第9話 街に来た理由
「では、フィリア姫。俺はここで……」
ハルトはフィリアと別れようとする。
ギルドにも戻らなければ。
「いえ、護衛をお願いします」
「え?」
「あなたは命を助けてくれた恩人です。私の身を守ってください」
「は、はぁ……」
どういう理論だ。
メチャクチャな感じもするが、フィリアの屈託のない笑顔を見ると、わがままも可愛らしく聞こえる。
「分かりました。どこまで出来るか分からないけど……」
ハルトは苦笑いした。
「ふふっ。では、よろしくおねがいします」
フィリアは笑顔を見せる。
「あ、ああ」
フィリアの美しさにハルトは再び見惚れる。
「ところで、フィリア姫。何故、ダルムンクへ?」
なにか事情があるのだろう。
お忍びで危険を冒してここまで来たということは……
「ハルト様。誰にも口外しないと誓えますか?」
「はい」
ハルトは即答した。
そう答えるしかない。
「実は私は兄を探しにここに来たのです」
「つまり、ガーレット王国の王子様を……」
「はい」
フィリアの兄が誰なのかハルトは知らない。
しかし、ガーレット王国の王の子供。
平民の彼は見たことは無い。
「それは大変ですね……でも、何故、王子様がこんな街に」
「お兄様は、追放されたのです」
フィリアの顔が曇る。
「何か訳があるのか……」
「兄は実は私と腹違いの兄なのです」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます