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